2018年04月03日

「禁書」マリオ インフェリーゼ 法政大学出版局

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以前、印刷博物館でカソリックの禁書目録の実物を見て感慨深かったのでふと目にして読んでみました。

う~ん、内容は思ったほど学術的ではないかもしれません?
もっと具体的且つ踏み込んだものかと想像していたのですが、実際はかなり総括的で個々の内容については表面的で薄っぺらですね。

でも、あまりこの手の本で手頃なものが無いように思っていましたので、手元に置いておいても悪くはないかもしれません。邪魔なだけかなあ~、う~ん?

ただ、いつの時代も為政者は体制維持の為に腐心し、その一方で関係者は複雑な利害関係の中で妥協と服従と脱法行為に勤しみ、自らの利益の為に行動してきたんだなあ~と思いました。

禁書に協力し、自らの出版を認めてもらって独占的利益を得つつも、その裏側で反体制側のパンフを印刷し、そちらはそちらで利益上げたりとかね。

もっとも今の時代の方がむしろ大規模に情報統制をしているものなあ~。
エシュロンしかり、中国のネット規制しかり。
うちのブログも中国からは見えないと言われたしなあ~。

まあ、形を変えた焚書坑儒も無くならないしねぇ~。

人間は時代を経ても本質は変わらないっていういい見本ですかね?
【目次】
出版規制
1検閲の起源
2教会と国家の狭間で
3無垢で思慮深い検閲
文化追放
1禁書目録
2講読禁止
3検閲と民衆購読
4科学
検閲の限界
1クレメンス目録後
2異端審問と抑圧
3寛容の起源
絶対主義と検閲
1国家検閲の優勢
2非合法市場
3黙認と偽書誌事項
4啓蒙、検閲、印刷の自由
エピローグ
禁書: グーテンベルクから百科全書まで (amazonリンク)

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ラベル:書評
posted by alice-room at 03:46| Comment(0) | 【書評 歴史B】 | 更新情報をチェックする

「本日記」坪内 祐三 本の雑誌社

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以前にこの著者の書かれた本に関する本がそこそこ面白かったので、著者に釣られて読んだ本。

本の雑誌に掲載されていたコラム(?)をまとめたものらしい。

うん、内容は勿論無い。基本的に著者の日常生活を本をキーワードにしてメモ書き風に書いた日記形式のもの。

本に関していうものの、必ずしも『本』と関係あるのか?という疑念を頂かせつつもすぅ~っと読ませてしまうのは一つの魅力なのかもしれない。でもね、申し訳ないけど、私には興味のない事柄が9割以上かもしれない。

但し、それでいて単純につまらないと言わせない点が逆に凄かったりする。
電車か何かに乗っていて、とりとめもなく時間潰しに車窓を眺めながら、読んだりするのにはいいのかもしれません。最近、電車旅してないなあ~。

二日前に新しい車が納車され、その最近の車の性能の凄さに驚かされながら、しばらくは車漬けの日々が始まりそうな予感を覚えたりする。本書とは関係ないんだけれど・・・。

さて、本書は本の周辺で生活している方のまさに周辺の出来事を綴ったものかと。
続きをあえて読みたいとは思いませんが、まあ、パラパラと眺めてもしいかもしれません。読み終わったら、すぐに手放して良い類の本ではありますが、嫌いではありません。

本日記 単行本(amazonリンク)

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「新書百冊」坪内 祐三 新潮社
ラベル:書評
posted by alice-room at 03:25| Comment(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする

「堕ちたイカロス」藤木 稟 光文社

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SFかと思いきや、一応、近未来を舞台設定にしているものの、実際には普通の推理物作品。

登場人物も華々しく登場し、どんな活躍をするかと思うと、すぐ死んじゃうし、そこから始まる物語も前半に散りばめられたと思っていた伏線(予備軍)は何一つ回収されることなく、どっかあさってな方向の解決策で強引に収束され、形式上は解決するものの読者の心理的には何も納得することできず、もやもやとした不満が溜まったまま、当初の舞台設定や登場人物のキャラを生かすことなく、作品は終わってしまう。

えーって、ところが正直な感想です。

著者の作品は結構、凝ったものが多く、いつも興味深い感慨を覚えることが多いのですが、これは著者が書かなくても他の誰かが書けば良い作品でした。つまらないし、すぐ手放します。

カジノ街の黒幕的存在も結局、何もしないし、なんの説明もなく、ただ背景としているだけ。
そもそものスタートとなる登場人物もただ、ただ、パッと出てきて死んだだけで誰が死んでも同じジャン。
これはいかん!と思った作品でした。

堕ちたイカロス 十二宮探偵朱雀 獅子座 (カッパ・ノベルス)
posted by alice-room at 03:06| Comment(0) | 【書評 小説C】 | 更新情報をチェックする

「古書街キネマの案内人 おもいで映画の謎、解き明かします」大泉 貴 宝島社

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神田神保町にある名画座映画館を舞台にした作品。

ヒューマン・フレンドリー系のぬるい映画探偵物と言えば良いのでしょうか。
全般的にはそつなく慣れた感じで書かれた文章で悪くない感じですが、あえて続きを読んでみたくなるほどの作品でもありません。そこが残念かな?

また、謎解きを一応、ウリにしているのですが最後の作品については、ノーヒントで冒頭から分かってしまうのはいささか残念過ぎかと。他に思い浮かばないし、それで正解になってしまっては・・・。
ネタバレは避けたいので詳述しませんが、内容に深みはないかもしれません。

ただ、こんな映画館なら行ってみたいとも思いました。

古書街キネマの案内人 おもいで映画の謎、解き明かします (宝島社文庫) (amazonリンク)
ラベル:書評 映画 小説
posted by alice-room at 02:55| Comment(0) | 【書評 小説C】 | 更新情報をチェックする

2018年03月11日

「芸術と青春」岡本 太郎 光文社

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本書を読むまで岡本太郎という人物を全く誤解しておりました。

パリとかにいたのは知っていたし、岡本かの子の子供であることも知っていましたが、ソルボンヌで民族学や社会学とかやっていたのは意外でした。

他にも芸術というものに対する、『真摯な』・・・という表現を通り越した、激烈な生き方という姿勢に感銘を受けました。若さ故というありきたりな言葉では語り切れない、情熱の迸りを感じる文章ですね。

実に興味深いです。

太陽の塔やグラスの底に顔があってもいいじゃないか。だけではなく、芸術家岡本太郎氏に強く関心を持ちました。

太陽の塔のコンセプトが当時の万博の経済成長に浮かれた中で、あの当時、距離を置いたスタンスであったこと、また、それを知りつつ、許容し、あえて岡本太郎氏に依頼した当時の万博の主催者、まだまだ日本に余力と勢いがあった当時が偲ばれます。本書を読んで、ふとそうしたことを思い浮かべました。

一読しておいて損はないかと。
著者の他の作品も読んでみたいなあ~と思いました。
【目次】
1 青春回想
2 父母を憶う
3 女のモラル・性のモラル
芸術と青春 (知恵の森文庫) 文庫 (amazonリンク)
ラベル:書評 アート 芸術
posted by alice-room at 01:55| Comment(0) | 【書評 小説C】 | 更新情報をチェックする