
金融や資産運用に興味がある方で知らなかったら、まずモグリであろうと思われる名著「 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」の著者が描いた経済小説が本書です。
実は著者の本、昔何冊も買って読みまくっていたことがあります。思いっきり以前からのファンでもあるわけだったりします。
まあ、浪人中、映画の「ウォール街」を見て感動し、マイケル・ミルケンに憧れていた私としましては、本書のようなグレーゾーンの金融ビジネスには、血湧き肉踊るのも止む無しと言えるでしょう♪
学部生時代は、経営学部にいたのに法律を勉強し、ゼミは金融論だったし、院生時代はファイナンスや情報の非対称性を好んで勉強してたくせいに何故か、就職先はメーカーや流通で、金融には遠ざかっていたのですが、今現在やっと金融にいる私としては、なかなかに感慨深いものがあります。(人生、いろいろありますよ!)
普段仕事で見るフォルダの中に、アルカイダのチェックやらがあったり、e-learningの内容にマネーロンダリングの項目とか入っているのも結構身近な感じがしますねぇ~。
本当はもっとドロドロの怪しい分野の仕事の方が好きなんだけど、まあ今は実に綺麗な分野のお仕事をしている感じです(笑)。
個人的事情はさておき、やっぱり橘氏は実態としての経済事情をよくご存知で頭が下がりますね。金融知識だけでも十分に勉強になるのですが、小説としても実にうまく出来ていて面白いし、ストーリーに引き込まれていきます。今日は通勤の行き帰り&ランチの時間で一気に読了しちゃいました。
会社休んで、この本をずっと読もうかと思うぐらい面白かったです!!
よくぞここまで!っていうぐらいの生々しい金融を巡る情報がたまらなく魅力的で、主人公のいささか斜に構えたような、世間一般と距離を置いたような生き方にも、強い共感を覚えます。
私は日本のことぐらいしか分かりませんが、定款も自分で作成して、法人の設立もやったし、その法人名義でデイトレもやってたのでどうにもひとごとのような気がしません。実際に投資顧問業でもやろうかと考えて調べたことがあるので、本書で記述されてた関東財務局への登録とか、おおっ、そういやあ、そんなこともあったなあ~と懐かしく思ってしまいました。
本当に儲かれば、宗教法人とか非課税の法人を買っちゃうとかしたかったんだけど・・・。全然儲からなくて、経費で落とす以前だったもんなあ~。ちぇっ。
どうも独り言が多くなって恐縮ですが、本書は香港のオフショア市場を舞台に違法な形で獲得された資金50億円を巡る金融取引を描いています。とにかく、そこで語られる内容は単なる金融に止まらず、金融行政を始め、世界的な経済の仕組みを嫌ってほどリアルにお勉強させてくれるので、楽しくって仕方ありません。しばしば主人公が痛烈に、且つシニカルに指摘する発言の毒がそそります。
もう手放しでご推薦の一冊です。でも・・・最低限の経済常識がないとついていけないのでご注意を! ゆとり世代では、理解できないような気がします。ビジネスマンとして、きちんと経済事象の仕組みを理解している方ならOKかと。
もし、読んでも分からない方、死ぬほど勉強しましょう♪ 説明を聞いても理解できないのは、貴方の不勉強が原因です。それではビジネスできません(たぶん・・・)。
とにかく、いやあ~これだけの経済小説があるとは、日本たいしたもんですね。ニホンキタ~!ってネ(笑顔)。
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