2008年07月14日

「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」山田 真哉 光文社

ベストセラーは嫌いなくせに、やっぱり気になるミーハーな性分でとりあえず、暇つぶしに読んでみた本。

想像していたよりは、ずっとマシな内容。奇をてらうこともなく、入門の入門と考えれば、良心的。今までこの手の事を知らないで生きてきた人には、とっつき良さそう。売れるのもむべなるかな。

会計的な用語なんて、どうでもいいですが、本書で語られる内容は社会人としては新入社員1年以内の水準だと思う。入社して3年過ぎてこれぐらいのことを意識してなかったら、絶対にその人仕事してないんじゃないかなあ~。

利益を生み出すことを一義的なレゾン・デートルとする『企業』で働くなら、知らないでは済まされないと思う。売上を上げるか、費用を抑えるか、どこにいたって四六時中会社から(上司から)要求されることはそれに尽きる!

それはおいといて。
本書はキャッチーなタイトル以外にも、具体的な例(郊外の普通の住宅街にある不相応に高い料金のフランス料理店が儲ける方法、等々)を挙げて、そこから会計的な方向へ話を広げていくのが実にうまい! 確たる理由があって売れている本です。悪い本ではない。

でも、初心者に分かり易くに徹し過ぎたので、少しでも物の道理を分かっていると、相当物足り無い。

例えば、「売り掛けの回収は早く、支払いはできるだけ遅く」というのはどの会社でも考えるが、実際に支払いに手形を使うのは、どうなんでしょうね。経営的判断としては、劣悪のような気がします。半金半手なんて、ざらに聞きますが、大手であっても内実資金繰りの相当悪い会社である場合が多いです。

上場会社なら、割り引いて現金化もできますが、実質金利分の値引きを要求されているわけで好ましいとは思えません。取引先の人と話した時も、手形で払う会社にはおいしい話は持ちかけないし、自然商品の質もそれなりになるのはやむを得ないと言ってましたしね。

経営者なら、その辺を暗黙のうちに理解して、支払いは可能な限り、早めに払う方がむしろ優れた協力会社を囲い込めると思いますけどね。経営的判断とは、もっと複合的且つ、長期的視野での意思決定ですから。

また、現金取引(COD)は確かに資金回収の点では素晴らしいものの、その場限りで終わってしまう取引であり、継続的な取引の観点ではまた話は違ってくるのものです。

もっとも、本書はおそらく会計的側面に絞って話を進めることで、分かりやすさを前面に出しているのであえてその辺は、省略しているのだと思います。在庫は持つな、というのも教科書的には正論ですが、100円ショップのダイソーを見てると真逆の方向性故の成功ですし、企業の差別化、優位性という観点では、常識に囚われるこそが非常識というのもしばしば聞く様になりました。

ただ、それらも含めて基本は大切です。基本を分かっていない人は、本書をきっかけにその方面にも関心を向けるといいのかもしれません。私は、ハローワークに通ってた時に大原簿記で簿記2級相当まで学ぶ機会があったので一応、工業簿記の基礎くらいまでは理解していますし、株式投資の勉強の為に、財務諸表や損益計算書ぐらいは高校生ぐらいからおおよそ読めてはいましたけどね。

まあ、四季報の数字が分かれば、とりあえずはいいんじゃないでしょうか? 金が絡むと勉強意欲が湧きますよ~(笑)。

さて、株価の低迷も継続しているし、投資用資金も少し目途がついてきたので、今月から来月にかけて、少し株でも買うかな? 中長期投資で年利20~30%での運用が目安。過去の平均もコンスタントにそれぐらいだし、実は結構才能がない私としては、年50%を目標にしたいが、さすがに難しいなあ~。デイトレやってた時は、年5~10%まで運用利回りが落ちてショックでかかったです。法人名義で運用してたんだけどなあ~。

まあ、ヨーロッパ旅行代金も貯蓄に回しますか。企業分析でもせんといかんなあ~。ずいぶん離れていてセンスも鈍っていそうだから、またお勉強しないと。

難しく考えずに、数字を通して物の流れを捕まえる!企業の経済活動にはその反対方向に必ず資金の動きが生じるので、意識していれば、自然に分かるレベルのお話でした。

あっ、関係ないけど先日散々批判していた光文社さんの出している本だったんですね。私も節操ないなあ~(自爆)。
【目次】
1 さおだけ屋はなぜ潰れないのか?―利益の出し方
2 ベッドタウンに高級フランス料理店の謎―連結経営
3 在庫だらけの自然食品店―在庫と資金繰り
4 完売したのに怒られた!―機会損失と決算書
5 トップを逃して満足するギャンブラー―回転率
6 あの人はなぜいつもワリカンの支払い役になるのか?―キャッシュ・フロー
7 数字に弱くても「数字のセンス」があればいい―数字のセンス
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)(amazonリンク)
posted by alice-room at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスA】 | 更新情報をチェックする
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