2008年07月27日

特別展「対決-巨匠たちの日本美術」東京国立博物館

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いやあ~会社休んで金曜日に行ってきて正解でした! 
平日なのにかなり込んでましたが、まさに『一見の価値あり』です。

名立たる巨匠達の作品をグッと絞りこんで、一人対一人で対比させることでそれぞれの魅力を際立たせるとは、なかなかに心憎いばかりの演出です。

なんでもそうですが、漫然と見ていては分からない事、気付かない事ってあります。特に人というのは、他と比べてどう違うという点には敏感なものの機械的なものとは異なり、絶対的な尺度での認識は苦手なものです。

まさに人の特性を生かした展示法ですね♪ いつも以上に面白かったです(笑顔)。しかし、東博って、いつも思うけど頑張ってますよね。常に新しい手法を試行錯誤しつつ、顧客の期待に応えていこうとする姿勢は見習うべきものがありますね。
(おかげで人が多くて、見難いのが残念ですが、成功は次の成功につながるし、展示の質が向上していくのはファンとしては嬉しいです♪)

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さて、あれだけたくさんの方が見ている展示会ですので全般的な感想は置いといて、私が強く感動したのは、なんといっても曽我蕭白ですね。

以前から、美術雑誌や画集で眺めていたものの実物を見る機会がありませんでした。NHK知るを楽しむ「ギョッとする江戸の絵画」でTVを見てた時も狂おしいほど(ごめん、少し誇張入ってる)見たい!と思ったものの、そのままくすぶっておりました。

それなのに&それなのに、まさかいつも行ってる東博で展示されているのを実は行ってみるまで知りませんでした。チラシも持っているのですが、いろんなところのものと混ざって全然チェックしてませんでした(うかつ!)。

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もっとも、そのおかげで何も考えずに展示を見ていたら、突如鮮やかなあの色彩と構図が視覚に入ってきました。「アレレ!まさか、あの蕭白の作品!?」

一瞬、唖然としつつ吸い寄せられたのは言うまでもありません。
(実は誰と誰の対決とか、意識してなかったりする・・・オイオイ)

展示の流れから、若冲の作品を見ながら、やっぱり若冲はいいねぇ~とかゆとりかましてたんですが、一転、こだわりモードへ。離れて見たり、近づいて細部を下から上へと凝視したり、また離れて右と左を同時に見たり、実にせわしない(苦笑)。それらを延々と繰り返し、他の展示を見終わった後にも戻ってきて見たのは言うまでもありません!

円空仏や木喰仏も結構好きで良かったのですが、今回の展示は、誰がなんと言っても『曽我蕭白』だったと私は信じています。 実際に、椅子に座って眺めていた時も他の人達が足を止めて見つめている時間が長かったように感じました。贔屓目かもしれませんが・・・。


私にとって価値の高いものとは、感動を与えてくれるものであり、舞台であったり、読書であったり、絵画であったり、様々ですが、曽我蕭白の「群仙図屏風」は間違いなく感動を与えてくれる作品です。

デフォルメというよりも、描かれる対象の本性をより如実に現した結果としてのある種異形の姿形、構図なのかもしれませんが、決して二次元で収まるようなスケールではありません。

指一つを見ても、その非凡さが分かるでしょう。それにこの色彩感覚の絶妙さが堪りません♪ モノクロが基調の世界に、ポッ、ポッと灯るかのように、それとも別世界が二重に写しになりつつも融合しているかのような色の世界に引きづり込まれます!

しかし、それでいて決してモノクロの世界が単調なのではないのが、また凄い! 可愛らしい目の龍が、それでいて力強さをみなぎらせているのも実に色が生きているように思えてなりません。

妖怪(?)がかじっているのは「仙桃」でしょうか? そういうさりげない部分も私は好きなんですよ~。

是非是非、曽我蕭白好きの方は、この一作品の為だけにでも観に行く価値があると思います。会期末までに、もう一度私も行こうっと♪

そうそう、ついでにもう一つの作品も紹介。「鷹図」これも好き。

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そうそう、一つだけ若冲のもメモ。
「石灯籠図屏風」だけど、点画というのかな? あれで灯籠の石を実にうまく表現している。たいしたことないのかもしれないですが、常に研究熱心に表現方法を試行錯誤していた若冲らしいと思ったのでメモ。
【展示内容一部抜粋】■ 若冲 vs 蕭白 ―画人・画狂・画仙・画魔―

仙人掌群鶏図襖 伊藤若冲筆 江戸時代・寛政2年(1790)大阪・西福寺蔵
群仙図屏風 曽我蕭白筆 江戸時代・明和元年(1764)文化庁蔵
石灯籠図屏風 伊藤若冲筆 江戸時代・18世紀 京都国立博物館蔵
寒山拾得図屏風 曽我蕭白筆 江戸時代・宝暦9~12年(1759~62)頃 個人蔵
旭日鳳凰図 伊藤若冲筆  江戸時代・宝暦5年(1755) 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
鷹図 曽我蕭白筆 江戸時代・明和元~4年(1764~67)頃 兵庫・香雪美術館蔵
雪中遊禽図 伊藤若冲筆 江戸時代・宝暦6~7年(1756~7)頃 個人蔵
唐獅子図  曽我蕭白筆 江戸時代・明和元年(1764)頃 三重・朝田寺蔵

関連サイト
東京国立博物館 特別展サイト
朝日新聞社の展覧会サイト

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posted by alice-room at 09:23| Comment(4) | TrackBack(3) | 【芸術】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
alice-roomさんこんばんは
この展覧会に行かれたとは羨ましいです!
「対決」とは、結構無理をしていますが、なかなか面白い企画だと思います。
曽我蕭白は、澁澤龍彦好みの画家です。
確か『仙人図屏風』や『群仙図屏風』の渦巻きが好きだと書いていたような記憶があります。
TBさせたいただきましたので、よろしくお願いいたします。
Posted by lapis at 2008年07月27日 21:59
lapisさん、こんばんは。TB有り難うございました。

行くまでチェックしていなかったので、本当にこの作品を目にした時は、ビックリしてしまいました。
「な、なんでここにあるの?」って!

>曽我蕭白は、澁澤龍彦好みの画家です。
そうですか、澁澤さんがお好きだったとしても不思議はないかもしれませんね。さもありなん。それを聞いて、なんか嬉しいです♪

最近は、毎週のように秋葉をうろついていて上野は月1か月2回ぐらいしか行かないので、美術から疎くなっているかもしれません。

やっぱり美術は衝撃と感動を与えてくれるなあ~と今回改めて感じ入りました(笑顔)。
Posted by alice-room at 2008年07月27日 22:42
こんにちは。
TBありがとうございます。

しばらく留守にしていたため
お返事遅くなってしまい申し訳ないです。

若冲贔屓な自分でも蕭白の圧倒的な迫力には
言葉が出ませんでした。これは日本の宝です!
Posted by Tak at 2008年08月09日 14:10
Takさん、お帰りなさい。
こちらこそ、TB有り難うございます。いつも楽しくブログ拝見させてもらってます(笑顔)。

若冲、蕭白、いやあ~本当に眼福とはこのことですね!
Posted by alice-room at 2008年08月10日 08:20
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