第二巻は大物が多いです。福音記者マルコ、ピリポ、ペテロにパウロに大ヤコブ。更に更に、とっておきのマグダラのマリアまで。まあ、既にわざわざGOLDEN LEGENDから訳までしてブログに書いているのにまた読まなくてもいいようなもんですが、一応ね、内容確認の意味も込めて。勿論、何度読んでも面白いです。
重複しない範囲で面白いところというと、十字架の話かな? シバの女王が見つけるところは、既にうちのブログでも何度か取り上げてますが、それ以外も含めてちょっと抜き書きしておきます。ひたすら殉教と奇跡が書き連ねられた黄金伝説(聖人伝)。読んだことのない方は是非、読んでみましょう。面白いですよ~♪(笑顔)。
聖十字架の発見。「ニコデモによる福音書」には、アダムが重い病気になった時、息子のセツは地上の楽園の門のところに行き、父の体に塗って病気を治したいからといって憐れみの木の油を分けて下さいと頼んだ。すると、大天使ミカエルがあらわれて、「憐れみの木の油を手に入れようとするのをやめなさい。また、そのことで泣くのもやめなさい。憐れみの木は5千5百年が経過するまではあなたに与えられないのです。」と言った。
また、大天使ミカエルはセツに小枝を一本与えて、これをレバノンの山のうえに植えなさいと命じたという説もある。ある歴史書によると。ミカエルはアダムが罪を犯す原因になった木の枝をセツに与えて「このコ枝が実をつければ、あなたの父は健康な体にもどるでしょう」と言った。さて、セツが家に帰ってみると父のアダムは既に死んでいた。そこで父の墓の上に小枝を植えた。小枝は成長し、大木となり、ソロモンの時代まで生き続けたという。
ところで、ソロモンはこの木の見事な枝ぶりに眼をとめ、これを切らせて<レバノンの森の家>の建材に使わせようとした。ところが、この木は家のどの部分に使おうとしても長過ぎるか短過ぎるかして寸法が合わなかったという。正確なものさしできちんと切ってもいつも短くなって、間尺があわないのである。腹を立てた大工達はこの木を使わないことにし、ある沼のに掛け渡して、人が通る小橋にしようとした。さて、ソロモン王の知恵を噂に聞いたシバの女王がこの沼を渡って王を訪問しようとしたときのこと、女王は世界の救世主がいつかこの木にかけられることになると心眼で見抜いた。そこでこの木を踏み付けて渡るのは恐れ多いと思い、その場にひざまずいてうやうやしく拝んだ。
しかし、「聖書物語」によると、シバの女王は<レバノンの森の家>でこの木を見かけ、故国へ帰ってからソロモンに使者を送り、あの木にいつかさる人が吊るされ、その人の死はユダヤ人の王国を滅ぼすことになりましょう、と伝えさせたことになっている。そこでソロモンはこの木を大地の底深くに埋めさせた。
それから長い年月がたって木を埋めた場所のうえに神殿に使えるしもべたちが犠牲獣を洗う池が掘られた。すると、池の水が吹き上げてきて、万病に効くようになった。これは天使がこの池にのぞんだからでもあるが、一つには木にあらたかな霊験がやどっていたためでもあった。
さて、キリストの御受難が近づいた頃、木がひとりでに浮かび上がってきた。ユダヤ人たちはこれを拾い上げて主の十字架をつくった。また一説によると、キリストの聖十字架は四種類の木、棕櫚、糸杉、オリーブ、香柏で作られていたと言われる。「十字架の木は、棕櫚に香柏、糸杉にオリーブ」という詩句はそこから来ている。また聖十字架は四つの部分から成っていた。縦木、横木、頭部につける板、十字架を埋め込む台木、この四つがそれである。
この有り難い十字架の木は、キリスト受難後二百年以上も地中に埋もれていた。その後、コンスタンティヌス大帝の母ヘレナによって発見されたと言われる。
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