本当のことを言うと、TVで見る田崎氏は、いかにもメディア受けしそうな媚を売っているイメージがあって、良い印象を持っていませんでした。しかし、友人で田崎氏のワインの講座を受けている人(その人もなかなか個性的で珍しい人ですが)が、「いやあ~あの人の気配りは凄い!」と珍しく言っていたので気になっていました。
たまたま、書店で田崎氏の本を見つけたので読んでみました。いやあ~、これは素晴らしい本です♪
目標に向かって、努力を続ける飽くなき向上心もさることながら、本書では『サービス』というキーワードで語りながら、自分の仕事として何が求められていて、何をすることが一番大切か、本質を理解している点が非凡です。
これは、接客業に限らず、全ての仕事において共通する要素であり、ある意味、これが分かっていない人がどれほど多いかを痛感させられるポイントでもあります。
こうすれば客が喜ぶとか、勝手な思い込みで仕事をしている人がどれほどいることか・・・。あるいは、これだけやれば、私の仕事は果たしていると勝手な枠をはめて、自分の仕事を、そして自分の可能性を、いかに小さな枠に押し込めている人が多いことか・・・。
私自身も身につまされることが多く、耳に痛いお話も多いのですが、まさに『プロ』だなあ~と感じました。そうですね、偏屈で傲慢な職人ではなく、腰は低いが、自らの仕事にプライドを持った職人のような恰好良さとでもいうべきものでしょうか?
心ある人が読めば、きっと何か学ぶべきことを見出せる本だと思います。人生は全てが勉強だし、そう思って努力し生きている人は、人生が、そして仕事が楽しくなるだろうなあ~と改めて強く思いました。
顧客の顔が見えない、しょーもないマーケティング戦略を考えるのに夢中な人々に読んでもらいたい本ですね。もっとも、そういう人には、本書の価値は、伝わらないんだろうなあ~。
と、今日も安ワインを飲んでいた私は、思ったりする。
あとね、表面的には至れりつくせりの日本の旅館のお仕着せのサービスは、独り善がりで真のサービスではない!など、頷かされる点が非常に多いです。
客の都合も考えずに、勝手なタイミングで布団を敷きに来たり、客の選択の余地無く、決まったコースの食事を運んでくるなど、お客の望むサービスではなく、旅館の思うサービスを押し付けているに過ぎないと私も日頃から不満に思っていたのでまさに我が意を得たり!っていう気持ちです。
自分の仕事は誰の為に、何を為すべきか、改めて深く考える契機になる素晴らしい本だと思いました。
【目次】サービスの極意 (新潮文庫)(amazonリンク)
序章 どんなことにも柔軟に応じよう―サービスの原点
第1章 向く人向かない人―サービスはクリエイティブで面白い
第2章 サービス自由自在―すべてはお客様のお好みしだい
第3章 ワン・オブ・ベストを目指せ―お客様のアシスト役を極めるヒント
第4章 心地よさを提供する―より洗練されたサービスの極意
如何に飲む人の好みやワインへの係わり方に対処して、的確なものを薦める事が出来るかに、この仕事の本質があると思います。
プロのソムリエではありませんが、今春銀座で詰まらないワインばかりを勝手に抜かれて、カウンターを叩き怒鳴った私の偽りざる気持ちです。
まあ、お呼ばれでしたから警察沙汰にはなりませんでしたけど。
全くおっしゃられる通りだと思います。お客様それぞれの嗜好やその時々の意図を汲んで、お客の求めているサービスを提供する事こそが大切なのに、サービスをする人が自己満足で仕事をしてしまい、実際は、お客様の為にならない、求めていないサービスを提供しても何の意味もありません。
そういったものも含めて、大変勉強になる本でした。コメントどうも有り難うございました。