成功事例の共有は、広く一般的になってきたものの、マイナスのイメージのつきまとう失敗事例の共有というのは、なかなか難しいのが実際だと思う。
また、本質を見過ごした表面的な『効率性』が叫ばれる昨今、より一層失敗は効率性とは対局なものとして捉えれ、できれば避けるべきものとおもわれがちです。
しかし、本書では『失敗』をむしろ積極的に捉え、創造力に必要不可欠な必須の要素として失敗を認識します。致命的なものに至らない『失敗』(=最小のロス)から、より多くのことを学び真の創造力へ結び付ける点こそが重要だとします。
言い換えれば、いかに効率良く失敗するか、避けられない失敗を忌避するのではなく、そこから成功へつなげるポイントをいかに見出すのか、大変勉強になる話です。
(・・・猫も杓子も『グーグル化』とベスト・プラクティスを求めるが、そこに至るまでの過程の大切さが理解できない人達は、所詮、付け焼刃の知識しか身に付かないんだろうなあ~と思わずにはいれません。本書を読んでいて、ふとそんなことが頭に浮かびました。)
著者は大学の先生ですが、思わずこの先生の下で工学について学びたいと思ってしまうほど、この本の主張には共感させられます。
もう、私の仕事なんて、いつも前任者がいない全く新しい部署とか業務とかが多いからまさにコレだったりします。常に自分で情報を集め、試行錯誤して業務手順を作り上げ、システム化&ツール化し、部下や同僚に教えていく。そんなのばっかりだもんなあ~。
新しいことをすれば、当然失敗があるので、決まりきった業務をするだけよりも何倍もの余計なことをする羽目になることも多々あるもんなあ~。その代わり、出来上がったものを使えば、必ず作業効率が数倍~数十倍に挙がるわけですが、途中が大変なんですよ。何事もね。
そうそう、
【目次】失敗学のすすめ (講談社文庫)(amazonリンク)
プロローグ 失敗に学ぶ
第1章 失敗とは何か
第2章 失敗の種類と特徴
第3章 失敗情報の伝わり方・伝え方
第4章 全体を理解する
第5章 失敗こそが創造を生む
第6章 失敗を立体的にとらえる
第7章 致命的な失敗をなくす
第8章 失敗を生かすシステムづくり
エピローグ 失敗を肯定しよう