
この分野の草分けにして、後に追随する者をはるかに引き離した独走を続ける著者の最近の本です。
ちなみに実践篇も出てますが、そちらを立ち読みで眺めた限りではあまり面白そうではないし、役に立ちそうとは思えませんでした(余談)。
さて、本書ですが初心者にはついていくことはまず無理です。それぞれに関連する本なども紹介してありますので、自分で分からない事を一つ一つ調べるぐらいの情熱と熱心さがあれば別ですが、チャートを見ていっぱしの投資家気取りのオカルト投資家さんや、主婦で億を稼いだとか、『まぐれ』信奉者には敷居が高過ぎる本です。
その代わり、投資家として最低限の勉強と経験がある方なら、きっと何かしら気付きや参考になるものがあると思います。
教科書的な知識だけの人や、なんの投資指針もないままにただ株や通貨の売り買いしているだけで実のある経験をしていない人とは、真逆の価値観に立つ本です。
私的には、何よりも凄いなあ~と思うのが、たゆまぬ研究心と共に常にそれを実践していく著者の姿勢には、頭が下がるものがあります。行動なき知識は、絵に描いた餅に過ぎません。本書の至るところで散見しますが実にリアルな金融の世界が描かれていて面白いです。
私も少しだけ金融の世界に関わるようになりましたが、正直、こんなもんなんだなあ~と思うこともしばしば。勿論、プロと呼ぶにふさわしい人も一部はいるんでしょうが、現場は何にも分かってないかも・・・? まあ、笛吹けでも踊らず、ではありませんが、いくら上から表面的な教育をしても本質が分かっていないし、それを理解させるべく全社的な強い意志がなければ、成り立たないもんですしね。
どこの会社も、どこの社会も一緒です。一握りのできる人と大半の普通の人と一部の足を引っ張る人、から世界はできているようです。
本書は残念ながら、「金持ち父さん、貧乏父さん」のような一見良さそうだが、得るものは少ない投資の初心者向けではなく、それなりに分かっている人が更に勉強していくきっかけになる、そういう本です。
裁定理論とか効率的市場仮説なんて、基本中の基本だし、懐かしの「伊藤のレンマ」まで出てきたもの(学生時代やりました私も!)。
この辺が前提条件で理解できていない人には、その応用ベースの話だし、どれほど分かるのでしょうか? ただ、基本に忠実に正統的な説明をしてくれているので嬉しいですけどね。より本書への信頼性が増します。
コルレスバンクや武富士の裁判の件とかは、私も関心を持っていたので実に面白かったです。治外法権の隠し口座とかやってそう、本当に(笑顔)。まあ、バチカン銀行やら国際機関も同じ穴のむじなですけどね。
実に刺激的で、勉強になります。ますます調べたくなりましたし、幾つかはアレンジしてやってみたいとも思いました。なんでもそうですが、そのまま行うのはナンセンスですが、少しひねって行動に移してみたいですね(ニコニコ)。
まあ、カバードワランドとかは、ずいぶん前からやってましたが、FXには手を出していません。通貨は国家間の政治的な影響が大き過ぎてマクロ経済の原則が往々にして歪められるので、予測しずらく嫌いなんだよねぇ~。
予測には当たり外れがあるものの、自分で理解できないことをやるつもりはありません。一時は法人名義にしてデイトレやってたけど、年間を通して若干の黒字しかできなかったので止めちゃったもんね。
今年になってから、株式投資を再開したが、もう数十年やってるが、生まれて初めて損してますよ。信用の追証まで発生させてしまったし、資金はあったのに迂闊!!
まあ、今も雑誌等では最悪のナンピン買いと書かれているが、自分よりも株知っているとも思えない人が書いている記事を信じる気にもならず、延々と毎月株を買い増す日々。
分散投資もあえてせず、同一銘柄をひたすら、毎月ナンピン買い。うお~かなり無謀っぽいが、デフォルト・リスクだけはきっちりチェックしつつ、投資銘柄については相当詳しいので腹をくくって有り金をつぎ込んでるなあ。
毎日、十万から数十万損出したって、負けません。信用分もきっちり計算済みですし、含み損が50%以上だって買い続けてます。日経225へ気持ちが揺らぐ事もあるが、今狙っている銘柄以上に評価しているところはないので、破産するまでつぎ込もうっと!
まあ、最悪借金はないので無一文になるだけだしね。さてさて、果報は寝て待てかな?
【目次】黄金の扉を開ける賢者の海外投資術(amazonリンク)
序章 さよなら、プライベートバンカー
第1章 究極の投資VS至高の投資
第2章 誰もがジム・ロジャーズになれる日
第3章 ミセス・ワタナベの冒険
第4章 革命としてのヘッジファンド
第5章 タックスヘイヴンの神話と現実
第6章 人生設計としての海外投資
終章 億万長者になるなんて簡単だ
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「ゴミ投資家のための金融シティ香港入門」海外投資を楽しむ会 メディアワークス
「マネーロンダリング」橘 玲 幻冬舎
「まぐれ」ナシーム・ニコラス・タレブ ダイヤモンド社
「個人投資家のための信用取引の儲け方」石井経済研究所 アスカエフプロダクツ
「バフェットの教訓」メアリー・バフェット 、デビッド・クラーク 徳間書店
「ウォール街を動かすソフトウェア」手塚 集 岩波書店