2008年11月06日

「曾根崎比丘尼 - 新・雨月物語」富樫 倫太郎 中央公論新社

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仮にも雨月物語を念頭に置いて、おこがましくも「新・雨月物語」と銘打ってはいるものの、およそその水準には達していません。一応は、江戸時代のそれらしい怪談ではあるものの・・・。

読み易さとグロさ以外、全く印象に残らず、話としての面白さは微塵も感じられない。特に、秋成のあの味わい深い感慨を残す、秀逸な怪談とは比べ物にならないほど、レベルが低い。少し期待していただけにはなはだ残念です。

怪談はセンスが何よりも大切なだけに、センスがない文章で読み易いのに読んでいるのが辛くなった。

心の闇やそこにうごめく魔物はお約束だが、履行できない不渡り手形をつかまされたような感じで、それが何にも生きておらず、肩透かし感がぬぐえない。続巻に期待するほど、私も暇ではないので本書関係は二度と手にとらないでしょう。

内容のない怪談もどき好きならいざ知らず、本物の怪談を好むコアなマニアには死んでもお薦め致しません。コレ、要らないです。

曾根崎比丘尼 - 新・雨月物語(amazonリンク)

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ラベル:怪談 書評 小説
posted by alice-room at 23:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たまたま、最近雨月物語読み直してました。
古本祭りではちょっと収穫があったようですね?
Posted by seedsbook at 2008年11月07日 15:29
はい、毎年行っているので新鮮さは薄れましたが、一冊でも二冊でも気に入った本が見つかると嬉しいです♪
プレミア付きのサイン本には興味がありませんが、好きな作家さんのサインが有るとちょっと嬉しいです(笑顔)。

個人的には中世美術の大御所エミール・マールのサイン本とか欲しかったりするんですけどねぇ~。それなりの値段で売ってたりするそうですが・・・。

まあ、それはおいといて、素敵な本を見つけて読めるのは楽しいです♪
Posted by alice-room at 2008年11月08日 08:00
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