さて、題名から想像すると河童そのものの由来や河童にまつわる伝承の類いがたくさん採集された「遠野物語」的なものなどを予想してしまうのですが、この本ちょっと違うんだよねぇ~。日本各地にとどまらず、中国やインドを越えてアジア全域や西欧までも視野に入れた広い視点から、河童の象徴する水神と馬の関係を解き明かそうと比較文化論的なお話をしてくれます。また、馬が占める文化的役割がはるか昔には、牛がその地位を占めていたことなど、興味深いと言えば興味深いのですが、残念ながら無知な私にはあまり面白くなかったりする。
あるケースに相当する物として、世界のあちこちに類似したものを挙げ、その文化的なつながりや伝播の様子を解説するのですが、そのケース(伝承や儀礼)自体が詳しく述べられておらず、すっごく薄っぺらく感じられてつまんないだよねぇ~。著者は学者さんとして非常に真面目な方だろうとは思うのですが、馬を神としてどう祀ったとか、2行ぐらいで儀式を書かれたんじゃ、内容に関心の持ちようがない。馬を祀ろうが、牛を祀ろうがこちらには関係が無く、その具体的な儀式自体がエキゾチックである意味ファンタジーであり、ノスタルジック且つエキセントリック(?)かもしれない関心の対象なのですが、ほとんどそういった点には触れられておらず、あくまでも文化史的な比較から、類似性と相違だけが問題とされている。
ああ~、退屈でつまんない。せっかくなんで全部読んでみたけど、資料としてもう~ん私には不要だな。もっと楽しい知識が欲しい! ありきたりな河童論を読まされるのも抵抗を覚えるが、この本も関心の対象外。なんか、面白い本ないかなあ~???
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