2008年11月29日

「陸軍中野学校」加藤 正夫 光人社

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実際に陸軍中野学校を出た人の手による本です。除隊後は日経新聞で働いていたようで、メディア関係者だけあって文章はさりげなくうまい!

何よりも読んでいて、どれほど多くの人が大志を抱いて『日本の為に、アジアの為に、そいて世界の為に』と信じて過酷な作戦行動を完遂したのか・・・読んでいて感動してしまう場面が多々あった。

戦後の志の低い教育を受けた世代である私としては、日本人としてのプライドを意識することなく育ってきたが、どこの国の人間であってもそうだと思うが、自らと自国への自尊心の無い人間は、大変弱い。

自尊心は増長すれば、傲慢でしかないが、適度且つ適切な管理下にある自尊心は、自らの行動を律し、絶え間ない努力と周囲への思いやりを可能にせしめると信ずる。

今の日本にはもっとも欠けているものだろう。戦後の教育の最も失敗した点であり、アメリカ占領政策の最も成功した点だろう。

さて、話がややそれたが本の内容について。
失敗した作戦や成功した作戦を問わず、中野学校関係者が関与した作戦を調べ、どのような形で関与したか、またその影響についてなどが述べられている。

通常の戦史物との比較でいうと、戦後のアジア民族の独立運動(インド、ビルマ、マレーシア等)へ及ぼした多大なる影響を、中野学校出身者が根底の思想として共通して有していた深く大きな人類愛の発露と看做しているのが特徴的です。

綺麗事のように聞こえてしまいがちですが、真剣に理想論を信じて、その実現に尽くした人達がいたことは、無視して良いことではないと思います。

私も読んでいて、本当に心から感動し、今現在の世界への影響を始めて知りました。読んでおいて損はない本です。日本人として誇りに思えるかもしれません。

但し、意図的な嘘は書かれていないと思うのですが、都合の悪そうなことは、書かれていません。消極的に触れないことで、当然謀略関係等ダーティーなこともしていたはずですが、それによる悪いイメージを抱かないように操作されている感じはします。

なんせ、宣伝工作等も専門の中野学校出身者で、日経新聞出でしょう。情報操作は、まさにお手のものでしょう(笑顔)。いい本ですが、うのみにするのは、愚かでしょう。

また文体は、大部分断定的だが、著者自身の経験以外は、調査や資料から再構成したはずのもので、その点で明らかにジャーナリズム的であり、正確さとは一線を画したものであることも確かです。

ただ、バカみたいに戦争反対、過去の戦争をしたのは、日本人や軍部、政治家がバカだったとか言っているのは、別種のプロパガンダに踊らされていることを、本書を読むことで気付かされるかもしれませんね。

無知の知を知るには、良い本だと思いました。いささか割り引いて捕らえるべきでしょうが、胸を打つ内容でもあります。
【目次】
第1章 陸軍中野学校創設への道
第2章 中野学校の教育と訓練
第3章 アジア民族解放の曙光
第4章 日本軍と各国での独立運動
第5章 国運を賭けた最後の作戦
第6章 終戦処理と陸軍中野学校
第7章 中野学校設立が十年早ければ
陸軍中野学校―秘密戦士の実態 (光人社NF文庫)(amazonリンク)


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posted by alice-room at 04:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 歴史B】 | 更新情報をチェックする
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