2008年12月11日

「SEのフシギな生態」きたみ りゅうじ 幻冬舎

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しかし、SEではなくてもこりゃ大いに共感しないではいられない本でしょう。社内プロジェクトしかり、社外との共同プロジェクトしかり、実に身に詰まされるお話です。

いろいろと仕事をやっていると、肩書きや給料分の仕事をしない人が実に多いことか・・・ああ、合掌!

同時に自分も経てきた道とはいえ、「お前何にも考えずに、口先だけで分かった気になってんな。一つでもやって実績見せろ!」と本当にはらわた煮えくり返り、憤懣やる方無しで、徹夜明けの仕事や休日出勤をしていた日々を思い出します。

私は、社内の仕様をまとめて、システム会社さんに発注する側でしたが、いろんな部署が適当なその場しのぎの要求ばかりあげてくるくせに、実装すると前回の追加機能を誰も使っていなかったり・・・検収の段階で仕様そのものを変えようとするなど・・・信じられないこと続出したことを思い出しました。

社内の力関係や予算の関係、オーナー社長の心変わりとか、もう大変!そのせいで納期が遅れ、開発費がかさみ、社長に業者を追い込め、契約書に判を押す段階で、更に値切れと、人にあらざる所業をさせられたのですが、う~む、金さえ払わなかったり、平気で何ヶ月も先の手形で払う会社さえ、実際あるからなあ。

ある程度社会経験のある方なら、絶対に面白いし(つ~か、他人事じゃない)、為になることが満載された一冊です。金融業界の入門書として「ナニワ金融道」を挙げるなら、システム業界の入門書として本書を挙げてもいいのでは?って思うくらい、個人的にはお薦めです!!

プロとアマの絶対的な違いとして、仕事としてやっているものがプロである。従って、以下の3点をクリアしているか否かが分かれ目。
・納期を守り
・仕様を守り
・バグを出さない

どんなに素晴らしいプログラムが書ける天才プログラマーだって、上記をクリアできないものは、所詮アマチュアに過ぎない!というのは、当然ながら、激しく同意しちゃいますね。うん!

新しい技術をフォローしつつも、実際に利用するのは、古くても安定しているもの。本当に、これが一番大切です。

最新を追い求めるのは、たいていコストパフォーマンスが悪い(=高くつく)うえに、バグの嵐に見舞われます。本書で触れられていますが、私も大いに経験があります。

某大手総合電気にいた時に、ある技術を工場初で導入するパイロットプロジェクトに関わったのですが、それが成功したら、本社の御墨つきで他の工場や、関連企業へ展開するんだ~と相手側事業部の担当者は言っていたのですが、聞いてみると、同時並行して、高い金を取りつつ、それと同じことを外部の企業さんでやっていたりする。なんだかなあ~。

結局、失敗する可能性が高いものは、いくつか(外部、内部を問わず)絡めながら、リスクヘッジしながらやるんだよねぇ~。

ちなみに・・・物の見事に、私が関わったプロジェクトは最初のツールの適合テストから失敗し、こんなんじゃ客先に売れないよ~となったりしたのでした。


その後も、転職先の通販会社は売上なんて、もの凄く小さいのに、某○SKさんに騙されてアジア初というOLAPツール(海外ソフトの日本移植版)を導入したのですが、これが箸にも棒にもかからんほど使えない。

操作マニュアルも英語版しかないうえに、初物であちら側の担当者も何も分かっていない使えない人。問題があるごとに、大元の外国企業へ問い合わせる始末。しかも全然問題解決しないし、便利じゃないんだよねぇ~。

おとなしくoralce入れて、カスタマイズした方がよほどマシだったのに・・・。うちの担当者(上司)が新し物好きで、他の開発業務を全て私が肩代わりしてたので、そちらにはまっちゃって&はまっちゃって・・・。

ACCESSで事足りてしまうレベルなのに、1500万円ぐらい突っ込んだかな? オーナー社長はこれだけ投資したんだから、どれだけ売上アップに貢献するかと期待する一方、納期は遅れに遅れて、しかもその内容は売上には何も貢献しなさそう。これ以上納期遅れたら、支払い止めるぞ!騒ぎに発展。上司は、結局、何の役にもたたないハードとソフトを残したまま、転職しちゃうし・・・。

私は、直接関わってなかったそれらの残骸がサーバールームに放置されているのを見るたびに、経理担当の役員が溜息をつく。なんとかこれ使えないの・・・? 社長は視線にさえ、それを入れようとしない。

まあ、そんなもんです。

この手の話なら、私もご多分に漏れず、いくらでもありますが・・・本書は本当にある、実際の話が出てくるので、まだ経験していない人は、是非、痛い目に合う前に読んでおきましょう♪

既に経験しちゃった可哀想な人は、もう二度と再現しないように、防ぐための仕組みを再度考えるいいきっかけになると思います。私も実は、忘れてたもの。

SE等に関わらず、とにかくなんらかのプロジェクトに関わる人なら、絶対に無駄になりません。一読をお薦めします。4コマ漫画の絵柄もほのぼのしていて、結構好きです♪

SEの仕事の流れ:
1)要求定義―何をしたいのか
2)設計―どんなものを作るか
3)製造―実際に作製
4)試験―設計通りのものか
5)納品―要求定義通りのものか

SEのフシギな生態―失敗談から学ぶ成功のための30ヶ条 (幻冬舎文庫)(amazonリンク)
【目次】
1 要求定義編
2 設計編
3 製造編
4 試験編
5 納品編
6 プロジェクト管理編
7 転職編
8 実用的…かもしれない仕事術
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posted by alice-room at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスA】 | 更新情報をチェックする
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