電子書籍にPS3――「コンテンツと技術の融合」を唱えるソニーCEO
【itmediaより転載】
ソニーはITの歴史を記した電子書籍を書き換えたいと考えている。
ウォークマンやプレイステーションなどの革新的なハードに、音楽や映画「スパイダーマン」などのコンテンツで知られる同社は、このところ中核事業で苦戦してきた。
現在、新CEO(最高経営責任者)ハワード・ストリンガー氏の下で、ソニーは自らを改革し、有力家電企業として再浮上するために、2つの最重要資産――コンテンツとそれを再生するデバイス――をもっと完全に連係させることを目指していると、ストリンガー氏は2006 International Consumer Electronics Show(CES)の基調講演で語った。
同社は今年、携帯電話やデジカメ、PCに加えて、今春北米で発売される新しい電子書籍リーダー「Sony Reader」からプレイステーション 3(PS3)まで幅広い新製品を発表する。
これら新製品は多種多様だが、いずれも何らかのコンテンツ――電子書籍でも、映画でも、テレビコンテンツでも――にアクセスして共有する機能を備え、それがソニーの今後の戦略の大枠になるとストリンガー氏は語った。
「ほかのどのコンテンツ企業にも、ソニーのような技術への直観的な理解はない。ほかのどの企業も、ソニーほどコンテンツの需要を詳しく理解していない」(同氏)
「優れた製品を提供できるよう、もっと機敏になるために、自社の製品ラインを分析し、企業構造を再編した」とも同氏は付け加えた。
ソニーは2005年6月に、低迷するエレクトロニクス事業立て直しのため、米国事業の責任者だったストリンガー氏をCEOに据えた(6月23日の記事参照)。同氏の下でのソニーは、特に高精細に関してコンテンツの共有により重点を置く方針だ。
同社のPS3ではBlu-rayディスクを利用でき、同社傘下のSony Pictures Home Entertainmentは手始めに「Black Hawk Down」など20作の映画をBlu-rayフォーマットで提供する(1月5日の記事参照)。
同社の電子書籍リーダーSony Readerは今春、Sony Connect Store経由でダウンロードできる数千作の電子書籍と併せて提供開始される。
Sony Readerは内蔵メモリに100冊の電子書籍を保存でき、メモリースティックを使えばもっと多くの書籍を保存可能だ。ユーザーはフォントサイズを4段階で調整でき、本文をスクロールして読み進めたり戻ったりできる。ソニーはこのデバイスの価格を公表しなかった。
ストリンガー氏の講演では「ダ・ヴィンチ・コード」の著者であるダン・ブラウン氏がステージに登場し、電子書籍は旅行者が旅先でより多くの本を読めるようにする手段として人気を博すか、あるいは生徒が多数の教科書を1台の小型デバイスに格納し、重い鞄を持たなくても済むようにできるため学校で人気が出るだろうと語った。
最終的に、「電子書籍の出版コストが下がれば、(出版)会社は比較的知名度が低い作家の本を出すリスクを負えるようになるだろう」とブラウン氏。「その影響で、もっと多くの本が出版され、読者の選択肢が増える」
ソニーはSony Readerの販売と、Connect Storeを介した書籍の仲介で収益を上げる可能性が高い。
その後、俳優のトム・ハンクス氏と映画監督のロン・ハワード氏がステージに上がり、「ダ・ヴィンチ・コード」の映画について語った。ハンクス氏が登場する映画の一場面が、ソニーの高精細デジタルプロジェクトで上映された。
ハンクス氏はテレプロンプターに映されたせりふを読むことや、ソニーのデジカメなどのデバイスに搭載されたOSの操作の難しさについて冗談を言った。
「このフラッシュをオフにできたらいいんだけど」と同氏はステージ上に持ち込んだ小さなデジカメについて話した。
ハンクス氏とハワード氏の登場は、ストリンガー氏が言う「映画、テレビ、さらにはゲームの高精細ビデオへの移行」を強調するものだ。
今年、高精細テレビの売り上げは標準的なテレビのそれを上回る見通しであり、それと比べると「白黒からカラーへの移行は小さく見える」とストリンガー氏は語った。「真のHDを体験したら、消費者は戻りたいとは思わなくなる」
同氏はそれから、CBSのスポーツキャスター、グレッグ・ガンブル氏をステージに呼んだ。ガンブル氏は、高精細テレビではあたかも放送ブースにいるかのように試合が体験でき、タイガー・ウッズと同じ視界でゴルフのグリーンを見ることができると話した。
高精細への移行を促進する要因となるのが、最大50Gバイトのデータを保存でき、高精細ビデオ約9時間分を格納できるBlu-rayフォーマットだ。
ストリンガー氏はDell創設者のマイケル・デル氏をステージに上げ、Blu-rayについて語った。
デル氏は、Dellの顧客は高精細ビデオをサポートし、かつ10年以上持つ大容量バックアップを提供する新しいストレージ規格を求めていたと述べた。同社顧客の多くが現在使っている機器は、既に高精細コンテンツの表示に対応しているという。
「当社には、これらユーザーすべてに高精細コンテンツを提供する方法がある」(デル氏)
ストリンガー氏は次に、レーシングゲーム「F1 Formula」など幾つかのPS3ゲームの短いクリップを披露した。
ソニーは間もなく、クアッドバンド対応ウォークマン携帯「Sony Ericsson W810」をリリースする。この端末は音楽の再生、2メガピクセルのオートフォーカスカメラでの写真撮影が可能。
「人々はソニーを目にするあらゆる場所で、エンターテインメントとテクノロジーの融合のメリットを目の当たりにする」(ストリンガー氏)
「コンテンツとテクノロジーというのは変わった組み合わせだが、われわれは団結している。ソニーは素晴らしい製品で最高の消費者体験を作り出すことに献身し、団結している」と同氏は語った。
VAIOユーザーとしては、客寄せパンダでも良いですから、成功して欲しいところです。(笑)
冗談はさておき、より重要なのは電子書籍ではないでしょうか。PCや携帯では読みにくいですし、PDAは滅びかかっています。より高性能で、使いやすい電子書籍リーダーが生まれ、それが普及するのなら多少のことはどうでもいいような気がします。ただし、売れない作家でも、価値ある作品なら、電子書籍化されるということが前提条件になりますが。
電子書籍専用のリーダーも興味はあるんですが、何かと一緒にしないとなんか荷物が増えそうで・・・旅に持っていけません。現在は携帯とデジカメでアルコール&つまみ必須の旅人なんで(オイオイ)。
旅先に持ち出せてかさばらず、軽い。電池は最低1ヶ月持つ。この機能が欲しいですね!!だったら、是非購入したいなあ~。実は、ずっとそんなことを期待して待っていたりします。