2006年01月10日

「ローマと長安」若山 滋  講談社

まず著者は、世界都市としての条件として
 1)国家を超える力
 2)文化的な中心性
 3)異民族異文化の許容力
 4)普遍的な価値観
以上の4つを定義し、それに当てはまる都市としてローマ、長安、パリ、ニューヨークは少なくてもその条件を満たしているとする。本書では、その世界都市のプロトタイプとして特にローマと長安に着目して、比較しながら都市文明について論じている。

とまあ、前置きはそんなところでしょうか。狭い範囲で高層化して建築に住むローマに対して、広い範囲で平屋や低層階建築に住む長安。貴族・平民・奴隷といった階級社会の中で議論によって物事を決していく社会に対し、皇帝以外は、すべて同じで科挙さえ通れば、誰でも出世できる平等社会の中で文章によって物事を決めていく社会。そういった感じでいろいろな面から比較をしており、その内容自体は素直に首肯できるものでつまらなくはないが、いかんせん議論が表面的。言い変えると、全部既知の事柄を並べ替えているレベルであり、そこになんらの独創性や斬新さはない。知識のおさらいと整理にはいいかも?

読んでいてそれなりに暇つぶしにはなるが、二度読む必要はなく、流し読み以上の価値はないと思う。文化論としてもありがちな東西比較であり、建築的にはさらになんらの価値も無い。せいぜいがエッセイと言えるかどうか? そういったレベルの本でした。もっとしっかりした本が読みたいです。でも、そういうのって読むの疲れるし、本が高いからなあ~。と言いつつ、今日も古書店で本を買い、昨日もamazonで買ってしまった。どうして・・・???

ローマと長安―古代世界帝国の都(amazonリンク)
posted by alice-room at 22:46| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 歴史A】 | 更新情報をチェックする
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