2009年03月23日

「ウチのシステムはなぜ使えない」岡嶋 裕史 光文社

私には文句無く一押しの本です。自分がシステムの発注側で新人や部下がいたら、「とりあえず、これ読んでおけ」と自腹で購入して渡すと思います。

少なくとも私がいたベンチャーである中小企業のシステム開発では、本当にここに書かれた内容が現実として起っていました。一時ソリューシュン・ビジネスとか提案営業とか流行っていましたが、何かありませんか?的な御用聞きばかりで業務効率の改善につながるような提案をしてくれた業者さんは皆無でした。

(念の為、言っとくと素晴らしい会社もあるんでしょうが、コスト的に高くて近江商人がオーナーのベンチャー企業じゃあ、相手にしてもらえなかったというのも事実の一端だったりする)

そうかと思えば、他社と変わり映えしない自社製品カタログを持って、こういうのができます、ああいうのができますといいながら、通販業界固有の定型業務さえ理解しておらず、こちらが振った課題にまともに回答できないところがほとんどでした。正直、使えなかったです。

某○SKさんに至っては、アジア発の売り先に当社を選んでくれてまさに『人柱』にしてくれたりしてもう大変! マニュアルが英語なのはまだしも当初の仕様書に書かれた内容が全然実現できていない製品を納品し、誰も使わないまま毎月何10万円ものリース代だけが払わされる結果に・・・。

そのせいで上司は、責任をとったのか不倫がこじれたのか会社辞めちゃうし・・・その後釜で部長になった私に経理担当役員が泣きついてきた姿を今でも思い出します。なんだかなあ~。使えないくせに開発期間ばかりはしっかり一人前にとり、納期はズレズレで社長が切れてたなあ~。

他のシステム開発も似たり寄ったり。当然、納期なんて一度たりとも守られたことなかったような・・・?あまりにもひどい遅延に支払い止めて、追い込みかけたことが何度あったことか・・・。短気な社長は一日に何回も進展状況の確認をしにくるが、私知らないって・・・そのシステム発注したのは、逃げた元上司だし・・・。

私の場合、発注側だったことが多いのですが、ソフト開発会社にもいたことがあり、仕様書に書かれていないことを平気で作り込むプログラマー(SE含む)には大いに泣かされた経験もあります。何故か、韓国や中国の発注先のプロジェクト管理&テスターまでする羽目になり、言葉以前に、思考方法の根本的な違いに、胃に穴あきそうになりました。
(管理者権限のないアカウントでインストールして使用させる為に、強引に一時的にアクセス権限付与するって、それ完全にルール違反! つ~か、ほとんどマルウェア的な行動のような???)

う~ん、それがあるからベタなプログラマーやSEっぽい仕事には関わりません、私(笑顔)。

まあ、私のことはさておき。
開発系と運用系の違いについては、私も漠然と感じていましたが、本書の主張に大いに同感です。開発側のバグを全部押し付けられて、どこにも当たれず、それでいて責任だけは負わされる。救われないような気がしてなりません。新しいシステムを作るというのは、やっぱり単純にモノを生み出す以上、楽しい♪と思うんだよぇ~。
(たとえ、どんなに問題があったにせよ・・・)

一方、運用系は深夜でもなんでも、システムを止めることができない昨今、通常の業務中にはまして影響させるわけにもいかず、しわ寄せは担当者の涙・涙へと押しやられます。

確かに、システム部門にいた時、GWや年末年始、お盆に休むなんて考えられなかったもんねぇ~。業務への影響を極力減少させられる時期だけに、いつもシステムのテスト稼動やパッチ当て等々、業者さんと一緒に徹夜していたことを思い出しました。

休日に休めず、無事稼動しているのを見届けて、代休で平日に休んだ時に限って、トラブルが発生すると連絡来るし、なんだかなあ~。国内のどこにいても呼び出させるのでそれが嫌で海外旅行に行き始めたぐらいですし・・・。今は海外に行っても追いかけられてきそうで嫌な時代ですネ。

そんなこんなも含めて、本書は実に示唆に富む内容だと思います。勿論、実際に仕事してれば、これぐらいの内容みんな知っているし、経験しているはずですが、新人だったら、是非事前に知っておいて欲しいと心から思いますね。本書のレベルさえ知らないまま、とんでもないことになっている人、実にたくさんいらっしゃいます。ホント。

とんでもなく使えない業者とかもざらにいますから・・・マジに!!

もっとも、それに輪をかけてよく考えもせず、あれしたいこれしたいと希望だけ出して仕様を詰めもせず、実装した後に、平気で根本から変わるような仕様変更を当然として要求する現場など、社内もヒドイんだけどね。逆の業者の立場だったら、こんなはした金に短納期でできるかと切れんばかりかもしれませんが・・・(合掌)。

まあ、今の職場で業務用ツールの製作依頼されてるのも、たぶんにこれらのミニチュア版の問題は内在してますけど・・・まあ、家内製手工業的な部署内作業なんで、なんぼかマシです。ただ全社的観点から見ると、本当はどうかなあ~と思いますが、過渡期である以上、しかたないのかなあ~。

どうも自分のお粗末な経験やらなにやらでラチのあかない文章になってしまっておりますが、システム絡みのことを書いた本としては、私が読んだ中で一番有用です。

もう速攻で役立ちます。研修用にまず最初に読ますべき教材ですね! 素直に読んでいて大変面白かったです(笑顔)。
【目次】
第1部 SEという人々
 SEという生き物
 開発系の人々
 開発技術者の周縁の人々
 運用系の人々

第2部 SEと仕事をするということ
 間違いだらけのIT企業選び
 システム開発を依頼する
 SEへバトンタッチ
 システム開発の工程を追う

第3部 ユーザとSEの胸のうち
ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学(amazonリンク)

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posted by alice-room at 22:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
貴殿の会社人としての経験値はそこそこかなりですが、IT度はさほど高くなさそうですね(今時
"C"なんて)。
がんばってください。
Posted by hoge at 2009年03月24日 23:22
hogeさん、初めまして。コメント有り難うございます。
そうなのですよ~、メインはデータベースマーケティングの企画屋さんで、人手がなくて片手間にシステムもどきの事をさせられてたので正直そちら系ではなかったりします。
あくまでもおまけ的に知っておこうというので、ようやくC言語に手を出し始めたばかりです。
基本だけさらった後は、それ以上不要ですしね。まあ、oracleとの絡みがあるのでSQLはきちんと一度やっておくべきでしょうが、使わない言語だとなかなかやる気が湧かず、現実逃避してしまうのが悲しい限りです。
Posted by alice-room at 2009年03月25日 00:10
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