サブタイトルでジョイスのことに触れていたから、一抹の不安があったんだけど悪い方向で当たってしまいました。私が知りたいいにしえのケルトに関することなど、何もなく、ケルト的な要素を現代に引き継ぐ「フィネガンズ・ウェイク」のジョイスの話とか、著者の個人的な日常の話が書かれているだけで、大いに失望した。天下の岩波といえどもやっぱりつまらない本も出すんだね。自戒の意味も込めて、反省しきりの私です。
少なくともケルトに関することが読みたくて、買う本ではありません。本書の前にジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」を既に読んでなければ、意味分からんって!私と同じ後悔をしないように皆様御注意を! 良く言えば、ケルトもどきのエッセイでしょうか? エッセイに行く前の単なる著者の日記もどきに見えてしまいます。ブログで書くのにはちょうどいいかも。
amazonに書かれている出版社や著者からの内容紹介には、嘘じゃないの~と言いたくなります。マジに。ケルトをダシにして、思い付くままに独りごとを書き連ねているのでは? もっとも非常に読み易いので、その手の文章が好きな人にはいいと思いますが、少なくとも内容紹介と実際の内容は異なっていると思います。
だって、一番肝心のケルト航海譚がちっても出てこないのであやうく読むの止めて速攻で古書店に売り飛ばそうかと思いましたもん、私。本書の中で、一番読みたくてまた一番価値があったのは「聖ブレンダン航海譚」の話。わずか11頁ながら、ここだけは一読の価値有り。逆にここだけが読みたくてこの本買ったんだもん。11頁だけ切り取って後は、本当に売るか捨てるかな? ちょっとイライラしております。値段が高い割にたったの11頁なんだもん!使えるのは。
やっぱり!素直にもう一冊の方「聖ブランダン航海譚」だけ買っておけば良かった。しかたないんであちらを買い直そうっと。あ~あ、無駄金を使ってしまった(鬱)。
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著者の鶴岡氏、前回良かったケルトの本でもたま~に本文に関係無いエッセイ的なとこがあって無意味で嫌だったけど、全体としては良かったので大目に見ました。でも、この本はひどすぎ。読者が読みたいのは、個人的なエッセイではなく、あくまでも知識としてのケルトなんですが…。この著者の本を買う時には、今後のその辺の無駄なところがあまり無いかチェックしてから買おうっと。
しかし、時間とお金を無駄にしてしまったなあ~。もっと読まなければならない本がすぐ脇に山積みなのにさあ~、ちぇっ(グチグチ)。もう~(号泣)。
【補足】
平凡社からは「ジョイスとケルト世界」というタイトルで改題されていまは出ている。これならば、詐欺に当たらないだろう。逆に言えば、本書のタイトルはちょっとヒドイと思った。
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関連ブログ
「図説 ケルトの歴史」鶴岡 真弓,村松 一男 河出書房新社
「ケルト神話と中世騎士物語」田中 仁彦 中央公論社
聖ブレンダンの航海譚 抜粋