2009年04月16日

「古城の迷路」ドロシー ギルマン 集英社

表紙の絵があまり好きではないタイプでしたが、魔術師が出てきたり、迷路を彷徨ったりするファンタジーっぽいノリでしたので読んでみました。

途中までパウロ・コエーリョ的な感覚で人生に前向きに立ち向かっていく方向性を示し、常に勇気をもって事に当たる姿勢に好感を持っていました。久々に、コエーリョに次ぐ傑作かと期待したのですが・・・。

いつのまにか、無意味な戦闘があったり、思わせぶりでありながら、深みがない台詞に正直途中から、かなり冷ややかに読むようになりました。

更に、途中で人に裏切られる件も何の意味も教訓さえも見出せず、不可解なうえに、最後の終りは・・・笑止!
駄作以外の何物とも思えません。

コエーリョの作品の本質を抜き取り、どうでもいい部分や空虚な思わせぶりな台詞だけで作ると本作レベルになります。

たぶん著者ってイギリス人ではないと思います。アメリカ人じゃないかな? イギリス人ってもっと考える人多いし・・・。伝統が違うっしょ! いろんな意味で表面的過ぎて、中身が無いんだもん。がっかり。

タニス・リーの片鱗さえ見受けられないし、コエーリョとは似ても似つかないスケールの小ささです。

一応、粗筋話すと、両親を失った孤独な少年が世の理不尽を嘆いて、そこからの解決を目指し、古城の中の迷路へと旅に出ます。旅の途中で様々な困難にあい、少年はいろいろなことを体験し、学んで成長していくという物語ですが・・・。

コエーリョやタニス・リーを読んだ後に、本書を読むと絶望感というか徒労感に襲われます。特に最後の部分は、呆気に囚われた後、著者の手抜きとしか思えなくて憤りを感じました。決して、余韻を残したり、読者に考えさせるような意味合いではないと思います。

私だったら、知人に絶対別な本をお薦めします。

古城の迷路 (集英社文庫)(amazonリンク)

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posted by alice-room at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 海外小説B】 | 更新情報をチェックする
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