2009年04月26日

「吸血鬼のおしごと」1~3巻 鈴木鈴 メディアワークス

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夜のガテン系バイトでお金を稼ぎ、輸血用血液を買って生活する吸血鬼に、いたずら好きの幽霊、箱入り娘のお嬢様シスター。そして醒めた使い魔のネコ。

それらが同居するボロ屋敷でのゆる系ラノベってことでほとんど全てです。

もっとも1巻はゆる系の要素が濃かったものの、3巻以降はかなりシリアス調っていうか、重く暗くなっていくのは、はてさてどんなもんかな?

どうしても明るいほのぼの生活だけでは、物語として盛り上がらないのか、ところどころ、事件(イベント)として暗い部分が入るのですが、基本は救いのある方向で処理されるので、全体としては明るさがあります。

ひねりや工夫はないものの、実に素直な文章で私、嫌いじゃないです。

2巻になると、大司教やら家族やらが出てきますし、サザエさんかと思っちゃうほど健全ですが、思春期の読者レベルに合わせてか、登場人物の思考パターンが、小さなことを大袈裟に気にして、脳内妄想でループし、いじいじうじうじしちゃうのが、少々歯痒い限りですが、まあ、この年頃故の発想ですね。

かつての西尾氏のような毒はないですし、UG系のやばさもありません。吸血鬼につきものの高貴な貴族性とか、オカルト的なダークさもありませんが、たまには、こういうのもいいかなあ~と思います。

ただ、吸血鬼がここまで庶民レベルに落ちてくるのは、時代なんだなあ~と思います。大衆は、英雄を好まず、求めず、アラを探して地に落とすことに拍手喝采をする時代。小さな世界こそが、身近な世界なのでしょう。今の時代故のラノベかもしれません。

でも、それなりに面白いと思います。

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posted by alice-room at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする
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