2009年05月29日

「チェンジ・ザ・ルール!」エリヤフ・ゴールドラット ダイヤモンド社

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「ゴール」を読んで、そうそうまさにあそこがボトル・ネックなんだよねぇ~とか言って、経営が分かったような気になっていた人には、本書も大変面白いと思う。

私もゴールを初めて読んだ時は、目からウロコのような気がしたし、当然本書も面白くて、昨日の電車の行き帰りだけで読めた。

もっとも、何年も前に購入して今まで読まなかったのには、理由があるのだけれど・・・。

舞台は、ソフトウェア会社。急成長を遂げたきた業界を題材にして、マネジメントの面白さを実に一般受けしやすく描いている。そこいらにあるビジネス小説よりは、はるかに読み物として面白い!!

それは事実だ。

同時に、本書が小説という体裁で、読者に主張しているのも非常に明確である。

コンピュータ・ソフトウェアの導入とは、従来できなかった制約を打破する為に実施されるが、従来の制約を前提にして最適化された企業内の組織やルールが温存される限り、実質的な制約は存在しているのと同様の状況であり、企業の最終目標である利益の実現にはつながらない。

即ち、ソフトウェアの導入に合わせて、新しい環境下での最適化が企業内で行われてこそ、初めて利益が上がる。・・・これが本書の核心である。

実際のビジネスでしばしばあるシーンをふんだんに取り入れ、マネジメント論を学ぼうとする人々に夢と希望を与える物語だと思う。ただ、正直言うと、私の知り合いも言っていたが学部生レベルの内容でしかないのも事実だろう。

だって、陳腐過ぎた表現で馬鹿にされそうであるが、ここで述べているのは「費用対効果」に他ならない。

今風に言うと「フィージビリティスタディ」をするのは、最低限の常識以外の何物でもない。本書を読んで、良かったなどと言う人は、目先の表現に踊らされて本質が見えていないのだと思う。

だって、本書では一番大切なことが抜け落ちているのだから!!

新しいソフトウェアの導入に限らず、ビジネスをする環境が変われば、その変化に応じて、新しい最適化された対応(人の考え方や行動基準、組織)が必要なことは誰でも分かっている。

問題は、どうやってそれを行うのか、これこそが一番のポイントであり、一番困難な点です。WHATではなく、HOWなのですよ・・・。

企業が利益を上げる為のソフトウェアなんて、最新のものなんて必要ないでしょう。システムの安定性さえ確保されず、値段ばかり高くてメリットが明確にならないものなんて駄目です。

ソフトを使って、何をするかを考えて人や組織が変わるならまだしも、ソフトを使う為だけに人や組織が無理して変更されるような馬鹿な事態を引き起こしている会社が、無数にあるし、私も何度も経験していたりする。

試しに展示会で新規リリース予定のソフトについて質問すると実感できます。ソフトの新機能とやらで直接利益につなげる事例として、それをどのように使うか(=表面的なものではなく、具体的な社内導入の事例ね。反対する部門や勢力を抑えつつ、現場に受け入れさせ、業務フローを全面的に変えるまで至ったか)聞いてみるといい。

いろんなところで展示会や営業マンに聞いて、まともに知りたい答えが返ってきたことなんて一度もないです。

逆に言えば、ソフトなんかよりも組織を変化させるノウハウこそが金を出しても欲しいモノなんだけどね。ソフトなんてものは、所詮道具であり、使う人の役に立ってこそ価値が生まれるのですが・・・。

現実は無用の長物であることがしばしばです。何でもそうですが、使えこなせない人には、猫に小判、豚に真珠以外の何物でもありません。

他社と違うところを説明したいというので、アポを承諾したが、カタログに書かれた以上のことを言えず、10分で帰って頂いた方が何人いたことか・・・。ベンチャーは忙しいのです。マネジメントから、現場仕事まで全てやらなきゃならないのですから。

で、会社全体の売上をあげつつ、基本は定時で帰るんだから。新入社員より早いじゃんと役員になんか言われても笑顔で「お先に失礼します」と言って帰り。予算実績会議でも新規プロジェクトを推進するんだから、それなりのタフさは必要です。
(その割に、精神的には弱いんですけどね。体も弱いけど)

話がそれました。
とにかく、本書では一番大切なポイントである、いかにして環境の変化(本書ではソフトウェアの導入)に対応して人や組織を変えていくかの方法論が示されていません。

綺麗事の絵空事ばかりで、どこの会社でもそうですが、誰でも分かっているんですよ。どうすればいいかなんて。一番困難なものは、それをいかに実現するかです。

そういう意味では、やっぱり「The Toyota Way」がベターです。おそらく限りなくベストに近いベターですね。

もっと根底から、人々の潜在意識から、最適化を可能にしていくヒントがあります。しかも常に変化していくまさに動的均衡を求める仕組みと言ってもいいかも。

私も最初は図書館で借りて読みましたが、感動して速攻、自腹で購入しました。そうだ、まだ書評あげてなかった!

本書が面白かったなら、是非&是非、もっと深く考え、学ぶべきです。それには「The Toyota Way」を超・お薦めします。日本語訳もあるけど、元が英語だったら、絶対に英文の方がいいです。最悪、日本語訳と並行してでも英語で読んでみて下さい。

非常に分かり易い英語で、英語の勉強と同時に経営が学べます。もう、いちいち頷きながら読んでしまう事、間違い無しです。

あちらを読むと、ゴールや本書は、お子様向けと感じてしまうのも故無きことと納得して頂けるのでは?

本書を読んで、私はもう一度、「The Toyota Way」を読みたい&読まねばと強く思いました。
【目次】
1 バグ
2 利益的貢献
3 最適化
4 決断
5 大芝居
6 本当の始まり
チェンジ・ザ・ルール!(amazonリンク)


The Toyota Way: 14 Management Principles from the World's Greatest Manufacturer(amazonリンク)

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posted by alice-room at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
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