で・す・が・・・。
今回は藤木氏らしい、持ち味が出ている作品でした! 読んでいて面白かったです。こういうのスキ♪
設定は、お得意の明治時代。廃仏毀釈の嵐の吹き荒れる中、急速な中央集権を進める為に、政府は無理して変革を求めます。
フランス革命で、貴重なゴシック建築を初めとした建物、ステンドグラス、聖遺物、手彩色写本等々が無残にも破壊されたのと同様ですね。時代の変革期、人は『従来を価値観を体現するものを破壊する』という行為でしか、新しさを表現できないんですね。愚かな・・・。
まあ、それはいいんですが、当時の日本も神仏習合の伝統を否定する為に、至るところで分離政策が強行されました。そんな時代を背景にして、政府の命令でとある神社を復興し、それに関係する橋を建設しようとします。しかし、それは迷信と一蹴される【鬼】を呼び起こすことに・・・!
朱雀の血縁者が出てきますが、今回は、活躍の方向が微妙に違います。でも&でも、あのニヒリズム溢れる態度は、好きなんですよ~。かつての私みたい。もっとも私はそんなに博識ではありませんけどね。
相変わらずの日本らしさ(土着のドロドロの怨念やら何やらが混在したもの)を描かせると素晴らしい味わいがあります。これぞ日本!ってな感じですので、その手のもの好きな方お薦めします。
電子立国日本とかとは、真逆の日本像ですが、これもまた日本って奴です(満面の笑み)。
短編の少~しだけ長いものってぐらいですぐ読めちゃいます。
鬼を斬る (祥伝社文庫)(amazonリンク)
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