2009年06月20日

「斜陽 他1篇」太宰治 岩波書店

何をいまさらという気がしないでもないのですが、ふと読んでないことを思い出し、かつてのフジテレビの深夜番組「文學ト云フ事」でやっていたことを思い出した。

緒川たまき、好きだったなあ~♪

さて、「斜陽族」とか言葉がかつて流行ったそうだが、私は「社用族」ぐらいしか知らないなあ~。それぐらい文学が人々の心を捉えていた時代の小説である。

さすがにうまいです。冒頭の貴族のママは、俗世から一歩抜きん出ていて、存在そのものが貴族なんだなあ~。作中の家族からの視点に共感しないではいられません。

むしろ、それと対照的に子供達の俗っぷりがいろんな意味で鼻につく、というのが第一の感想ですね。勿論、ある種の憐憫というか、失われし時代の哀愁とでもいうものがあるのですが、貴族くささではなく、単純にその優柔不断さ、他力本願さ、自己愛といったものがまさに鼻持ちならないのです。

つ~か、弟、周囲に迷惑をかけずにひとりでひっそりと即、死んで!っと思わずにいられません。まあ、死ぬんだけど、さんざん好きなことして周囲を不幸にしたうえで、僕は誰よりも苦悩してたんだ、などという愚者の愚痴に耳を傾ける気も、度量も私にはありません。

というか、相当むかつきます。なんだかんだ言って、自らの巣に戻り、一人で誰からも省みられず孤独な死を迎えるだけの気持ちもないまま、安っぽいプライド持たれてもねぇ~。

本当にタチが悪いです。別にいいんです。当人が死のうと生きようと、私はその人の意思を尊重しますが、そういう奴に限って、周りの人間まで不幸に陥れようとするからなあ~。

自傷癖があろうと腕にリストカットの傷が残っていようが、そりゃ貴方(貴女)の勝手ですが、こちらに甘えてくるな!ってネ。まあ、私もその手の人に関わってしまった記憶がありますが、中途半端な同情は、お互いにとってマイナスで負の連鎖というか、不幸の伝播でしかないのを身をもって知りましたので、速攻切ります。つ~か、切らねば駄目です。

何故、民衆に混じろうとするのか、それ自体が既に理解不能ですけどね。人はみんな違うという、個人主義の本質が分かれば、そんな馬鹿な心情には至らないはずですが・・・。

大衆に迎合する事と、時代に合わせた生き方をはき違えている感じがしてなりません。

本当の意味での宮沢賢治の行動なども、私には、あくまでも自己正当化の為に利己的に行われた『偽善』としか思えませんが、太宰の場合は、偽善としての取繕いが無いのだけは救われますかね?

もっとも、かえって露悪的な悪趣味の感じがしないではないですが・・・。

なんでもいいから、ちょっときっかけがあっただけの男の子供が欲しいと行動し、妊娠した様子なのを喜ぶこの女性は何? 

金目当てのキャバ嬢の方がはるかに考え方が純真で偽りがなく、素敵なんですけど・・・。生き甲斐がないから、無理に虚構の「恋愛」を作り出し、それにああだこうだと理屈をつけて、ああ~もう、うっとおしい。

M.C.・・・・だって!
この手の耐えらんないんだけど。

革命とか主義主張なんて、どうでもいいんです。どんな政治体制だって、組織だって、要は上に立てば、権力が手に入る。そこが肝要であって、あとは何も変わりません。日本なんかよりもよっぽど競争が激しく熾烈な中国は、資本主義じゃないんだ・・・。

石油や鉄鉱石を外貨で買い漁る某国には、資本主義なんて考えはネ(笑止)。

今だったら、ニートやらなにやら人生をドロップアウトした人の共感を得るのでしょうか? 太宰は。金持ちのボンボン以外の何者でもないのだけれど。最後の最後まで、親の金じゃなかったっけ?

一人で誰の迷惑もかけずに死んで欲しいものです。つ~か、早くこういう人達は社会からいなくなって!

一生懸命頑張って、努力している人もたくさんいるし、そういう人の足を引っ張って不幸を広めようとする人を社会は許容すべきなのでしょうか? 新派の刑法で、予防的に捕まえて強制収容所でもつっこんでおきたくなります。そんなこと言ってる私がいれられなくもないですが・・・危ない&危ない。

とまあ、大変イライラさせられる小説ですが、逆に言えば、それだけ心に何かしらインパクトを与える力を持った作品と言えるでしょう。好き嫌いは別にして。

悩んでいる人なんて、いくらでもいます。死ぬ事を考える人だって、たくさんいるでしょう。ただね、そこから、どうするかがその人の価値だし、人生そのものなんだけどね。

何も持たずに、どっかの山奥でも放浪すると、『生』を実感できますよ。絶食を2、3日するだけでも感覚が鋭敏になります。会社に通勤してるだけで、生きていると思えるなんて、嘘くさいです。

いつ刺されるか、いつ藪から銃で撃たれるかと思うと、何故かかえっていきいきとして生を実感できちゃう人間って不思議です。中南米でも放浪してきて下さい。たぶん、甘っちょろい奴は、死ぬけど。そういうのは死んだ方がいいので。

久々に負の感情をふつふつとたぎらせてくれた小説でした。思わず、ゆとり教育用のテキストに最適?とか思っちゃったかも(笑)。


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ラベル:小説 書評
posted by alice-room at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする
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