2009年07月26日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん3」入間人間 メディアワークス

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今回は、ぞくぞくする精神的崩壊感というよりも、一つ間違うと安っぽいスプラッターになってしまい、特定の嗜好の読者層に受けてしまいそうだが、その意味では安心していいです。しっかり精神的にヤバイです。

まーちゃんは、まーちゃんらしさ全開(全壊?)で、もう究極レベルで抱きしめて手放したくないくらい、危うい(あぶないではない!)のでたまりません。みーくんのように、どうでもいい自分らしさ、アイデンティティーなんて即刻放棄して、まーちゃんの求める『形』であるところのみーくんで終わってしまってもいいと思っちゃいます。

そんくらい魅力的なまーちゃんが描かれています。いいね、妥協や虚飾が無くて、素敵な理想の世界の住人であることがうかがわれます。もっとも現実には有り得ないから理想なのであって、その世界に生きるには、現実の世界で実質死なねば、ならないのですが・・・・。

みーくんの家庭環境が、今回はいろいろを明らかになります。まあ、CNNとか見てると出てきそうな、ご家族ですね。日本でなら、尊属殺人での違憲判決の事例を見れば、ありえるお話であって、絵空事の物語ではないなあ~と思います。

まあ、いろんな環境で、いろんな人がいて、いろんな事があるんだけど、それでも人は生きていくんですよ。死ねば楽という人は死んじゃえばいいのであって、死ねない、死なない人は、現実世界との齟齬を感じつつもそこで共生していくわけです。

まーちゃんは、能面の表情で世界と話をつけ、みーくんは自らの発言を嘘とすることで、やりくりをつけていたりする。

まあ、私なんかは、学校でも職場でも、優等生や真面目(そうな)社員と外形を整えることで、周囲から独自の距離を保ってきましたが・・・会社の飲み会、大きなもの一次会しか出ないし・・・。

個人としての人には興味あるけど、同僚や上司、部下としての人には、勤務時間以外は、一緒にいたくないもんなあ~。そんな訳で企業城下町にはいられないかったのだけれど・・・。

チョコね、大イベントですね。掛け値なしに善意から出た残虐行為(賞味期限切れ、毒物菓子)は背筋が凍りますね。

そうじゃなくてもみーくん、不死身なんでしょうか? あれだけ、殴られて蹴られ、刺され、落とされ、生きているのは僥倖としか言えません。でも、みーくんは、まーちゃん残して死ぬのは難しいんでしょうね。希望とか、優しさとかそういった次元ではない、宗教の教祖様的カリスマありますから、まーちゃんって!

まあ、しょうがないですよ。自分(&まーちゃん)の幸せ、というか存在の為に、周りが犠牲になるのは止むを得ないもの。進んで周囲に関わりを持つ気は無くて、進んで周りを犠牲にする気はなくても、それが必要なら躊躇わずに行動を移すところは、基本ですね。ハイ!

ダラダラと行動せずに、悩むほど人に時間はないのですから。直観とパターン認識でOK。間違ってたら、気付いた時点で最良の行動をとりゃいいんです。

殺される蓋然性があるレベル以上にあるならば、躊躇わず、こっちからやるか逃げるかしかありません。やる自信がないならば、ひたすら逃げるのが王道でしょう。

そういやあ~昔私もいじめられかけたことあったけど、相手のスキをみて道具使って徹底的にボコボコにしたら、二度と寄って来なくなったっけ?

やる時は、手加減せず、徹底的に相手の反抗心や復讐心を抱けないほどやるのが基本です。お仕事の取引先や部下にも、これは有効ですね。

勿論、大人としてはフォローもしますが、どこの世界もなめられたらおしまいなのは、一緒です。

まーちゃんをなめるような態度を取れる人はいないでしょうけどね。もっともまーちゃんをなめるみーくんはいますけど・・・。

今日は偏頭痛に憂鬱さ一欠けらを加えた素敵な休日の開幕で、本書を読んでいたら、自分の精神の危うさをふと思い出したりしてしまいましたよ~(苦笑)。

選択は大切。人生は選ばれなくとも、選ぶ苦行はつきものです。みーくんも選ぶべくして選んだりしてますしね。どうせ死ぬなら、まーちゃんにちょっかい出したがる稲沢死んどきゃいいのに・・・。

続刊で死んでそうだけど・・・。まあ、後の楽しみですね。

読む人によって、いろいろと思うところはあるでしょうが、大切な人(家族や恋人、友人等)を改めて大切にして、小さな世界で生きていきたいと思った。

しゃーないです。かりせめの役柄を明日もせねば。まあ、それで均衡が保てるのなら、たいしたことない義務ですね。学生の時に、学校へ行く事がどれほど精神的苦痛と引き換えであったかを思えば、会社で黙々と仕事してる方が楽かもしんない。

少なくとも、学生の時よりは、自由時間あるもんなあ~。夢はないけど、今は生きてるの楽です♪ 僕には僕のまーちゃんがいるしね。

確かに、深夜絶叫しないまでも、それなりに精神的揺さぶりをかけられたりもしますが、まあ、耐えられる範囲ならいいんでしょう。

この本を読んでいて、ふと戸川純の歌を口ずさんでいたりする「好き好き大好き」とか「オーロラB」とか。「肉屋のように」は、そのまんまか(苦笑)。この手の曲ばかり聞いて思春期過ごした私に明日は無いってか・・・?

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生 (電撃文庫 い 9-3)(amazonリンク)







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posted by alice-room at 20:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
alice-roomさん、こんばんは
このシリーズは、西尾維新系の物語というような話を聞いた事があります。入間人間というペンネーム自体が西尾維新的だと思います。
本屋で手に取ったとき、今ひとつ合わなそうだったので結局買わなかったのですが、alice-roomさんがかなりはまっておられるようなので、好奇心が刺激されました。積読本が減ったら読んでみたいと思います。(笑)
「シナイ写本」の記事にTBさせていただきましたので、よろしくお願いいたします。
Posted by lapis at 2009年07月27日 21:26
lapisさん、おはようございます。シナイ写本、TB有り難うございます。

>このシリーズは、西尾維新系の物語というような話を聞いた事があります。
さすがは情報の早いlapisさん、おっしゃられるように、私は自分が読み始めて他の方の書評なども見ましたが、そういう方多いですね。

確かに、西尾氏の作品に近い世界観あります。ただ、もっと身近でもっとヤバイです。

戯言シリーズのようなひねりは、基本無いですが、その分、シンプルに人間の精神を扱っている感じでより生々しいです。

かなり、というか極めて、人間の嫌~な側面が表現されますので、もしかしたら、お好みに合わないかもしれませんが、もし機会がございましたら、眺めてみるだけの価値はあるかもしれません。

ただ、最近はまってしまっているので全巻読破しちゃうのは時間の問題ですが、自分と他の読者の頭の中を心配してしまう弊害が・・・笑。

化物語、壮大な実験場と化してますね(笑)。
Posted by alice-room at 2009年07月28日 04:06
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