2009年10月07日

「トヨタ」日本経済新聞社

1999年に出た本だから、相当古い。だからこそ、逆に面白い。

というか、トヨタが世界NO1になる以前で、まだまだこれから伸びていくぞ~という時期で、そもそもの世界の自動車市場が縮小均衡になる以前の話なので、なんだかんだ言ってもまだ先行きへ未来が持てた頃の感じがします。

勿論、現在も長期的には市場は伸びていくのでしょうが、短期的な閉塞感は、当時には無かったものです。

本書は、トヨタについて書かれた本としては、珍しくノーマルな経営戦略がメインで、しばしば取り沙汰されるトヨタ式生産方式とかとは、距離を置いた日経らしい本となっています。

内容的には10年一昔とはよく言ったもので、本書で書かれている内容との違いも面白いです。

中国では第一汽車だっけ? 当時では全く想像もつかないとこと提携したり、アメリカでのあの感慨深い一番最初の工場の閉鎖とか、現在の状況の方がはるかに変化・変革の速度が増しているのを実感しますが、その一方で、インドのタタの登場や、日本でのコンパクトカーやハイブリッド車の台頭を予想し、着実に準備してきた先見の明(あるいは、長期的展望に立つ、揺るぎない信念)といったものを感じさせます。

状況に応じて、変わり身が早くなくては、競争で勝ち残れませんが、その一方で、高度交通システムへの対応など、10、20年先まで見越して準備していかねばならないことには、淡々として投資をしていく。

口では言えてもなかなか実行できないもんです。

友人から聞いた、それこそこの本の出る相当前から、トヨタがパワーデバイス関係の中途採用を積極的にやっていたのなんて、まさに現在のプリウスやその先の電気自動車のまさに中核技術ですからね。

トヨタがつぶれても、デンソーは生き残れる、というのは、改めて本書を読んで、なるほどねぇ~と思いました。

そういやあ~、あの日立も上場してた子会社を完全に本体に吸収したりしてましたね。経済的合理性の名の下で、資本の論理を全面に出して、グループ会社全体での最適化を求める時代が来ているんでしょうね。

新聞記事や雑誌の特集を増量した感じでしょうか? 現在へと繋がるその分析は、それなりに正確で的を得ていたと思います。本書を読み、現在のリアルタイムの動きを当てはめることで、将来がどうなっていくのか? 

考える為のいい素材を与えてくれると思います。カード戦略の失敗とかGAZOOとかいろいろとポシャッタものも多いですが、その根底にある方向性は明確で首尾一貫しているものが分かりますので、大変参考になるかと思います。

まあ、時代は本当に変わっていきますね。

友人は転職していないのに、所属する事業部が合併を繰り返すことで、所属する社名が今度で3社目に変わるそうですし、私がいたベンチャーは上場したものの、経営難でオーナーが経営権を譲渡しちゃいましたし・・・。

私なんかも、最初の大企業以降は、絵に描いたようなベンチャーをぐるぐるまわっているもんなあ~。最近、落ち目ですから、なんとか頑張って逆転したいところですが、とにかくチャンスを見て挑戦できるように準備だけはしておかねば!!

TOEICとかも、もう一度勉強しようかな? う~ん、英語力さびついていそう。
【目次】
序章 「奥田トヨタ」の千四百日
第1章 生き残りかけた新しい経営の模索
第2章 「資本の論理」映すグループ戦略
第3章 車の売り方を変えろ―シェア四割復帰への挑戦
第4章 「コスト革命」に挑む
第5章 世界を相手にあくなき挑戦
第6章 デンソー―岐路に立つグループ最大子会社
第7章 トヨタ改革は進むか―奥田・張体制の課題
トヨタ―「奥田イズム」の挑戦(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「トヨタ流最強社員の仕事術」若松義人 PHP研究所
「トヨタモデル」阿部 和義 講談社
posted by alice-room at 21:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック