
漫画というと、ややもすると小説などよりもシンプルな世界観を想定しがちですが、どうして&どうして奥が深いです。何よりも「子連れ狼」などのあの独特の世界観を生み出した小池一夫氏ですから、甘くみていると痛い目にあいます。
主人公は、サザビーズやクリスティーズほどの規模はないものの、ヨーロッパでは名の知られた老舗オークションハウスのMD(絵画鑑定人)。彼は幼き頃、父が落札した名画の為に家族が惨殺され、名画が奪われる事件にあう。かろうじて彼自身の命は、救われたものの目の前で最愛の両親を殺された彼は、その時以来復讐の為だけにおのれの人生を生きる。
わずか10代のうちに、英語・フランス語を始め複数の言語を完璧にマスターし、絵画に関して驚くべき知識を身に付けた彼が赴いたのは…。
これ以上書くと、読む方の楽しみを奪ってしまうので書けませんが、美術業界の裏も表も知り尽くしたうえで頑ななまでに芸術を愛す半面、名実ともに美術界で知らぬものの無いその名声までもかなぐり捨て、復讐の二文字の為に己を含め、己にとって最愛のものまでを次々に犠牲にしていく壮絶な生き様は、人として胸にこみ上げるものを禁じ得ません。
単なるスーバースター的なものとは異なり、どれだけ能力があり、努力もし、人として立派に行動しても救われない現実的な悲しさがまたたまりません。その一方でところどころに散見される人間愛の感情が丹念に描き込まれており、そこがまた私の心を惹き付けます。
ややもすると極道の世界とか、任侠の世界にもなりそうなくらい、一本筋が通っている生き方が描かれています。「子連れ狼」が好きな人なら分かってもらえると思います。「サンクチュアリ」も同系統ですね。
美術をキーワードにしながら、世界の名画にまつわる知られざる真実と変わらぬ人の心、表には出ないが確実に存在するブラックマーケットや非合法地下組織、歴史の中で闇に葬られた数々の真実…本当に楽しめます。
純粋な美術関係の漫画としてみると、ショッキング過ぎて駄目という評価があるかもしれませんが、あくまでも人間の営みの一部として捉える限りではとっても楽しいです♪ この世界で何よりも面白いのは、やっぱり「人」だと思います。それが楽しめる作品です。
なお、このシリーズは人気が高くて売れてるせいか、続々と巻数が伸びているようで30巻前後あるのかな? 私はまだ20巻ぐらいしか読んでないんだけど、数巻ごとにおおむね話は簡潔しているのでまずは何冊か読んでみることをお薦めします。
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だけど、なによそんなに続いているの??
大人買いできないじゃないのさ!(笑)
私の場合は、時々満喫にこもって漫画を読みまくり、中でも手元に置いておきたいと思うと泣く泣く買うというパターンが多いです。問題は購入した後、どこにそれを置こうかという方が切実だったりしますし…。
でも、結構面白いと思うので何かの機会があれば、見てみて下さいませ(笑顔)。
この漫画でフェルメールをはじめ絵画の世界に興味を持つようになりました。
話が進むにつれ性交と戦いのシーンが増えたのが残念な展開でしたが
だいぶ前に完結していますね。
終わり方は原作者独自のパターンです。
もっと古い作品で「傷追い人」と同様です。
この漫画のコンビ(原作者と漫画家)は最高ですね。
>だいぶ前に完結していますね。
>終わり方は原作者独自のパターンです
あっ、完結しているんですか。知りませんでした。では、頑張って続きを読んでみます。傷追い人も途中までしか読んでいなかったので、最後は分かりませんが楽しみに読んでみます。
クライング・フリーマンとかもそうでしたっけ?あと、サンクチュアリとかは読んだのですが…。記憶が怪しいです(苦笑)。コメント有り難うございました。