2009年11月14日

「他人を見下す若者たち」速水敏彦 講談社

タイトルからして、ありがち・・・いかにも・・・ってな感じで期待せずに読みましたが、内容も予想通り。つ~か、予想以下の水準。

傷つき易い自尊心を抱えた若者(馬鹿者?)が、努力もせず、自らの劣等感を癒すために他者を貶めることで相対的に自分が特別で、有能であるかのような錯覚を自ら望んで生み出すこと。

著者の造語によると『仮想的有能感』だそうです。なんでもバーチャルつければいいんかい?(笑)

もっともこういうことをネットの書評で書く私なんて、まさに著者の主張で言えば、仮想的有能感に浸っているタイプに分類されることでしょう。外れてはいないけどね。

本書自体の内容に目新しさはありません。あちこちでしばしば言われているような内容を、学部生レベルが卒論としてコピペして作るレベルぐらい。最近の水準の下がった大学院生のレベルかもしれない?

だったら、日本終わったな?とも思うけど・・・。

もっとも本書の内容から知識として得るものは皆無ですが、自分自身を再認識する契機にはなりました。

だって、まさに私の学生時代がまさに、本書の対象者でしたから! 周りが馬鹿に思えて、教師や親が世俗にまみれた汚れた存在だと思ってましたもん。処世術なんてほざく奴は、それだけで死に値するとかマジ思ってましたよ。同級生なんて、それ以前の問題でしたし・・・。

確かに、幾分ませていたり、教師よりも知識があって問題の解法などでも自分が優秀だと今でも思えることはありますが(検定教科書の誤植見つけて、教科書会社から礼状もらったりね)、誰よりも劣等感に苛まれていたのも事実でしたね。

真剣に、自分は歴史に名を残せない人物ではと、悩んでもいましたし、人間の幸福って何?とかね。今は考えもしませんが・・・汚れちまったな、私。

私の場合は、自分が平均よりは出来ていても、所詮その程度で本当に優秀な人には、明確に劣る事実を認めることができたので、最終的には独り善がりな『有能感』から抜け出せましたけど。

もっとも劣っているという現実直視は、相当なストレスで一時、虚無主義やらアナーキスト系へ走りそうになりましたけど・・・。

だから未だにサブカル系への違和感が全く無いんですけどね(苦笑)。屈折した奴がいきつくのはそこいらですから。

私の場合は、とにかく劣等感から逃れる為にも周囲の環境とは、隔絶したいところへ行きたくて、私の中学校からは誰も入れない一番難しい進学校へ進んだというのがあります。(悪名高き、県内統一模試で200点中、194点とか取った時かな? 偏差値76とか)

大学は失敗して、滑り止めの外大に行ってたりしたけど・・・。あそこもつまらなくて中退しちゃったしなあ~。結局、別な国立を卒業したけど、ああ~なんかいまふうのダメダメ君じゃん(自爆!)

ニートもどきもよくやってたなあ~。仕事時間中も無職の時も、本読んで勉強しているのがいつもお仕事でしたし、そんなに変わらないんだけどね。仕事探している時は、国会図書館と地元の市立図書館とかに籠もっている時が多かったかも?

今は、本よりもネットで調べながら、試行錯誤している時間が多いけどね。

本書でも触れていますが、根拠の無い、自分の劣等感を癒す為だけの有能感(優越感?)の反射で、他者を貶めることが必要になるというのは分かるのですが、それをしている自分がより一層惨めでどうしょうもないクズに思えてしまい、そんなことをしている自分を殺したくなるので、私には出来なかったんです。

周りを否定して、たいしたことないぜ!っていう為に、私の場合は、無理矢理にでも自分を何かの点で高めなければ、自分で自分が許せない状況でした。

だから、中学生の時、睡眠時間4時間とかで勉強してたんだし。学校ではいつも基本一番でしたよ。妬まれましたし、いじめもあったかな? それよりも何よりも、成績がちょっといいぐらいで、さも自分の手柄のように誇る教師への幻滅は、並大抵のものではありませんでしたが・・・。

後年、小学校教師の友人に、初めて知り合った時の君の冷ややかな態度をよく覚えていると言われたことがありますが、全然記憶に無いのですが、心に刻み込まれていて無意識に表出するんでしょうね。いかん、いかんです。大いに反省。

とまあ、いろいろと自分の中のものを見つめ直す機会にはなります。そういうものがある人には。

勿論、そういう苦悩や挫折を経験したことのない人なら、読んでも何も感じないでしょう。共感できない事柄に、人はいたって無関心です。縁無き衆生は度し難し、ってね。馬の耳に念仏ですよ。

本書に価値は見出せませんが、やっぱり私はコンプレックスを抱き続け、それを克服する為に、何か自分で目標を持って努力するっきゃないんでしょう。その緊張感のもとで努力している切迫感の中でこそ、初めてある種の充足感を得る、つ~のも歪んだ感性なんでろうね。

でも、努力しないであれこれ言っている輩は、私にはとうてい受け入れられないんだけどねぇ~。私の周囲であれば、極力切ってきたしね。
切れない場合は、干渉せず、関わらず、放置プレイが基本。

さて、また切迫感に駆られて、努力しようか? このまんまのぬるい生活を肯定する気にもならないしなあ~。楽だけど、生きている実感持てないし・・・。

やっぱり適度な修羅場も必要かと・・・。難儀な性格な私です、ふう~。

他人を見下す若者たち (講談社現代新書)(amazonリンク)
ラベル:書評
posted by alice-room at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 未分類A】 | 更新情報をチェックする
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