2009年11月18日

「蝦夷の古代史」工藤雅樹 平凡社

う~ん、地方の中央政府にまつろわぬ民 VS 中央政府・・・といった対立構図をイメージしていたので、それに関する争い事が中心の記述かと思っていました。

実は、互いに利用しあっていた関係であったこととか、知らない話も多くて面白い点もあったのですが、邪馬台国はどこにあったかのような、個人的には全然関心が無いような学説間の話とか、ちょっと期待していた内容とは違いました。

特に二部の蝦夷がアイヌか日本人かというのは、私的には全然興味を惹きませんでした。

ただ、蝦夷が俘囚として、中央政府の管轄地に移住させられたのは知っていましたが、それと入れ替えで蝦夷の地に移住させられた人々もいたとは知りませんでした。

その辺は、パレスチナの占領地みたい。どんどんむりやりに移住させてるもんねぇ~。時代は進んでも人のやることなんて変わらないか?

中国の諸諸国への国民送り出しているのも同じレベルの話だもんなあ~。

そういやあ~元々は「毛人」だった表記が「蝦夷」になった時代背景と、中国へ朝責に向かう際、蝦夷をわざわざ連れて行ったというのが大変興味深かった!

要は、天皇の徳が高い為、その徳に惹かれて、周囲の夷荻が自然と服従するという構図を演出し、中国古来の発想パターンとしてあったものとの類似性を強調しているそうです。

即ち、日本の天皇は、ミニ中国王朝と同類で徳が高いんですよ~。
だから、日本は他の諸国よりも、高い肩書き下さいねっとなるわけです。

中国のお墨付きをもらうことで、対外外交を有利に進めたい姿勢がうかがえます。

今でもよくありますね。人は常に自分の育った身近な環境(価値観)を尺度にして、異なる外部のものを判断しようとします。愚かにも・・・。

多国籍軍(主に米軍)の支援の下で、混沌としたイラク政府の大臣等に任命された人間が、莫大な予算を横流したり、横領したりして問題になりましたが、あれはイラク出身者で英語ができて、いかにもアメリカが分かり易い、理解し易い・・・ただ、それだけで選ばれたのですが、まさに同じ発想だったりします。

余談になりましたが、そういった発想の仕方が実に面白いです♪

あと何かあったかなあ~?

そうそう無言貿易(silent trade)。
当事者が対面することなく、最初にどちらかがいくつかの品物を置いて、離れ、相手が品物を見て気に入ったら、対価となる代償物を置いていく。

気に入らなかったら、そのままの状態にしておくのだけれど、これなら互いに、相手と接触する必要がなく、危険は少ないわけだ。なるほど~。

そういう言葉自体を知らなかったので、勉強になりました。

でも、まあ、あえて読むほどの本だとは思わない。私にはそれほど面白い本には思えませんでした。地名がアイヌ語として意味があるとか・・・よくあるような話は正直私の関心外なので。
【目次】
第一部 古代蝦夷の諸段階
 第一章 古代蝦夷の諸段階
 第二章 東国人としての「エミシ」――第一段階
 第三章 大和の支配の外にある者としての「エミシ」――第二段階
 第四章 大化の改新後の世界――第三段階
 第五章 平安時代の蝦夷――第四段階

第二部 蝦夷はアイヌか日本人か

蝦夷の古代史 (平凡社新書)(amazonリンク)

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ラベル:日本史 書評 古代
posted by alice-room at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 歴史B】 | 更新情報をチェックする
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