
先日、入間氏の短編が読みたいばかりに手に入れた「電撃文庫magazine vol.7(2009年5月号)付録」「4月それは-XXXX-」に載っていたものが、しっかりこの本に載っていた。
なあ~んだ、だったら、あちらは要らなかったのに・・・。ということはなかったけど、あの短編のその後の物語が、本作では延々と語られていく。
珍しく人死は出ない。精神の屈折はあっても、病んでいるほどではない。だけど、人間の微妙な心理描写、うまいです。掛け値無しに的確で、ラノベを知らない小説好きが可哀想になるくらい、つ~か本作を知らないことを同情しちゃうくらい、僕は好き♪
大学の時はやらなかったけど、私も「君みたいなのは、嫌い」とはっきり明言する子に、延々と声掛け続けていた経験があったしなあ~。どうも過去を思い出す。
会社の飲み会でも、「私は○○さん大好き」発言をして、周りが大いに湧いていた中をお目当ての当人が、我関せず的な態度をしていた姿が記憶に浮かびます。
ただでさえ、あいつは変、とかあの女はやめとけ的な独特の世界観を醸し出す方でしたが、微妙に距離感が変わっていくのは、大変面白かったことなあ~。
で、私が彼女と初デートに行ったのも美術館でしたし・・・。写真嫌いと言ってたのを、なんとかデジカメで写したりしてね。社内でもまあ、あの二人が一緒に出掛けることだけは無いだろうと言われていたのに・・・そういうのは、ある種別なわくわく感があったものです♪
まあ、いろいろと大人の事情でなにやらあって、最後の時に貸していた多数の本を会社の机に置かれていたことを思い出します。「どうもありがとう」の付箋を残して・・・。
たいがいが本好きで、アート好きで、眼鏡っ娘だからなあ~。それ以外のいなかったような・・・。
とまあ、余計な個人的な回想を巡らせつつ、読まずにはいられませんでした。他人との関わりというか、やりとりの不器用さの描写の巧さがたまりません! やっぱり、うまいよ~。
まーちゃんやみーくんにも散見するが、著者の素晴らしさは、類い稀な人間関係の距離感の取り方とその過不足ない的確、且つ適切な描写力だと思います。
いささか奇矯な状況設定に「まーちゃん」作品は強烈な印象を植え付けられましたが、それが物語と成立し、さらにもっと深く印象を残したのは、まさにその人と人の距離感の描写あってこそでしょう。
本作品で、むしろ日常水準にまで設定を一般化することで、かえってそのことが引き立っているように感じました。
いろんな意味で切ないッスねぇ~。
ただ、側にいるだけで相手を見ているだけで、幸せを感じることってできるんですよね。但し、それは一過性のもので恒常的な状態ではないってのがポイント。まさに恋故の異常なまでの高揚感だったりしますが、それをこうやって表現するのは、難しいんです。
最近、読んだ中では一番の恋愛小説ですね。恐らく、周りからの位置付けは全然違うんでしょうが・・・。
少なくとも私の中では、入間人間氏は純愛小説家だと思っていたりします。昼メロなんか、めじゃないっす。ハーレクイーンロマンスなんて(読んだことないけど)、まだまだ純愛度が足りないっしょ。
最近、西尾維新氏が違う方向へ行ってしまった感があるので、こちらでその方面を補いつつ、バーチャルな純愛感情を堪能していたりします(笑顔)。
一応、ちょこっと粗筋を。
大学で一目ぼれをしちゃう頭の足り無そうな大学生が主人公。周囲に溶け込もうとせず、壁を作っている女子学生。いきなりお目当ての女性だというので彼女に告白して、「あんた~バカあ~?」的に拒否られます。
何を言われても、めげずに話しかける男。やがて、彼女から唐突な申し出があります。「好きじゃないけど、つきあってもいいわ」と。
そしてその代償として求められたものは・・・・。
私的には、こういうのは大好きなんですけどねぇ~。たいていどこの職場でも「○○さん好き~♪」とか、そういうことをのたまわっていた私は、浮いておりましたが・・・。
まあ、いろんな意味で軽い人と思われていましたので。仕事面とのギャップで、キャラ作り易かったというのもあるんだけどね。常々仕事は演じるものだと心得ておりましたし・・・。
「ガラスの仮面」の北島マヤのように、今の職場でも頑張って演じ切りたいものです(笑)。
と話はそれましたが、この作品好き。不思議に思うんですけど、これに勝てる作品は、コミックの「PINK」ぐらいっきゃないと思うんだけどなあ~。
最近の純文学と呼ばれるものは、私には不純にしか思えなかったりする。心理描写のかけらもないっしょ。本屋で立ち読みしても、すぐ棚に戻して買う気も読む気もおこらない。
「こころ」とかよりも、こっちの方が心にくるんだけどなあ~。
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