
【未だ観劇していない方は、せっかくの感動を損なう恐れがあります。演出内容についての感想が含まれていますのでご注意下さい!!】
フェスティバルトウキョーの一環として、東京芸術劇場で開催された山海塾の舞台です。
結構前に、三茶で2回ほど観た覚えがありますが、何度観ても感動を覚えます。今回もどうしょうもないほど、ルーティン化した日常に埋没しそうだった私ですが、一気に別な世界へ引きずり込まれた(否、進んで招待に与った)感のあるような体験をさせて頂きました。
舞台に水を張るというのは演出として、いろいろなものがありますが、正直こちらは非凡です。演出ではあるのですが、何か根本的に違うモノ、まさにそこにある特異な空間を現出させているとしか思えません。
開始早々、水面に音叉のように広がっていく水紋。それを映し出す背景。
絶え間なく、降り続け、注ぎ続けられる、水と砂。ハイキングなどで山に行った時に出会う、滝壺に注ぐ水音をずっとイメージしていました。
α波確実に出ていたっぽいカンジ?
そして、世界に潜む可能性、ありとあらゆるモノの元を凝縮したかのように存在する卵。
演者の、観客の、世界の視線が一点に集中する中で、異様なまでに凝縮された力を、熱を帯び始める卵。天から注ぐ水を受ける卵は、まさに神から祝福されたかのような、絶対の存在感を示します。
その力が凝縮に、凝縮されたある瞬間。
【パ~ン!】
と世界は、存在は、破裂します。
ビックバン?! あるいは、初めて言葉を体得したヘレンケラーのwaterのような衝撃が走ります。
均衡が崩れ、世界は、空間は動き始めます。
躍動、いや律動する世界。
いつもながら、天月氏のソロには、目が離せません。というか山海塾の舞台で、目を休められるのは、一瞬の暗闇の時だけなんだけどね。
ツレ曰く、卵を扱う天月氏のソロパートは限りなくセクシーだという評でしたが、なかなか面白い感想だと思いました。私には、むしろ中性的というか没性的な世界の管理者に思えてなりません。
う~ん、うまく言えませんが、地獄で閻魔様の命令に忠実に従う獄卒とかそういう類いにも重なってしまうんです・・・。
もっと恰好いいですけどね(笑顔)。
背景は、黒と青に二色の緞帳(?)だけでしょう。それで全てをあれほどまでに鮮やかに描けるのは何故なの・・・・? 下のごくいちぶだけが鮮やかなブルーに変わり、停止していたあの美しさも目に止まりました。
衣装も勿論、お気に入り♪
それ以上に本当に演者の方々の、肉体の動き、その制御には、目を見張ります。まさに舞踏家集団の名に恥じないと思います。
最前列のセンターブロックB13、B14に座っていたので全体の構成などはイマイチ把握しずらかったのですが(私は、何度も観てるから分かるけど)、本当に数メートル前に演者の方がいるので、その筋肉の動きまでもが肉眼で克明に追え、実に興味深かったです。
迫力が違います!!(満面の笑み)
やっぱり行って&観て良かったです♪ カーテンコールの時は、あまりに強く拍手し過ぎて、手が真っ赤に充血して血行が良くなっちゃいましたが・・・(おやおや?)それだけの価値アリ。
やはり本当に良かったと感じた時、観客が出来る事は、拍手で迎えることかな、って思います。今週はいろいろとありましたが、うん、幸せでいられそう。良かった&良かった!
今年の舞台はこれで見納めです。来年は一月の横浜キャッツまでおあずけ。キャッツもずいぶん久しぶりなんで楽しみ&楽しみ♪
来年は、シェークスピアとかもまた観に行きたいな。ツレに蜷川さんの連れて行けとせっつかれてるし・・・。
何はともあれ、素敵な時間を過ごせました♪
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販売されているDVDとは、結構印象違いますので、ご注意を!
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