2006年02月21日

「ヨーロッパの死者の書」竹下 節子 筑摩書房

竹下氏の本だというので期待しただけにショック! かなりつまらない本でした。要は死というものをどう捉えるかという文化・社会論なんだけど、かなり薄っぺらな内容です。豊富な文献を駆使して…とか、紹介文にありましたが文献らしい文献などありません。そういった意味で資料的にも価値は無いし、文化論としても鋭い指摘があるわけでもなく、お気楽にエッセイとして書き流したレベル。コメントするほどのものは一切ないです。

確か、以前読んだ本(タイトル忘れてしまった…)で修道院の院長とかがなくなると、その名前の一覧を長い&長い紙に書き、それを放浪する商人などに委ねて各地の修道院などへ回覧し、追悼文のようなものをみんなで書き連ねていくといった習慣のことを読んだ覚えがあります。私的にはそれに類することを期待していたんですが…単なる死に関する西欧の文化論ではね。この程度の考察は自分でできますよ。知りたいのはあくまでも情報や知識であって、考えることは自分でできるのになあ~。

仮説立てたりなんて、昔から大得意!! 以前の仕事もPLAN・DO・SEEは基本中の基本。学問でもビジネスでも企画立てるのなんて誰でもできる。問題はその内容なのに…ネ! 個人的にはもうちょっといい本を書く方かと思っていたので、残念でした。竹下氏の本は、今後評価低くしてしまいそうです。私の中では今までが結構高かったのになあ。

聖人伝がどうのこうの解釈されるのを読むよりは、直接聖人伝の内容を読んだ方がはるかに面白いに決まってます(当たり前ジャン)。

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posted by alice-room at 00:32| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 宗教A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
竹下氏の本は一冊しか(『ローマ法王 二千年ニ六五代の系譜』)読んだことがありませんが、薄い本なのに情報量が多くて良い作家さんだと思ってました。

著作量も多い分、当たり外れもあるということなのかも知れませんね。

「死者の書」ということはアルス・モリエンディの内容とかは書かれてるのでしょうか?
Posted by Megurigami at 2006年02月23日 00:45
Megurigamiさん、こんばんは。竹下氏の本は何冊か読みましたが面白い物も多いと思います。おっしゃる通り、書かれている本の数があるので当り外れがあるのだと思います。今回は外れだったので、期待が大きかった反面、いささかショックが大きくなってしまいました。

個人的なイメージだと種々の情報を紹介するときの本は面白く、著者の主張が入ると、面白くなくなってしまうような気がします。良き『紹介者』なのかもしれません。

>「死者の書」ということはアルス・モリエンディの内容とかは書かれてるのでしょうか?

いかにして死を迎えるか、という点で本書はあまり触れていない感じです。単純に社会として、またカトリックという組織・制度として死に行く者を孤独にさせない風土がある。そういった感じの話で終始してしまい、鋭い観点から切り込むような考察はありませんでした。ちょっと残念でした…。

でも、竹下氏の他の本なら面白いのもまだたくさんあるかもしれませんね。コメント有り難うございました。
Posted by alice-room at 2006年02月23日 22:45
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