2010年01月10日

「その本、持ち出しを禁ず」十月ユウ 富士見書房

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「R.O.D」的なものをイメージしてましたが・・・?

あちらはあちらで、本を一応のテーマにしつつ、ドンドン本以外の路線へ発散してしまい、最初の面白さがどこか行ってしまったノリでしたがこちらは、まだ一巻目の為、当初の設定が十分に機能している感じです。

基本はオーソドックスな学園物。年頃の男女の微妙っぽい恋愛感情を織り交ぜつつ、話は進みます。

世に出回っては困るいわく付きの『書』を集めて監視下に置いておくこの世とは異なる特殊な図書館。リアル高校の図書委員が、実はこの特殊な図書館の司書する裏の顔を持つという、まあ、必殺仕事人(古いなあ~)みたいな設定です。

優等生のイケメンで、異性には興味がなく、考える事は本・本・本・・・という読子の男版が主人公なんだけどね。まあ、ヒロイン役の女生徒も二人出てきて、三角関係の痴話っぽい要素を入れたりしているけど、正直ラノベとしての評価は微妙。

読み飛ばすのには悪くないが、どうしても『本』という要素をメインにするにしては、あんまりたいした読書家でもないなあ~というのが私の感想。

本の持つ隠されたノウハウや力で魔物を呼び出し、そいつらに何かをさせようとするのはいいんですが、稀覯本や魔物自体への知識が浅薄な為に、RPGゲームの印象しか浮かばないのが悲しい(涙)。

もうちょっと、下調べしてから、書いてくれると話の幅が広がり、読むに値するだけの小説へ成り得たかもしれないのに残念です。

本を使って魔物を召喚し、戦闘させたり、魔法を使わせるという発想自体はゲーム世代の発想ですね。そりゃ「帝都物語」って、似たようなもんかもしれませんが、その背景にある著者の力量(読書量)の差が痛々しい感じでもったいないです。

でも、なんとかそこが解消されれば、面白くなるかもしれません。なお、本に関する薀蓄的なところは、幾つか根本的な間違いがあって、そこも興醒めでした。粗探しみたいになるので、列挙したりはしませんが、もう少し著者さんに勉強して欲しいかも・・・。

ノリ的には嫌いじゃないんですけど・・・・。

その本、持ち出しを禁ず―戒書封殺記 (富士見ファンタジア文庫)(amazonリンク)

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posted by alice-room at 13:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする
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