2010年01月11日

「考えすぎて動けない人のための 「すぐやる!」技術」久米信行 日本実業出版社

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効率的な仕事術とか、ノウハウ以前の大前提たるとにかく『行動する』ができない人達に向けた本です。

私的には挨拶は年齢・上下関係を問わずしてきたし、大学や予備校・専門学校の講義、各種研修等では常に最前列にいたし、気に入った授業や講演会では必ず講師に質問してた口なので、本書で書かれているのは常識だと思っています。

と同時に、みんながそれをしないのももう慣れてしまいました。

本書で書かれている内容は、当然だし、もっともだし、納得のいくことばかりですが、どれだけ実践する人がいるでしょうか? また、もし実践する人ならば、本書を読む以前から実践しているでしょう。

それぐらい基本的であり、大切なことなのですが、本書を読むことで何か得られるかというと難しいと思います。

既に実践している心ある人が、改めて再確認し、より意識的に行うことはあるでしょうが、本を読んで感銘を受け、行動できる人、おそらくいないだろうなあ~。

うがった見方で恐縮ですが、たいていの方には馬耳東風になるかと思います。だって、この手の行動は子供の頃から刷り込まれていくものですので、一定年齢を超えると自己変革は大変難しいです。

あとは、本書でもありますが、それをやらざるを得ない環境に追い込まれる事! 有無を言わさずそれができなければ、職を放り出して路頭に迷うか、思い悩んで自殺するか、それぐらいの状況で強引に自己変革をしないと無理じゃないかなあ~と思います。

もっとも、その環境にあってもゆで蛙が、熱湯で死ぬまで気づかない人が多いですけどね。なかなか難しいものだと思います。

まあ、先日飲んだ某社の法務部の人の話でも、結局はそこなんですけどね。自発的に行動できない(あえて、効率が悪いからしない?)から、本当の実力が身に付かず、表面的なことでやり過ごしてしまう。本書でも書かれていますが、失敗しないと分からない、見えてこないものは多いと思います。

百とか千の失敗を通して、初めてモノの本質に触れる、納得がいき、次に応用できるノウハウを身に付けられる。そういった経験をしたことがないと思われる人が多いですね。

一生懸命努力したうえでの失敗を否定する人(同僚や上司、友人)も確かにいますが、たいていは、きちんと速やかに報告し、事後対応も疎かにしない限り、フォローしてくれるはずです。

逆に「仕方ないな、今度は気をつけろ」とか「今度はこうすれば、失敗しないから」とアイデアを教えてくれる人がいたりもするものです。

本当に努力しているな、と思われるだけの事をしていればの話ですが。

人なんて、性悪説をとる私がいうのもなんですが、いい人も確実にいて、どっかで誰かが見ているもんです。すぐに手助けしてくれないかもしれませんが、ある時、ちょっと助け舟を出してくれたり、評価してくれたりするもんです。まあ、それを期待するのもまたちょっと良くないのですが、そんなもんですから、まずはやってみることだと思うんですけどね。

そして、失敗を繰り返すうちに成功へ繋がる道が見えてきますし、成功する確率は確実に上がると思います。まあ、私も起業を失敗しましたが、成功するまで何度も起業するだけの情熱を維持できるかが現在の課題ですね。

その前に種銭貯めるのと、技術力を身に付けて、新しい事業のネタを探したいと思っています。じゃなきゃ、今日も休みの日なのに、データベースの本なんて読んでませんって!

いささか個人的な思いがあふれてますが、本書で書かれているのは、基本そういうお話です。志のある人なら、いわずもがなですが、改めに自己確認として読む分には悪くないかと思います。

かくいう私も、バイヤーに初めてなって新規取引先の開拓の為に、毎日100件目標で電話してね、と上司に言われた時は辛かったです。声枯れましたもん。いきなりかかってきた電話で、こちらが行くのではなく、自分の会社に来てもらって商談するってのは、本当に難しいです。

でも、それを行ったおかげで商談自体に抵抗なくなりましたし、平気で当初の見積もりの半額に落とすという荒業もできるようになりました。強引にやったら、そんなことできるわけありません。相手にとってのメリットを考えつつ、できる範囲を一つづつ詰めていくんですが、金の話は、どこでも本当にシビアです。

中途半端な研修や座学などでは学べない、本当の勉強があるかと思います。本書を読んでいて、まさにそのことを思い浮かべました。

新人が本書を読んでも、頭で分かった気になるだけで、当たり前過ぎるので冷笑されるかもしれませんが、ベテランで人を教えたことのある人ほど、深~く共感し、納得されるかもしれません。

自分自身の為の自己啓発というよりも、むしろ、人を指導していく上司やリーダーとなる人が読むのに最適かも?

教えても何一つ行動に移そうとしない部下を持つ、経験の浅い上司とかにいいかもしれません。

考えすぎて動けない人のための 「すぐやる!」技術(amazonリンク)
【目次】
Part1 相手の懐にすぐ飛び込む!
Q1 自分から率先して声をかけられない
Q2 いきなり電話をかけられない
Q3 最初のメールをどう書けばよいかわからない
Q4 出会いが「おつき合い」につながらない
Q5 忙しそうな先輩・上司に質問できない
Q6 上司や同僚とケンカできない
Q7 飛び込み営業ができない
Q8 断られると、食い下がることができない
Q9 相手が大物だと、つい遠慮してしまう

Part2 周りを気にせずすぐやる!
Q10 真っ先に手を挙げられない
Q11 最前列に座れない
Q12 パーティ・懇親会などで浮いてしまう
Q13 「知識のなさ」がバレるのが怖い
Q14 人に聞かないと決断できない
Q15 空気を読みすぎて行動できない
Q16 周りにお願いや働きかけができない
Q17 周囲の眼が気になり行動できない

Part3 失敗を怖がらずにすぐやる!
Q18 一度失敗すると諦めてしまう
Q19 一気に加速できない。ブレーキをかける
Q20 タイミングを狙いすぎて動けない
Q21 めんどうくさいことはしたくない
Q22 大勢に反対されると自信をなくす
Q23 まずインターネットで調べないと行動できない
Q24 過去の失敗を引きずってしまう

Part4 「自分」に負けずにすぐやる!
Q25 プレッシャーに負けてしまう
Q26 段取り通りに実行できない
Q27 ゴールが見えないと途中で止まってしまう
Q28 経済的な理由で行動できない
Q29 ここ一番でアイデアが出てこない
Q30 安定している現状を壊したくない
Q31 自分の言葉で意見を言えない
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ラベル:ビジネス書 書評
posted by alice-room at 14:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
タイトルみて今回のハイチ大地震への日本政府の反応の鈍さを連想しました。
個人よりも組織としてこういうの学んで欲しいものです!
管理人さんはご苦労されたことが実になっているみたいですが、何故日本政府は学べないのかが
ほんとうに不思議です。
友愛はどうした民主党、友愛は!!
Posted by OZ at 2010年01月14日 20:24
個人的には動けても組織だとやっぱり難しいのかなあ~と実感させられますね。おっしゃられるような、今回の日本政府の動き。残念ですね。

自民党時代にいろいろあってこの手のだいぶ整備したはずでしたが・・・組織は、やっぱり上に立つ人の裁量の幅が大きいんでしょうね。

政治家さんは、票にならないと動けないのでしょうか? 環境も良いのですが、他のも含めて優先順位がつけられていないような気がしてなりません。

せっかく政権が変わったのだから、それ相応に『違い』を見せつけて欲しいと心から思います。高校生の教科書代や授業料免除が国債発行にも絡むと思うと不満ですが、他国の援助の為なら、国債増やすしても幾分は我慢できそうな気がしないでもありません。

本当に気になりますね。
Posted by alice-room at 2010年01月15日 23:41
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