2010年01月23日

「その本、開くことなかれ」十月ユウ 富士見書房

シリーズ第4弾、本書でシリーズ完結です。

ちゃんと完結になっているし、謎も一通り説明されて解決している感じです。読んでる時は、結構サクサク読めるし、それなりに面白そうな感じを持続してはいたのですが・・・やっぱり読み終わってみると、物足りないですね。

実は、勝手にもっと裏読みした設定を考えていたのですが、全然違っていました。伏線ではなく、単なるもっともらしい設定で終わっている部分が多々あります。世界観の構築に足るものではないです。

本自体への薀蓄、アクション、謎解き、人間関係描写等、どれも『並』水準をギリギリクリアするか否かレベルです。

冷静に考える限りでは、お薦めしません。否定もしないけど。

ただ、良いところもあります。最近では珍しく、人間性を肯定的に捉えている作品です。端的に言うと、登場人物がみんな「いい人」なんですよ。

役割上、悪役であるはずの「敵」からして、私には十分過ぎるくらい善人にみえます。今のご時世貴重ですよ、これは。荒み切ったラノベばっかり読んでるからな、私。著者はきっと心優しい方なのでしょう。

読んでいて心温まる感じがしたのも事実。それは良いかも?

でも、「まーちゃん」のように心に深く印象付けられない。唯一無二の作品ではないし、一読したら心には残りません。そういう作品でした。

その本、開くことなかれ―戒書封殺記 (amazonリンク)(富士見ファンタジア文庫)

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posted by alice-room at 06:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする
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