ちゃんと完結になっているし、謎も一通り説明されて解決している感じです。読んでる時は、結構サクサク読めるし、それなりに面白そうな感じを持続してはいたのですが・・・やっぱり読み終わってみると、物足りないですね。
実は、勝手にもっと裏読みした設定を考えていたのですが、全然違っていました。伏線ではなく、単なるもっともらしい設定で終わっている部分が多々あります。世界観の構築に足るものではないです。
本自体への薀蓄、アクション、謎解き、人間関係描写等、どれも『並』水準をギリギリクリアするか否かレベルです。
冷静に考える限りでは、お薦めしません。否定もしないけど。
ただ、良いところもあります。最近では珍しく、人間性を肯定的に捉えている作品です。端的に言うと、登場人物がみんな「いい人」なんですよ。
役割上、悪役であるはずの「敵」からして、私には十分過ぎるくらい善人にみえます。今のご時世貴重ですよ、これは。荒み切ったラノベばっかり読んでるからな、私。著者はきっと心優しい方なのでしょう。
読んでいて心温まる感じがしたのも事実。それは良いかも?
でも、「まーちゃん」のように心に深く印象付けられない。唯一無二の作品ではないし、一読したら心には残りません。そういう作品でした。
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