2010年05月16日

「聖母マリア崇拝の謎」山形孝夫 河出書房新社

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ちょうど法王が「ファティマの聖母」を訪問しているニュースを見たのと、来月行くシャルトルの黒い聖母のことを思い出したので久しぶりにマリア学関係の新刊本を読んでみました。

まず、前半第一部、正直「聖母マリア」に無理にこじつけて、ご自分の関心事である宗教人類学的な視点で関係のない他宗教の話をしている感じがしてならない。

バァール神の話は、あまり詳しく書かれた本を読んだことがなかったので新鮮で興味深かったんですが・・・。正直、後半部を読むとこの著者の書く事、信用できません。


有名な雅歌の解釈についても、えっー!そうだったんですか・・・・! と驚くことが書かれていて、古代エジプト恋愛詩の技法の影響下で書かれていたりして、従来の解釈とは全然異なる説などをいろいろ紹介している。(あくまでも紹介しているだけで、著者の好みで複数の説を紹介しているだけだったりする)

どんだけ興味深いんだろうと思って読み進めていましたが、第二部に入って読んでみると、正直期待外れ。

元ネタの本は大概私も既読の本だったので、それを前提にして読んでると、かなり適当に著者さん書いてませんか?

率直に言うと、本書は著者による読書メモ、それ以上の価値はありません!!

だって、マリア学の話や黒マリアなんて、引用というなの列挙でしかないし、理路整然とロジカルに説明されているとは思えない。一応は、著者基準で説明しつつ、並べてあるんだけど、都合の良いところだけパクってる感が漂うなあ~。

だって、なんの根拠もなくイアン・ベッグとかの本からの引用を紹介する神経が分からない。どう考えてもあの本に価値を見出せないし、あんないい加減な本に書かれた内容は、どれもが信用に値しないでしょう。

そういったものをまともに研究された人の本の内容と同列に紹介し、それらの延長線上で語られてもねぇ~、前提条件破綻してません?

特定の宗教的視点(価値観)に浸かってしまっては、比較なんてできない。というのは分かるのですが・・・・、あまりにも外形的過ぎる評価に基づいて、明確な根拠もなく、想像の遊びで書いている感じがします。

あちこち行ってはいるものの、本書に書かれた部分については、実地に調査されたものでもないですし、一次資料に当たられた形跡も無いです。

あとさ、チュニジアのカルタゴ遺跡の話やタニト神の話だけど・・・私も大好きで実際に行ってみたし、少し本も読んだけど、この著者の言ってること、どこまで一般的か非常に疑問?

少数説を挙げてたら、そんなのいくらでもあるし、単なるトンデモ本になるんじゃないの? かなり偏りを感じる本ですね。およそ学究的な姿勢とは無縁な本かと。

知らない人が読んで真に受けたら、いけないなあ~と思いました。自分が最初、結構勉強になるかと思って読んでたので・・・。見かけどおり、やっぱりチャライ本でした(残念)。

ついでに言うと、マグダラのマリアに関する部分も恣意的な解釈を感じてなりません。一般的ではないと思います。
【目次】
今、なぜ聖母マリアなのか―歴史の揺らぎの中から

第1部 聖母マリアの源流を探る―古代オリエントの地母神から
1章 聖なる花嫁―旧約聖書『雅歌』
2章豊穣と勝利の女神―ウガリット神話
3章祝婚の花嫁と悲嘆の花嫁―アドニス神話から
4章バァール宗教とヤハウェ宗教

第2部 聖母マリアとマグダラのマリア
1章聖母マリアの誕生―新約聖書『福音書』から
2章マリア学の形成
3章黒いマリア―「わたしは黒いけれども美しい」(雅歌1:5)
4章マリアの出現

聖母マリア崇拝の謎---「見えない宗教」の人類学 (河出ブックス)(amazonリンク)

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「黒い聖母と悪魔の謎」 馬杉宗夫 講談社
「黒い聖母崇拝の博物誌」イアン ベッグ  三交社社
「黒い聖母」柳 宗玄 福武書店
「黒マリアの謎」田中 仁彦 岩波書店
「フランスにやって来たキリストの弟子たち」田辺 保 教文館
マグダラのマリア 黄金伝説より直訳
「聖母マリアの系譜」内藤 道雄 八坂書房

「聖母マリア」 竹下節子著 講談社選書メチエ 
「芸術新潮1999年10月号」特集「黒い聖母」詣での旅
「凍れる音楽-シャルトル大聖堂」~メモ
「聖母マリヤ」植田重雄 岩波書店
「アヴェマリア」矢崎美盛 岩波書店
「聖母マリア伝承」 中丸 明 文藝春秋
「世界の名著 67 ホイジンガ」中央公論新~メモ
その他、関連書籍多数有り。
posted by alice-room at 03:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 宗教B】 | 更新情報をチェックする
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