しかもよせばいいのに、わざわざこの本が書かれた(当時の)現代に引き寄せて物事にコメントするんだもん。何故、中世の価値観を現代の価値観で図ろうとするのか、その考え方自体に非常に違和感を覚える。
具体的に言うと、中世において女性は性別に基づく役割分担として家庭を守り、良き自らの居場所を確保し、尊敬されていたのに、最近の女性は古き良き伝統を忘れ去り、ひたすら外へ外へと居場所を求め、古来有していた素晴らしき妻としての価値をなくしてしまっている・・・云々とか書いてるんだもん、ちょっとお馬鹿な人(?)とか思ってしまった。
別に私はフェミニストでもないが、社会や時代が変われば、女性の存在意義や存在場所が変わるのも当然でしょう。まして個人単位で勝手にすればいいことを、現在の風潮は・・・とかいう捉え方は単なるひがみっぽい偏屈なお年寄りみたい。
それを本来、余計なバイアスなどかけずにありのままに見つめるべき学者が言ってるのって、どうなんでしょう? 私はそういう人の講義は、耐えられないな。私個人の偏見ですが、学者なんて象牙の塔にこもっていて結構!社会や世俗の風潮に影響を受けているような学者なんて、所詮は二流のTVのお雇い批評家だけで十分ですよ。
ひたすら本読んでるか、研究していて下さいな。昔の中国の学者は、小さな漢字を何十年も読み続けて目が見えなくなったというのが、普通にあったそうですが、それぐらいじゃないとなあ~。
いつもながら、話がそれますが、実際に大学でやっていたしょうもない講義録を元にした本らしいです。絶対に単位なんて欲しくないな、その講義。当然、この本も読む価値を見出せませんでした、私には。
具体的な習俗の説明が少な過ぎるうえに、すぐに一般化して一見するともっともらしいこと言ってるけど、「だから何?」というレベル。まあ、絶版で正解の本です。白水社さんにしては、珍しくダメダメな本でした。
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