2010年07月06日

シャルトル大聖堂1~フランス(20100624)

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奇蹟のメダイ教会~フランス、パリ(20100623)の翌日。

もう2回目のシャルトル訪問なのに、パリで切符に買うのにちょい苦労しました。この時期、窓口は混むの知っているのでICチップ付きのクレカで購入したんですが、本来の2Fではなく、1Fの自動券売機で購入しようとしたら、行き先のシャルトルが表示されずに焦りました。

まあ、電車の出る30分前だったから、なんとか間に合いましたけどね。

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今回はツレがいたので、車内混むとやだなあ~って1等車にしたけど、車内はガラガラ。2等車で十分でした。ほとんど乗っている人もおらず、車内の風景も写真撮ったけど、消えちゃったし・・・。ふう~。

気を取り直して、シャルトルの話。

私にとっては今回の旅の目的がこのシャルトル大聖堂である。前回来た時以来、大いにはまったゴシック建築&ステンドグラス。以前は、カメラの性能不足や準備不足で綺麗な写真が撮れませんでした。

また、全然予備知識のないまま来たので、カエサルの『ガリア戦記』にも記述の残る「聖なる井戸」がクリプト(地下礼拝所)にあることも知らず、見ないままだったのです。くっ、悔しい!!

ようやく5年ぶりのリベンジ、つ~か再会です♪

有名な黒い聖母もぜ~んぶ、地下のクリプトにあるんだよねぇ~。今なら知ってるもん!
ここでも無知蒙昧な輩の暴挙により、古い黒い聖母は焼かれて失われてしまいました。それ故、柱の聖母よりも実は新しいものであっても、やっぱり是非見ておきたいというのが偽らざる気持ちだしね。

前置きが長いが、それっぐらい待望のシャルトル大聖堂なのですよ・・・・(後で悲劇に見舞われるのだが・・・)。
【今回の目標】は、以下の3点。
1)ケルト以来の聖地。その中心地の聖域、クリプトにある「聖なる井戸」を見る
2)ステンドグラスをぶれることなく、しっかりと写真に写す
3)タンパンやポルタイユの彫刻を余すところなく写す
実は、行こう&行こうと思っていたのに5年も時間があいたのには、いろいろな訳があったりする。

シャルトル大聖堂の正面がずっと工事していたのもその一因で、ようやく終わったと思ったんだけど・・・アレレっ?

今回、かなり残念だったのは、工事が再開されていたってこと。こればっかりは予想外でした。工事の音が騒がしいのは、まだしも正面が大きく開かれていて、普段は真夏の真昼でも薄暗い堂内が、明るいのにはショック!

以前来た時と雰囲気が全然違う・・・(涙)。
しかも、堂内が明るいのと外光がいつも以上に強過ぎて、ステンドグラスの色調がいわゆる白とびに。うぇ~ん(号泣)。

しゃーないです。こういうときもありますよ。
気を取り直して、バシャバシャとそれはもう、写真を撮りまくりました。首を見上げすぎて、痛くなるぐらい。ツレも相当な数、撮っていたようだけど。後で分けてもらわないと!

最初、ステンドグラスの色が以前見たのと全然違う感じで、かなりの違和感を覚えました。後で判明するのですが、室内が明るく、外の光が強いと世界有数の美しさを誇るシャルトルのステンドグラスでさえ、単調で均一な色彩になることを今回の旅行で学びました。

その日の天気や、刻々と変化する時間で無限にその表情を変えるステンドグラス。実は、午前中と夕方6時以降のものとは、輪郭は一緒ですが、全然その輝き、色合いが異なり、別物といえるくらい。まさに光の形而上学の体現しています。

う~ん、その違いを写真で見せられないのは残念!
驚愕しますよ、本当に!!

今回は、明るい環境でのステンドグラスの写真、地下のクリプト等、午後3時以前に撮影したものは、全てメモリ消去してしまった分に含まれているので、このブログに載っているのは、全部午後3時以降に撮影した分。後はiPhoneで撮ったもの。

口惜しい、ギリギリ。

特に大聖堂を一周し、フライング・パットレスや写せる限り全ての彫刻、ガーゴイルを撮影したんだけどなあ~。ふう~。美術書見ながら、勉強しようと思ったのに・・・チェッ。

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これはデジカメで撮影したもので唯一残っていたタンパン。

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工事がようやく終り、正面の扉も閉まって、シャルトル大聖堂に本来の静寂が訪れます。

薔薇窓も、本来の輝きを取り戻します。

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先ほどのものを上部と下部に分けて撮影。

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この垂直性が何よりもゴシックの真髄。しかし、一度でもシャルトルに行ったことある人なら、気付くでしょうが、この堂内の明るさは異常。

正面の修復工事の為に、普段は閉じてる正面の扉が開いてしまっているんです。いつもは見えないものが見える反面、見える故に神性が感じ取れない・・・。

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この縦長に続く3枚の写真は一つのステンドグラスを写したものです。
(全く、ブレてないでしょ。カメラの制御技術の進歩には驚くばかりです。随時、計算して調整しまくりで膨大に電池を消耗し、デジカメが熱持つほどですが。代替バッテリー購入して大正解!)

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暗闇に、本当に光が差し込んでいる感じです。

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写真がぶれているのではありません。光が周囲の闇に干渉して、滲むような輝きを放つのです。まさに宝石を凌駕する神の輝きに他なりません(ウットリ♪)。

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同一色に見えても、同じ緑色や青色のそれぞれで、色の濃淡がこれほどに違ってきます。

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同じステンドグラスですが、既に同じ色ではなくなっています。

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まさに光から浮かび上がってくる感じ。自分の目で見なければ、伝わりませんが、百聞は一見に如かず、ってやつです。

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我ながら、完璧な撮影と言っていいのではないでしょうか?

これ以上の鮮明さと色合いで、なかなか撮るのは難しいかと(自画自賛)。ブログに載せる関係でだいぶ縮小している(1/8~1/9)が、元の画像は1枚で10MB越えるサイズだったりする。

シャルトル大聖堂のステングラスは、12~13世紀の作成当時のまま、破壊を免れた稀有の存在であり、同時のその美しさは、比類無きものである。

エミール・マールの言葉を借りるなら、以下の部分だろう。私も同感以外の言葉を持たない。
・・・ここで発揮されたのは単にキリスト教社会の才能ではなく、フランスの才能でもあった。おろらく我が国の大聖堂において具体化された理念は、フランス固有のものではないだろう。それはカトリック的ヨーロッパの共有財産である。しかし、フランスの特性は、普遍的なものに対するその情熱にある。フランスだけが、大聖堂を世界の像に、歴史の集約に、精神生活の鏡にすることができたのである。

 あのありとあらゆる理念に、最高の法律のような見事な秩序を与えた事、これもフランスのなしえたことである。キリスト教世界にある他の大聖堂は、いずれもフランスの大聖堂よりも時代が遅れるものだが、それはフランスのものほど多くの発言をなしえなかったし、またそれほど美しい秩序の中で発言をしえなかった。

 イタリア、スペイン、ドイツ、イギリスのいずれの国においても、シャルトルに比肩しうるものはない。それほど豊かな思想を表しているものは、どこにも見当たらない。もし人が、宗教戦争や悪趣味や革命などが大聖堂をどれだけ破壊したかということに思いを致すなら、あの豊かなイタリアでさえ貧しく見えることだろう。

 芸術の分野で、フランスがかつてこれ以上偉大なものを何もつくらなかったということを、いったい人はいつ理解するのだろうか。

~『ヨーロッパのキリスト教美術』~


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ステンドグラスを通した光が床へ差し込む。

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世界が変わっても、何百年前から変わらぬ人々の信仰。

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通称「シャルトル・ブルー」。あるいは、BLUE VIRGINとも呼ばれるイエス様を抱えた聖母マリア像。

イエスの頭上部分の、濃淡の青さ。これこそがまさに世界遺産としてのステンドグラスでしょう。
写真で撮ってしまうと固定化されてしまうのですが、この青さは、光は、変化していく相貌の一瞬の青さに他なりません。

現代の技術では出せない絶妙な色彩。当時、ルビーや金等を溶かし込んでステンドグラスを作ったという話も、さもありなんと思わせる、そんな美しさ。荘厳さです。

初めて見た時は、絶句して息が止まったもんですよ。本当に。こんな美しいものを生み出せるものならば、カトリックに入信しようかとマジにそこまで思ってしまいました。

それ以来、ずっとステンドグラスには興味持っていて、片時も忘れたことありません。
他の人の旅行記でシャルトルの美しさについて書かれている記事もしばしば目にするが、他の人はそれほどの感動ではないんでしょう。

美しいものを見た、それで終わる感動は、その程度でしかないでしょう。人それぞれというのも分かるのですが、私的には逆に不思議でなりません。なんで、胸が打ち震えないのだろう???

みんな気になって調べたり、何かしたりしないんですね。へえ~。

もっとも、一度シャルトルに行ってはまりまくり、シャルトルに憑かれて、シャルトルに関する本を書かれている方なども日本人で結構いるみたいですね。それはそれでご同病の至り♪

むしろ、私なんて軽症で笑い飛ばれてしまいそう・・・(笑顔)。

ただ、あのナポレオンでさえ「シャルトル大聖堂を見て感動しない人は・・・」。まあ、いいんですけどね。

シャルトルを評して、しばしば言われる『凍れる音楽』との表現は、至言にして名言かと。(まあ、日本に着たフェノロサが言った方は今回無視)

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全体として、イエスの生誕を描いている。

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これは、ピンボケしたものですが、ステンドグラスの持つ色彩の豊富さを如実に表してもいるので載せてみました。

シャルトル大聖堂2~フランス(20100624)へ続く。
posted by alice-room at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 【旅行 散策D】 | 更新情報をチェックする
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