
最近よくみるビジュアル重視で、文章量のきわめて少ないタイプの新書です。新書にしては値段が高いが、文字を読む層ではなく、本を眺める層の方が圧倒的に多いのでしょう。
売れているんではないかと思います。
紙も厚めのしっかりしたタイプで写真の発色はいいですし、綺麗です。
でも、この説明でどれだけの人が内容が分かるかは、はなはだ疑問です。あまり馴染みのない珍しい写真があって、十分な説明が必要なのに、紙面の少ないところで無理に説明しているので相当内容が飛んでますし、この手のビジュアルを好む人が基礎知識や前提となるものを知っているようには、とうてい思えません。
巻末に用語の説明があるのはいいのですが、無理があります。
個々の解説で現地の様子から、歴史、意匠の説明、多作品との相違点の指摘等、盛りだくさんにしてしまっている為に、本としての出来はいいように思えません!
もう少しテーマを絞って一点の解説を期待したかったけど、万人向きにする為に、こうなってしまったんだろうなあ~というパターンみたいです。
写真と説明文がしっくりこないです。ただ、著者の翻訳された本は、私もだいぶ読んでいたりするので、本来きちんと書ける方なのでしょうが、まあ、いろいろな制約下故なのかなあ~と勝手に推測していたりします。
是非、行ってみてみたいと思わせるだけの魅力ある建築物、壁画等を紹介してくれているのは、貴重だと思います。非常に手軽だしね。
でも、わざわざ購入して手元に置いておくほどではないし、邪魔になるので個人的には一度読めば十分の本でした。
【目次】カラー版 イタリア・ロマネスクへの旅 (中公新書)(amazonリンク)
第1章 ロンバルディア地方
第2章 エミリア・ロマーニャ地方
第3章 ヴェネト地方
第4章 トスカーナ地方
第5章 ラツィオ地方
第6章 アブルッツォ地方
第7章 プーリア地方
第8章 カンパーニア地方とシチリア島
用語解説
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