2006年03月28日

「怪奇クラブ」アーサー・マッケン 東京創元社

kaiki.jpg怪談・怪奇ときて、御大(おんたい)平井呈一大先生の翻訳ときたら、つまらないはずがありません。それだけで、正統派の怪しいもの好きは、黙って買って読みましょう♪ 古き良き怪奇をたっぷりと楽しめます。

もっとも昨今のただ血が飛び散ったり、安易な精神異常やストーカー的な安っぽくて分かり易い反面、風情のないホラーがお好きな方には合わないかも?

近代人が有する合理性や科学的知識などという表面的なものが、いにしえからの歴然たる事実によって根底から覆らされるさまが、なんともイイ! まさに理知的に考えれば考えるほど、認めざるを得ない世界に確としてある神秘。

独特の語り口から、次々に紡ぎ出される不思議で幻惑的な事件の数々。春先よりも秋の夜長に最適かもしれませんが、じっくりと読書を楽しみたい向きにはお薦めです。

日常に隠されたちょっとした機会から、想像もつかない非日常へと誘われていくのは、なんとも素敵な体験です。いくつもの物語をあてどもなく、連ねていく感もありますが、それが気にならずにあたかも千夜一夜物語のようで私は好きです。

内容の個別・具体的な紹介は、かえって興醒めになりかねませんので特には触れませんが、ブラックウッドとかと並んでいいものはいいですね、やっぱり!

大昔にこの本を読んだ記憶があるんですが(たぶん本も持っているはず?)、忘れていて先日また買って読んだのですが、新鮮な感じで全然新しい。こういうのが良い作品なんでしょうね。ふむふむ。

怪奇クラブ(amazonリンク)
posted by alice-room at 23:12| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 海外小説A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>まさに理知的に考えれば考えるほど、認めざるを得ない世界に確としてある神秘。
なかなか言い得て妙ですね。マッケンは、日常のなかにある非現実への微かな裂け目を書かせたら、右に出るものはいないと思っています。「パンの大神」なんて、君は好きそうですよね。
ただ、平井呈一翁の訳文は流麗すぎて、私はちょっと苦手です。
Posted by oldbookseller at 2006年03月29日 02:09
oldbooksellerさん、お久しぶり。あれれ?学生の時、結構好きだったじゃん。あの時に読んでいたのは、平井氏の訳だと思ってましたけど、違ってた? 実はこの本を読みながら、君の事が頭に浮かびましたよ(笑顔)。でも、時代を経ても何度読んでもいいものはいいですね!

いつもブログ見てますよ。相変わらずたくさんの本に囲まれてるようですね。ケルト系やゴシック(文学より建築)関係の本などあったら、安く売って下さいね♪
Posted by alice-room at 2006年03月29日 23:27
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック