
シャルトルで見たくても見れなかった「エッサイの樹」。
エッサイから連なる王族の血統とその頂点として現れるイエス・キリストの到来を、非常に象徴的に表現した素晴らしい意匠です。
こちらは全体像。
以下、下から3分割して写したものを並べます。

一番下で眠っているのがエッサイ。

聖書に出てくる諸王がそこから次々と出て連なっていくのが分かります。

頂点である、一番上に座すのがイエス。
この図像が生み出されたのが、まさにこのサン・ドニ修道院であり、シェジェールの構想によるものと言われています。
でも、ここのステンドグラスは壊されたしまったので、サン・ドニの意匠を忠実に受け継ぐシャルトルのもの(当時のものが残っています)から、逆輸入して修復しているというのは、なんとも歴史の巡り会わせを感じずにはいられません。


天使のような羽根をを持つ、なんとも奇妙な彫刻達。尻尾もあるね。

こちらは角のある生き物。

中二階のようなところを歩いて周っていると、床に投影された、ステンドグラスの光のかけらにふと出会います。


これってワンちゃん?
伏見稲荷に慣れた私の目には、どうしてもお狐様達に見えちゃうのだけれど・・・。

常にあちこち修復途上。
色が無いガラスやはまっていないものは、これからの修復を待っているところですね。


頭上を飛び交う天使達がかなり大きいですね。
羽根の色もカラフル。

中央、一番下、すがりつくようにしている聖職者は誰でしょうか?

こちらは上のを拡大して映した写真。
右側にいるのが、このサン・ドニ修道院の修道院長にして、フランス国王の相談役で国王の留守を任されるほどの大物、シュジェール(スリゲール)です。
決して、軟弱だから神様にすがりついているのではないですよ~(笑)。
あくまでも神の前では、神の慈悲にお願いするだけの無力な存在という『謙譲』表現の故に、こうして自分の姿をステンドグラスに描かせているわけです。
なんせVIPっすから、TPOをわきまえつつ、要所をしっかり押さえて自己のアピールも忘れません!(なんせ門にもしっかり自分がここを立派に復興して神を祀るのにふさわしい建物にしたことを銘文で書いておくほどの人ですから・・・(笑))


上のを大きくして写したもの。
顔の表情も描かれているのが分かりますかね?


上に続く部分。
緑色の色使いがなかなか秀逸かと!
結構、好きだったりする(笑顔)。
サン・ドニ大聖堂5~フランス(20100625)へ続く。