2010年09月08日

「支那人の食人肉風習」「支那人間に於ける食人肉の風習」桑原隲藏 

両方とも青空文庫によるもの。

ややもすれば、俗物根性で興味を持ってしまいそうになるが、そういう傾向の本とは異なり、小説や伝説などではない、正統的な歴史書等のより史実であろうと考えられる文献を元に、淡々と歴史的な事実として食人肉を扱っています。


だからこそ、戦争や飢饉で飢えによる起こる食人や、親の病気を治す為に、親族が自らの股の肉を割いて食べさせるなどの風習・習俗などをあるがままに紹介しています。

そもそもが、そういった歴史的な側面を踏まえて、本当の中国の人を理解し、アジアの中で共に生きていくことを目指しているのが、まさに当時躍進していた日本を髣髴とさせます。

古来より、漢字を初めとして多大なる文化的影響や社会制度などのお手本として中国より学ぶばかりであった日本が今こそ中国にその恩返しをするというのは、うぬぼれのような自信の反面、拭い難い中国へのコンプレックスの存在の裏返しでもあるんですけどね。

まあ、そういうのを抜きにしても、中国人はやっぱり大陸の民で、どこまでも極端で目的志向的な方向性は、アメリカと行動パターンが重なってしまう。

どこまでも自己流(のローカル・ルール)を押し通して、グローバル・スタンダードと言ってのける姿は、今の中国の経済政策そのものだし・・・。だからこそ強く、成長しているんですけれど・・・。

話がそれました。
もっとも中国の食人の話は、つとに有名でいろんな本・著者でも触れられているので本書が唯一でもなく、むしろ記述はおとなしめ。纏足や宦官を生み出す文化を持った国ですからね。

現在の似非人権主義者とかだとうるさそうですが、何の偏見もなく、淡々と事実を捉えようとする姿勢は、非常に素晴らしいと思います。この方の他の著作も読みましたが、中国の(日本人の感覚的に)良いところも悪いところも、同様に客観的に記述する姿勢は、本当に公正無私だと思いました。

あえてお薦めはしませんが、こういうのも含めて今の人よりも昔の人の方が、国際的な感覚や視野を持って、世界と向き合って生きていたように思われてなりません。

ちょうど、今、日経の私の履歴書に哲学者の人のが掲載されてますが、満州でのくだりが書かれていて実に興味深いです。

ブログ内関連記事
「食人国旅行記」澁澤龍彦 河出書房新社
「アンデスの聖餐」Jr. クレイ・ブレア 早川書房
「大師の入唐」桑原隲蔵


ラベル:書評 歴史
posted by alice-room at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 歴史B】 | 更新情報をチェックする
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