2010年09月27日

「ウェブで学ぶ」梅田望夫、飯吉透 筑摩書房

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同じ著者による「ウェブ進化論」が非常に有益、且つ刺激に満ちた啓蒙の書だったので、目に入るや否や手に取りました。

やっぱり目からウロコの本です!!

本書を読む前から、元々こういうのには関心があり、ituneUで「シャルトル大聖堂」や「建築」関係の講義入れてましたが、実は英語がネックで十分に活用できないでいました。

MITの全講義をWEBで公開するってのも知ってはいましたが、OCW(open course ware)の本当の素晴らしさを本書を読んで、心の底から感じました。いやあ~もう、感動しまくりです。

ノブリス・オブリージュではないけれど、能力ややる気のある人に教育の機会を与える、その為に自分ができることを無償で提供する。人の持つシンプルだけど、一番強力な強みが最大限に発揮されていることを痛感します。

アホな(中途半端な)能力主義の導入で、部下の指導もできないどっかの国の企業とかとは大違いです。

TOYOTA WAYなんかも、要は自ら学び、成長する組織ってのが本質だと思いますが、それを一挙に世界に広げているのが、実に気宇壮大であり、あちらは学ぶ側の話なのに対して、こちらは提供する側の話であることなどに違いはあるものの、やっぱり、根底で共通するものを感じないではいられません。

最初、営利を目的にして検討中だったものが、採算合わないならいっそのこと無料で公開しちゃえ、というのも凄いですが、それを受け入れて、強力に推進していったMITのトップ。また、その為の費用として民間の援助団体が11億円も資金提供することがすぐに決まったというのが、(個人的には嫌いですが)アメリカのアメリカたる所以、アメリカこそが持ちうる美点だと思います。

どっかの国には、そもそも読む気のない子供の教科書を無料にし、本来子供達の将来の為、有意義に使用すべき資金を『手当て』と称して、ばらまく不思議な国もあるようですが・・・・、だったら、本書に出てくるようなオープン・テキストの開発に資金を回したら、無駄な検定教科書制度なんかよりはるかに価値ありそうですけどね。

子供手当ての代わりに、ネットブック配ってもいいし、そして図書館や公共の場所や全て高速無線LANが無料で使えるようにしたら、どれだけ教育の機会を増やす事ができるでしょう?

微分・積分以前に、分数でつまずいている名前だけの大学生の為に、私学助成を出す必要があるのか疑問でなりません。金がないなら、私学に行かなければいいし、国立大学や公立大学は無料でいいと思うんですけどね。その代わり数を10分の1でいいかと。

教える能力の無い教師を淘汰せず、やる気のある人が鬱になって自滅していく現状は、やっぱり問題だと思うんですけどね。

足の引っ張り合いと既得権益擁護の為の競争ではなく、各自が競い合い、お互いを高め合うのが理想でしょう。まあ、私もいろんな会社や場面で、その逆の現実を散々見てきてはいますが、だからこそ、そんなのは嫌ですね。

本書の中で触れられていますが、世界が一方で均質化していくのは紛れも無く事実であり、職を求めて人々が互いにフェアな条件で競争していくのがこれからの世界であり、そこで前提条件となるのは教育で身に付けた知識でしょう。

日本の学校で、職場でちゃんと知識を身に付けられるのでしょうか???

いろいろと本当に考えさせられる本です。

また、グローバリズムとローカリズムにつれて、大変興味深い見識が述べられています。ウェブの世界を自然に委ねれば、むしろそれぞれのところでローカリズムへ流れるのが一般的であり、グローバリズムの方がむしろ、特殊なのでは?っていうのは非常に示唆に富む考えだと思います。

古い言葉でいうならば、グローバリズムが普遍だと考えるのは、『共同幻想』であって、理念と現実との乖離に近いような感触を覚えます。そもそもアメリカの投資銀行やら、多国籍企業やらが他国に進出していく際の論理は、まさに『アメリカ的』資本主義論以外の何物でもなく、それを自国以外の他国へ価値観の押し付けを行うことがまさに企業進出だったと思います。

これは、私が学生時代から感じていたことですけどね。(ちなみに本書ではこの辺は、特に書かれていません。私自身の見解です)

まあ、そういうのも含めて、本書は実に有意義です。

これを見たら、何か自分も勉強しなければという強い想いに駆られています。せっかく機会があるのですから、それを利用しないとね。新宿での読書会とか、大学のOCWについても調べちゃいましたよ(笑顔)。

そういやあ~、最近、調べ物するとよく大学のシラバスとかに行き着くんだけど、これも昨今のOCWとかの影響の余波なんでしょうね。そうしてみると、いろんなことが変化しつつある事を感じられます。

人生は楽しいですね♪ 頑張って勉強しましょう♪ 本書は、意欲のある方には、素晴らしい刺激になる本です。超・お薦め~。
【目次】
第一章 ウェブ進化が人生を増幅する(梅田望夫)
人生を切り開いていくための強力な道具/「知の宝庫」たるウェブ/「師」や「同志」との出会い/職を得る、生計を立てる道筋へ/「経済のゲーム」と「知と情報のゲーム」/グーグルと中国/グローバル展開への強烈な意志/グローバルウェブを牽引する三つの力/グローバルウェブとオープンエデュケーション

第二章 オープンエデュケーションの現在(飯吉透)
ウェブによって生まれ変わったオープンエデュケーション/オープン・テクノロジー、オープン・コンテンツ、オープン・ナレッジ/ローカルからグローバルへ/オープンエデュケーションが続々と生み出す教育界の「ウェブ・スター」たち/カーネギーメロン大学の挑戦/初等・中等教育への浸透/「格差超越装置」としてのオープンエデュケーション/オバマ大統領の”オープンエデュケーション宣言”/「オープン・テキストブック」による教科書の無料化・低価格化/見え始めた「より開かれた二一世紀の大学」の新たな姿/牽引力としての民間財団の存在と社会的フィランソロピー精神/教育の開化・深化・進化/[コラム]メタ・ユニバーシティとクラウド・カレッジ

第三章 進化と発展の原動力
「逆転の発想」から始まったMITオープンコースウェア/「互助精神」「フロンティア精神」「いたずら心」「宗教的信念」/「カリフォルニアン・イデオロギー」と「東部エスタブリッシュメント的なもの」/オープンエデュケーションは独善的?/ヨーロッパにおけるオープンエデュケーション/授業料無料のグローバルなインターネット大学/個人の「狂気」がブレイクスルーを生む/成長段階仮説/オバマ政権とオープンエデュケーション/営利のオンライン大学/国内格差の解消、グローバル格差の解消/オープン・リサーチ、オープン・サイエンス/進化する教科書、オープン・テキストブック/初等・中等教育でも始まったオープン・テキスト化/ビジネスサイドからの新しい教科書出版の動き/[コラム]クリエイティブ・コモンズとオープンエデュケーション

第四章 学びと教えを分解する
オープンコースウェアは誰がどのように使っているか/アメリカの大学と「閉じ込めのシステム」/独習者はどのように学んでいるか/[コラム]オープンコースウェアで学んだ土谷大さん/教育と「強制システム」/ウェブと能動性/「テクノロジー」「ナレッジ」がなぜ必要か/「師」や「同志」とどのように出会えるか/学習コミュニティ/学びから職へ/専門的な知識を生かして社会貢献する/セーフティーネットとしてのオープンエデュケーション/[コラム]アルゼンチンの地方から世界へ:サンルイス・デジタル構想

第五章 オープンエデュケーションと日本人、そして未来へ
「残りのすべての人々のため」の教育?
ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)(amazonリンク)

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ラベル:書評 IT 教育
posted by alice-room at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
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