2010年10月10日

「ウェルチにNOを突きつけた現場主義の経営学」千葉三樹 光文社

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なんせ私が最初に入った会社は、GEをお手本にして頑張ることが目標だった総合電機(今は、聞かなくなった古語ですが・・・)でしたし、ニュートロン・ジャックとも揶揄されるもののジャック・ウェルチは経営者としてやはり傑出人物だと私個人も思ってました。

だからこそ、関連する本や記事もそこそこ読んでいたこともあり、また著者の会社のレコード針を使わず、レーザーで読み取る、まさに夢のような発明品の話は、大変有名ですからね!その2点だけでも興味を持って読み始めました。

いきなり感想を書いちゃうと・・・熱いね! 情熱的! 
就職活動をしたものの、ボタンの掛け違いで28歳になるまで就職口が見つからず、なんとか入れたのは、当時は海のものとも山のものとも知れない外資系のとある会社(GE)だったのがスタート。

入ったはいいが、実務経験無しの院卒出。周囲から仕事のやり方はおろか、仕事の内容さえ教えてもらえず、さんざんの扱いを受ける訳です。まあ、実によくある話ですが、今のたいていの人ならここで終わりですね。ブラック企業に勤めているんだけど・・・orz。乙。【終了】ってね!

だが、あのGEで現場叩き上げから副社長にまでなる人間は、そこからが非凡です。苦労に苦労を重ねて仕事を覚え、人の何倍もの努力と工夫で実績をあげていく。

そして次から次へとチャンス(ある意味、災難かもしれぬが?)が与えられ、仕事の幅を広げていく。常に困難さは増していくものの、自分の仕事における信念と仕事の流儀に自信を持って邁進することが成功につながっていく。もっとも、普通に仕事してました、では絶対達成できないだけのことをやり抜くには、どこか尋常ではないほどの情熱に裏打ちされた行動が必須ですけどね。

実体験に基づく著者の経験した事例は、実に&実に興味深いです。以前やってたNHKの「電子立国日本の自叙伝」だっかか? あれの当事者側からの証言みたいなもんです。本当に表裏一体という感じを受けました。
読んでいて、結構、ぐっとくるものがあります。

個人的には、本書を読んでいて胸が熱く、苦しくなることが多々ありました。
私も就職(というよりも転職)で相当苦労しましたしね。今の金融機関に入ったのは、大学の学部卒業時に金融の内定を断って、メーカー入ってから17年振りに初めての業種ですから。

本書にも書かれていますが、人を評価するにはやらせてみて(=チャンスを与えて)その実績から判断するしかないと思います。と同時に、失敗はつきものでもあり、その新しいことへのチャンスを継続的に与えて、その成果を評価し続けることでしかないでしょう。

でもね、それってなかなか出来るもんではないんです。
部下にやらせるってことは、失敗した場合は、上司がどこかでリカバリーしなければならないですし、責任は任せた上司自身に降りかかってきます。また、それが上司自身への評価にもつながることであり、自らのリスクでもあります。

リスクを取りたがらない上司は、部下に新しい仕事を任すなんて恐ろしいことは決してしません。当然、部下は伸びる機会もありませんし、実際に成長するのびしろが小さくなることでしょう。部下が伸びなければ、権限委譲もできず、仕事も振れず、上司自身も新しい仕事などする余裕が生まれるはずもありません。

駄目な組織になっていくのが目に浮かびますね。ホント。

まあ、そういう意味でいうと、私が二度入社して足掛け6年在籍したベンチャーのオーナー社長の下での経験は実に勉強になりましたし、よくよくチャンスは与えてもらえたと思います。未だに感謝の念は絶えませんね。勿論、実に苦労させられましたし、精神的にも参りましたが、どこに行っても通用するだけの普遍的なビジネススキルは、ここで身に付けることが出来たと思います。

データベース・マーケティングも分析から、販促企画の実施まで一から作り上げる経験させてもらえたし、業者との商談もさんざんやらされたしね。コスト交渉とか。弁護士さんと打ち合わせて裁判の訴状の確認や、損害賠償請求の為の損害額算定の基準作りまで経験させてもらえたのは、実にいい経験になったと思う。

社内で起きるほとんどすべてのプロジェクトに関与してたし、1日中社長室にこもったまま、打ち合わせして、昼もコンビニで買ったおにぎりかじりつつ、企画案を練り続けていたりしたので経営者としての思考方法をいやでも身に付けられたのは一生モノの財産ですね。

自分で会社経営した時も、やっぱり社長の過去の行動とか頭に浮かびましたから。経営者としては、私はまだまだと痛感したものです。

本書にも上記のような、(ずっとスケール大きいですが)話が随所に出てきます。本書の中でもいろいろな形・表現で出てくるものの、根底のメッセージは『腹をくくってリスクを取り、己が正当と信じることを貫き通せ』ということだと思いました。

昨今流行りの、自己啓発やお勉強本、ノウハウ本も悪くはないと思うのですが(私も好きだしね)、小賢しい小役人的な発想を抜け出れていないような感じがしてしまうのも事実です。本書がより普遍的な本質論なのに比すと、瑣末な小手先の話になってしまうかも?

本書を読んでそれを活かせるのは、実際にもそれに近いことをやっている人、経験したことのある人で、無理な人にはいくら読んでも参考にならないだろうなあ~。理屈ではないです。こればかりは、経験と行動しかないので。

しかし、本当に随所に心に響くものがあります。光文社でこういうのものが出せるとは思ってなかったのでビックリするくらい。個人的には、改めて肝に銘じたい内容でした。大変、勉強になり、感動しました。

【抜き書きメモ】
winner's sense and loser's sense

勝者:悪い結果に対して、自分が間違えたと考える
敗者:悪い結果に大して、悪かったのは私のせいではない、自分以外だと主張する

勝者:他人の秀でた点を見つけようとする
敗者:他人のあら探しばかりする

勝者:結果が良かったのは運だけではなかったけれど、幸運だった
敗者:結果が悪かったのは不運だけではなかったけれど、私は不運だった

勝者:問題に直面したとき、なんとか打開しようと務める
敗者:問題に直面すると、これは誰にも分からないことだ、だから打開策などないと考える

勝者:自分約束したことに責任を持つ
敗者:約束したことに責任感が乏しい

勝者:会議において他人の意見に耳を傾け、積極的に議題に参加する
敗者:会議において他人の意見を聞かず、指名されるまで発言もしない

勝者:状況の変化を鋭敏に認識し、それに対応する
敗者:いつも変化に振り回される

勝者:その案が最良か否かは不明だが、問題解決または現状改善の案を持っている
敗者:解決または改善がいかに難しいか、その理由を知っているが、解決策を持っていない

勝者:結果は良かったが、まだ十分ではない
敗者:結果は悪かったが、他よりは悪くない

勝者:それは容易ではない。しかし打開策をなんとか考えよう
敗者:それは難しい。だから打開策はあり得ない
ベンチャーキャピタルの担当者の言葉:

「あなたが投資をするかしないか、そのファイナル・デシジョンは一体何なのだ」
「人だ。
・・・
アーリーステージからの投資となれば、そが株式上場という形で成果になるのは少なくとも5,6年先だろう。10年以上先になることだってある。今の時代、5年後、10年後の技術がどういうレベルになっているかはほとんど予測不能だ。つまりオンリーワンの技術だとその時説明されても、5年後、10年後にそれが有効かどうかは全く分からない。だが一つだけ変わらないものがある。それは我々に投資を仰いできた当の本人だ。つまり我々はその人を信用して賭けるか、賭けないかを判断するしかないのだ。」
ウェルチにNOを突きつけた現場主義の経営学 (光文社新書)(amazonリンク)
【目次】
第1章 GEで学んだ実戦ビジネス術
誤算からの出発
GE入社―「それはあなたの仕事」
できる人間はとことん使え

第2章 日米経済の橋渡し
コストを下げろ
メイド・イン・アメリカの壁を越える
調達業務の広がり
GE最後の日々
ウィナーズセンス、ルーザーズセンス

第3章 レーザーターンテーブル事業への挑戦
レーザーターンテーブルとの出会い
大量生産・大量消費から小さくともオンリーワンへ
ラベル:書評 実用書 GE
posted by alice-room at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
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