2010年10月17日

「猫物語 黒」西尾維新 講談社

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以前はそれほどでも無かったし、一部の人には知られていてもそこまではメジャーではなかったラノベの「化物語」ですが、アニメ化以後、一気に定番中の定番になってしまいました。

それだけ作品世界が広がるわけで(商業的には大成功ですし、まさにドル箱でしょうから?)、いろいろなメディア・ミックスで多層的に楽しめて大変嬉しい限りではありますが、心配も当然ありました。

だって・・・金になるからと出版元の思惑(?)で出版ベースが早まると明らかに作品の質の低下を感じてしまうから・・・。

最近、あまり面白くなくなった作品もちらほら散見したので、すご~く心配してました。

でも、本書に限っては、その心配はまさに杞憂となりました。面白い!とっても&とっても面白い!うちのとこのツレいわく、「絶対に電車の中で女子高生の会話とか録音してそれを文章にしてるんだよ」と突き放し、読んでるとコレでお金とるの?とマジ顔で否定されますが、私はだからこそ、価値あると思うんですけどねぇ~。


【以下、ネタバレあり。未読者注意】











だってね・・・アニメの冒頭は羽川様、委員長ちゃんのパンツでしたが、今度は妹と半裸状態で下着(パンツ)の色は白が鉄板的(?)な話を延々と語ります。

もうね、チリで人が救出されても、中国で反日デモが起こっても、円高で80円になっても、日本は平和なんです。いやあ~もう~骨の髄までゆとりがしみついているんカンジ。メディアミックスのアニメ化を拒むかのような、著者の挑戦心は評価に値するものの、エロとかいう次元ではなく、なんていうか非日常と日常がクロスしてしまった感があります。

私は知らなかったのですが、最近の日本の血縁関係は、そこまでいっちゃてるのでしょうか?「俺の妹が~」とか「キスシス」とか「あきそら」とか、最近ついていけない!(私が読むのが偏っているってのはおいて・・・)

まあね、今更物理的接触があったくらいで驚いてちゃ、このご時世生きていけませんぜ、旦那。ってことなんでしょう。

それは別にして、西尾氏の最近の作品はアニメ化以後、ますます同時代感覚への訴えかけが多くない?こないだのiPhoneしかり、今回のくぎゅーしかり。元々、そういう傾向強かったけど、最近拍車かかっているような・・・・。

10年後、20年後、読み返したらどんな感じだろう?
もっともそれ以前に、一時期流行過ぎたものほど、後の時代では完全に忘れ去られるものでもあるんだけどね。なんか残っていなさそうな予感が・・・・。国会図書館まで行かないと読めなくなりそう・・・。

作品自体がそういうのノリなんで、どうしてもなかなか本題の委員長ちゃんに辿り付かないなあ~。ふう~。まあ、まともに考えると予想通り、重いシリアス展開のわけで、暗くなるのだけれど、それを差っ引いてもやっぱり羽川ファンには堪らんだろ。

ありゃりゃぎさんは、やっぱり間違ってますよね。蕩れ系の奥日光の人は、気の迷いってことでキッパリ切って、羽川様とお付き合いしないと。どうせ殺されても不死身ってことで、再生すればOK?

イスラム教に改宗して、正妻は4人まで普通とか言えば、宗教を知っている羽川さん的には、きっとそういう正しさも肯定せざるを得ないわけで、許してくれると思うんだけどなあ~。

尋常ではなく、『普通』的な正しさに強迫観念を持つが故の強みの裏返しとして、それが世間的にも正しいと認知されれば。きっと自分の感情を押し殺してくれることでしょう表面的にはね。また、猫が出るかもしれないけど・・・。キャット VS カタツムリとか、キャット VS カニ(&猿)とかは見物だし。

アニメから入った読者がドン引きしてても、是非とも原作のノリで突っ走って欲しいところではある。まあ、突っ走ってるけどなあ~。実際。

時系列自体は、このシリーズ相当あちこち入り乱れてはいますが、出版順ならベストでしょう。じゃなくてもいけるでしょうけどね。いきなりこの本から読むと、前提条件が崩れて作者的想定から外れるでしょうが、まあ、気にしない&気にしないで、すみます(たぶん)。

個人的には久しぶりに西尾氏らしい、作品が読めて大満足です!!(笑顔)
これは面白いです。友達のいない人は、本書を読めば友人との擬似会話を楽しめます。

どっかの机の隅っこで一人で本書を読んで、ニヤニヤしていれば、ほらっ、周りから益々人が離れていくこと間違い無しです。友人のいない方にはお薦めの本書でした。

でもさ、やっぱり羽川さんと付き合うべきだったなあ~。ひだぎが不治の病とかで、止むを得ず、舞台から退場して頂ければ、さすがに正しいことではないとできない羽川様も行動できるかもしれないし・・・。

誰か二次創作でもして、委員長ちゃんの幸せな結末を描いて下さいなって心底思いました。と言って、同人誌などを見る私(オイ)。

最後に約5頁、たった1単語の繰り返しだけで埋めるってのは世界でも類例がないと思いますよ。頁いくらで売ってる商業誌としては、許されべからざる暴挙?挑戦?手抜き?

昔の手書きならまだしも、コピペしたらどうよ、ソレって。しかも本の値段異様に高いし・・・。でも、面白いんだよなあ~。確信犯だね、悔しいけど、抗えません!

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【書評 西尾維新】左のカテゴリより。
posted by alice-room at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 西尾維新】 | 更新情報をチェックする
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