金融政策の目指すべき目標
1)銀行システムの健全化と銀行貸出の促進
2)デフレ不況の緩和
3)成長政策の側面援助
超金融緩和政策の負の効果
・銀行貸出の減少
・過剰供給力の温存
・高齢者世帯の利子所得の消滅
超金融緩和政策
・量的緩和で長期金利の方が短期金利以上に下がり、銀行の利ざや縮小で貸出リスクが取れなくなる
・銀行に対する自己資本規制も貸出抑制に働く
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貯蓄等の安全資産選好で銀行の余剰資金は増えるが、それは中小企業貸出ではなく、リスクフリーの国債投資へ向かう
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国債利回り低下で銀行の利ざや縮小の悪循環へ
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超金融緩和政策
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不良債権の顕在化を避ける行動が、市場から退出すべきゾンビ企業の温存につながる
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過剰設備の廃棄が進まず、供給力過多の状況維持
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企業利潤の低下・生産性の低下をもたらし、雇用や賃金水準の低下で消費の低迷へ
=国内のデフレ不況の構造 ← 人口の高齢化と利子所得の消滅
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我が国の成長戦略
・製造業を中心とした既存産業での過剰供給力の削減
・失業を吸収するための新しい成長産業・・・国内の非製造業が中心(医療・介護・教育・農業)
・利子所得の復活で需要の創出
金融システムの健全化問題
銀行の基礎収益(貸出と国債保有)の赤字化への対応としては、長期金利を上げていくことが緊急の課題
→長期的に持続的成長が可能
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以上がその内容なんですが・・・。
分かり易い説明であり、巷でしばしば言われていることでもあるのですが、これって本当でしょうか?
製造業の淘汰による過剰生産力の削減ってのは、言いたいこと分かります。需給の均衡ってのは、経済学の基本ですからね。
そして、それは基本として、縮小均衡に陥ってパンクしちゃう経済モデルなんで、どう成長モデルへ転換させるかという点も書かれてはいるんですが、いかにも教科書的で傍観者的なお話なんで『?』が浮かんでしまう。
そもそも金融機関の淘汰が足りないんじゃないでしょうか?
官公庁しかり、金融しかり、過剰な規制と保護の下で多々目に余るほどの非効率性が温存されていることを痛切に感じますけどね。そりゃ、どうしても他の業界以上に安全性・安定性・健全さを求められる以上、それが間接費(コスト)の上昇につながるのは分かりますが、これだけの数の金融機関の存在がしていることこそが不思議だと思いますが・・・?
実体経済を支える黒子役が金融でしょう。
日本が金融立国になるなんてことは、絶対有り得ないと思いますよ。個人的には。
と同時に、日本がモノを作らなくなった時、この何にも資源のない国で先があるのでしょうかね? 介護や医療が必要なことは分かりますが、大学卒や院卒の人間を重点的に老人介護などの分野に人割り当てて、この国は、どこから稼ぐのでしょう?
介護サービスで特許取るの? 介護の工場建てるの? 介護サービスを輸出するの?
別に介護じゃなくてもいいのですが、医療にしろ、農業にしろ、この日本で国民全体を養っていく外貨をどこで稼ぐのでしょうか? 非製造業部門を肥大化させても、現在国家のある富を消費させるだけで(それはそれで確かに経済は回転するの分かりますが)、新たなる富をどこで生み出すのでしょうか?
海外勢との競争が厳しいから、別なカテゴリでという発想は有り得ないと思いますけどね。というか、過剰供給力先のゾンビ企業の淘汰ではなくて、ゾンビ国家たる日本の淘汰の間違いではないでしょうか?
既に国家として尊厳を自ら損ないつつある国ですしね。狭い国内で、ちまちま滅びの日を待つのでしょうか???
確かにこの記事に書かれていることは、もっともですが、経済は人々の想いでどうとでも動くのも事実。この国の将来的な成長が確信できれば、人々は借金してでも消費を増やすでしょう。企業も先を見越して投資を増やすでしょう。
株価の低迷は、まさにそれが主因だと思いますけどね。
生産性の低い企業の淘汰は勿論ですし、それを促進させ、むしろそれらを二束三文で買い叩いて、生産性の高い企業に集約し、より一層の競争力強化を図り、国家は税制面他、徹底的にそれを支えるぐらいで良いかと思いますけどね。統制経済は論外ですが、投資環境作りは国家の大切な役目でしょう。
勝てないから、や~めたで済むのは、どっかのゆとりじゃないんですから! 働いたら負けかな?ではなくて、競争したら負けかな?なんて事を言っている場合じゃない気がするんだけどなあ~。
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