独断と偏見がウリの私ですが、自信を持ってお薦めできるシリーズです。もっとも関連はしつつも一話完結に近い連作であり、他の本とも世界観は一緒でも直接他の本を知らなくても問題ないので、入手できるものから、読んでも間違いありません。ハリポタ等と比べたら、ネバーエンディングストーリーなんかと比べたら、はるかに大人向きのファンタジーです。
世界がまだ平らであった頃の話、妖魔や魔物が人々に実感を持って感じられる世界であり、この世の中で想像もできないような美の造形が生み出す人や妖し(あやかし)が存在しえた今とは異なる世界の話。
普通では考えられないような魔術や妖魔、彼らに魅入られた特別な運命を背負った人間が主人公。彼らの紡ぐ、このうえもなく甘美で麗しいお話の数々ですが、そのどれにも怜悧な刃物で切り裂かれずにはいられないような悪意が潜んでいる。表面的な端正な美は、残酷な話の中でも絶えず現われるが、人間の持つ、否、この地球という世界が持つ本質的な冷酷さが、虚構にしか見えないはずのこのおとぎの世界を、異様なまでにリアルに演出している。
いかにも・・・いかにも冷笑家たるべき英国民でなければ、描けない小説であろう。英国幻想文学大賞を受賞した女史(受賞作は「死の王」)ならではの筆が冴える作品である。黙って読めば分かる、この文体がなによりも特徴的ですらある。訳者も実に、原作のいい味を出していると思う。もっとも、リー女史の作品は、是非とも原作で読もうと学生時代から思いつつ、未だチャレンジしていないのだが、原作で読めば更にスタイル(文体)に感動できそうな気がしてならない。今年中に一冊ぐらいは読んでみたいところだ。
甘っちょろい童話などと、心得違いなどされずに、心して読まれることを切に願う。生半可な気持ちで読むと、バッサリ切って捨てられてしまうぐらいの凄みのある作品です。私も勿論、タニス・リー氏の作品はほとんで持って読んでますもん! 最近、知らぬ間に絶版になっているようですが、探して読んでみましょう。それだけの価値がある作品です。
できれば、「死の王」がベスト!!
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alice-roomさんの写真は室内も外光のも、いつもとてもクリアで感心してます。
ほんとに素敵な建築物ですね~。
旧岩崎邸は、いつか見たいと思っていたので、楽しみました。
私も岩崎邸があるのは知っていたのですが、1年以上もいつか行こう、いつか行こうと思いつつ行ったことがありませんでした。上野には頻繁に行くのですぐ近くだったのに・・・。あ~あ、もったいない。
独楽知さんも機会がございましたら、是非どうぞ。久しぶりに素敵な建物だと感動しちゃいました(笑顔)。