2010年12月19日

「フリー」クリス・アンダーソン 日本放送出版協会

iPhoneの電子書籍でまさにフリーで提供されて読んだ物。

あのAMAZONの販売モデルを例にあげ、大変有名な『ロング・テール』の言葉の生みの親である著者による新しい作品です。

IT系のネタ満載でクールなwired誌の編集長でもあります。私も結構好き!

この作品も着眼点や認識方法が実に秀逸でうまいのですが、同時に、まさに無料で配って評判を作るという辺りの販促のうまさも目を惹きます。

ただ、他者がこれを真似してもうまくいかないと思うし、本の内容も面白いのですが、決して革命的な衝撃や刺激までは与えてくれません。だって、私の場合、先にこちら(「ウェブで学ぶ」)を読んでしまっていたのでね。


なんでもかんでもIT時代は無料で提供されるサービスがデフォルトになっていますが、何故それが可能になるのか? そこで壊れていく既存ビジネスモデル。その中で、利益を獲得していけるビジネスモデル。

変な経営コンサルタントの世迷言や戯言(たわごと)よりも、本書の方がはるかに本質を捉えています。
何でも広告つければいいとか、販促費として他の部分で利益を挙げるとか、そういう部分を越えた極限までの費用限界逓減が可能となる背景を的確に指摘しています。

勿論、IT系のビジネス知ってれば、常識ではあるものの。実にうまくまとめているし、それを基本原則からロジカルに説明しているので、この手の知識が弱い人ほど有用かと。

但し・・・・、本書の言いたい部分は、私個人について言えば、だいたい知っていた。目新しいものは無いです。

ITベンチャーとかで管理職以上やってるなら、この本は、既存知識確認以上のものはないので読む必要ないでしょう。オールド・エコノミーの産業で、この手の事知らなければ、避けて通れない歴史的必然の部分も含まれていますので、目を通しておくべきでしょうね。

しかし、マーケッターとしては著者本当に凄いです。見習いたいですね!!

名前だけIT企業にいるくせに、金融庁検査マニュアルのPDFを紙に先ほど印刷してた、可哀想な私・・・orz。まずは、周りに追いつき追い越せ、それからなんとか新しい方向へ進みたいなあ~。

今は地道にお勉強するしかないんだけどね。
なんかいい方法論を考えねば!

本書を読んでいて思ったけど、mysqlインストールしちゃった私だからなあ~(苦笑)。
【目次】
無料とは何か?
第2章 「フリー」入門
──非常に誤解されている言葉の早わかり講座
第3章 フリーの歴史
──ゼロ、ランチ、資本主義の敵
第4章 フリーの心理学
──気分はいいけど、よすぎないか?

デジタル世界のフリー
第5章 安すぎて気にならない
──ウェブの教訓=毎年価格が半分になるものは、かならず無料になる
第6章 「情報はフリーになりたがる」
──デジタル時代を定義づけた言葉の歴史
第7章 フリーと競争する
──その方法を学ぶのにマイクロソフトは数十年かかったのに、ヤフーは数ヶ月ですんだ
第8章 非貨幣経済化
──グーグルと二一世紀型経済モデルの誕生
第9章 新しいメディアのビジネスモデル
──無料メディア自体は新しくない。そのモデルがオンライン上のあらゆるものへと拡大していることが新しいのだ
第10章 無料経済はどのくらいの規模なのか?
──小さなものではない

無料経済とフリーの世界
第11章 ゼロの経済学
──一世紀前のジョークがデジタル経済の法則になったわけ
第12章 非貨幣経済
──金銭が支配しない場所では、何が支配するのか
第13章 (ときには)ムダもいい
──潤沢さの持つ可能性をとことんまで追究するためには、コントロールしないことだ
第14章 フリー・ワールド
──中国とブラジルは、フリーの最先端を進んでいる。そこから何が学べるだろうか?
第15章 潤沢さを想像する
──SFや宗教から、〈ポスト稀少〉社会を考える
第16章 お金を払わなければ価値のあるものは手に入れられない
──その他、フリーについての疑問あれこれ
結び──経済危機とフリー
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略(amazonリンク)


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posted by alice-room at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
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