2010年12月23日

「ザッポス伝説」トニー・シェイ ダイヤモンド社

これもiPhoneの電子書籍アプリとして、無料で提供されていたもの。

先日の「フリー」も面白かったが、最近、この手の本が電子書籍として提供されるようになったのは、いろいろな意味で興味深い。まだ、テスト段階の試みなんでしょうが、それできっちりと利益につながる仕組みとつながっていくのなら、大歓迎ですね!
(十分に知名度がアップするだけでも、印税以上の価値があるでしょうネ(笑顔))

さて、それはおいといて、本書は靴のネット通販企業として成功し、AMAZONに高額で買収されるまでになった企業家本人による成功談です。ありがちなサクセス・ストーリーの一つではあるものの、IT系のベンチャーはえてして、実業を軽視し、ひたすらマーケティング戦略と財務戦略ばかりで上っ面ばかりの中身のないビジネスをするのですが・・・・。

実際にここで物を購入したことがないので分かりませんが、いわゆる顧客第一主義を徹底し尽くす事で他社と差別化し、商品に『意外性』というなかなか難しい付加価値を与えることで、顧客の企業へのロイヤリティを高めています。

その結果として、マーケティングでいうところの顧客の生涯価値を高め続け、長期的に利益最大化を図ることを目指して(達成して)いるようです。

教科書的には、これもよくあるものの、実際のビジネスでそれを達成しているのはごく僅かの企業だけです。本書の内容通りなら、素晴らしいです。

有名どころのビジネス・スクールでケース・スタディとして採り上げられるのも分かるような気がします。
私が以前いたベンチャーはスタンフォード出のMBA出身者達が集まって作った会社で、ITバブルの中、泡のもくずとして消え去りましたけどね。顧客なんて、ファンドやエンジェルに投資を仰ぐ為の資料の中の数字の一要素以上の価値無かったでしょうから・・・。某TVや某雑誌に特集されていたのは・・・笑えるな、マジ。

そういやあ、こないだも今勤めているベンチャーにTV局が取材に来てたらしいが、はてさてねぇ~。以前いた会社も某NHKさんや某民放さんで放映されたましたが、今は、株価100円にも満たず、オーナーが経営権譲渡してるくらいだし・・・。

まあ、会社は会社。
自分が出来る仕事をまずは頑張るっきゃないでしょうね。どこに行っても通用するぐらいの実力は身に付けておかないと。

さて、ようやく本書の内容。
子供の頃からビジネスに興味を持ち、あれやこれやと成功・失敗を経験した来た著者は、ハーバードを卒業すると、楽で金になるからとオラクルに行きます。

つまんないから、数ヶ月で速攻辞めたらしいですけどね。
そっから、ネットの広告会社立ち上げて、マイクロソフトに転売。だいぶ儲けたらしいのですが、最低限1年間、そこにいないといけない契約にもかかわらず、これも飽きて刺激的ではないと、速攻、辞めてしまう。

金銭的に損したものは、それでも金はあるので今度は自分がベンチャーに投資するファンドを立ち上げる。

その中の一つに、本書の「ザッポス」があったそうです。
他の投資先がこける中で、起業家としての最初の自分の成功はまぐれではないかという、葛藤やプライドとの確執の末、最終的にこの「ザッポス」だけに絞り、最終的には自らがその経営者としてビジネスに挑んでいきます。

資金のショートという事態に絶えず、頭をなませつつ、以前儲けた全財産を突っ込み、このベンチャーを軌道に乗せ、成長させていく姿勢を生々しく描いています。

でも、本書を読んで心から思ったのは、ベンチャーは金銭的に報われるかどうかは、運次第の面が大きいが、とにかく何でもが新しい局面であり、常に自分が主役で何でもできる、何でも作っていけるという面白さがあるのはいいなあ~。

勿論、新しいことをやるのだから、朝から晩までトラブル続出でそれをその場その場で処理しなければならない一方で、とりあえず可能性があるなら、何でもチャレンジさせてくれる(つ~か、チャレンジしなければ、すぐ老舗・大手に潰される)ので遣り甲斐だけはあるんだよね。

休みも少ないし、給料も労働時間に見合わないけど、モノを作るというかビジネスの仕組みを作る、この面白さは格別だと思う。

最近は、私は全然経験してないので寂しい限りですが・・・。

本書を読んでいて、あのベンチャー特有の高揚感、充実感(もしくは緊迫感)を思い出しました!!
今のところも、まあ、ベンチャーらしくいろいろそれっぽいのあるけど、切った張ったの世界じゃないからなあ~。安全で健全でなければ、いけない業界ですし・・・。

しょうがないですね。
自分が最前線に立つには、圧倒的な業務知識が足りませんし、まずはしっかりとお勉強しないと。(さぼってばかりのくせに・・・口先だけ立派な私、いかんなあ~)

でも、久しぶりに本書を読んでワクワクしました。

ただね、この経営者はカリスマになれるかもしれませんが、自らの価値観を部下に強制(当人は共有と思っているだろうけどね)しているのは、正直かなりウザイ!

特別賞与出して、業績の見通し間違ったから、すぐレイオフって、かなり経営者としては失格かと思うのですが・・・・。実際、どうよ?

会社都合であっちこっち引っ越すのは、まあ、やってる仕事が最高に充実してればありだけど、それに見合うだけの満足を提供してくれるのかなあ~。それこそ、仕事が面白ければ、海外でもすぐ行くけどね、私。

今の仕事、海外でしろって言われたら・・・・。
まあ、あえて書きませんけどね。

「家族的な一体感と最大級の顧客満足度の提供」

日本にも家族的経営をうたった企業はたくさんあったけどねぇ~。数十年で、うわべだけの成果主義入れて、ぼろぼろの企業になったのがどれほどあったものやら。個人的には、会社の人とわざわざプライベートで会う意味が分かりません。

別に、よそよそしくする必要もないですし、かといって馴れ合う必要もないでしょう。気の合う人と、職場の知り合いで会ってもいいでしょうが、職場の延長線上というのは、むしろ視野狭窄になりませんかねぇ~?

もっと、いろんな人と仕事以外の側面で交流する方が、人間として面白い奴になると思いますけどね。変な奴歓迎という「ザッポス」ですが、私は、どこでも変わった人で通ってますから、何を今更と思ったりもしちゃいますね。

それに、たかが10年程度の企業が何言っても、まあ、すれてしまった私から見ると、素直に首肯できんよなあ~。組織なんて、すぐ腐るからね! 

本書は面白いと思うけど、著者の言うようにこの会社は何か新しいものを生み出しているのかな? 個人的には、物流の改革であり、大切だとは思うけど、イノベーションか否かと問われたら、『NO』だと思う。

もっと世界の根本から変えていくのとは違うような気がしてならない。
しかしながら、私的にはAMAZONは単なる物流以外の人の生き方、スタイルを根本的に変えた企業だと思う。まさにイノベーションでしょう。

この違いについて、分かる人なら、すぐ同感してもらえることでしょう。書くと長くなるから、ここではこれ以上触れませんけど・・・。

いささか、押し付けがましいノリの本書ですが、しかし、本書を読んで、改めてベンチャーの良さを感じたのも事実です。

常にチャレンジし、失敗から何かを学びとり、次回に生かす、それを継続し続ける。決して諦めず、未知の困難に正面から立ち向かい、突破策を見出すべくあがく&あがく。

それないと、新しいものなんて生み出せませんからね!

いいなあ~♪ベンチャーの醍醐味です♪

兼業はまずいだろうから、金を取らないものの何か新しいビジネスのネタ探し、やっていきたいなあ~。

本書の(ザッポス)の価値観には、共感できませんが、忘れていたものを思い出させてくれました。自分で何事も行動し、働きかけていかなければいけませんね。がんばろうっと!!
【目次】
イントロダクション―目的を探して
1 利益を求めて―ザッポスへたどり着くまで
2 情熱をかけて―成長の設計図
3 人生の目的にたどり着く―幸せを届ける会社に
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顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか(amazonリンク)
posted by alice-room at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
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