「ダ・ヴィンチ・コード」のナゾ、徳島で解ける?
【以下、転載】
二十日から全世界で一斉に上映される世界的ベストセラーのミステリー小説「ダ・ヴィンチ・コード」(ダン・ブラウン作)。小説に関係するレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐(ばんさん)」「モナ・リザ」など四カ国六美術館に収蔵されている名画十二作品を、一カ所で鑑賞できる施設が、徳島県鳴門市にある。「大塚国際美術館」。これらの作品を約一時間でめぐる館内ツアーがメディアミックス効果で、大きな人気を呼んでいる。
同美術館は大塚製薬が平成十年に設立した。ここでは、世界各国の美術館に収蔵されている名画をそのまま再現した原寸大の陶板画約千点を常設展示しており、その中から「ダ・ヴィンチ・コード」のストーリーに関係する名画を登場順に沿って、紹介する館内ツアーを昨年一月から実施している。
「当時、既に日本でも翻訳本がベストセラーになっていたので、小説に興味を持った人たちに、美術館に足を運ぶきっかけにしてもらおうという狙いがあったんです」と同美術館の坂本明子さん。
ツアーを開催するのは金曜日と日曜日。美術館のスタッフやボランティアガイドが案内役を務める。ストーリーの冒頭に登場するカラヴァッジョの「聖母の死」から始まり、「最後の晩餐」「モナ・リザ」と紹介は続いていく。名画にまつわるエピソードと、劇中の場面を臨場感を交えて説明。「岩窟の聖母」の前では小説のシーンと同じように、キャンバスと額縁の間から金色の鎖を取り出すといった趣向も盛り込んでいる。
一回あたりのツアーの定員は三十五人で、意外にも原作を読んだことがある参加者は平均すると二割程度。美術館でのツアーを経験して予備知識を蓄えてから小説を読もうと考えている人も多いという。
映画の公開が近づくにつれ、ツアーへの問い合わせも増加している。同美術館では四月中旬から八月下旬までの予定で、一日あたりのツアーの回数をこれまでの二回から三回に増やした。ツアー効果もあって四月の入館者は昨年同期比で二割アップしたという。
作品によって美術館を訪れる人が増え、周辺の観光にも波及効果が出る一方で、ツアーをきっかけに小説を読んだり、映画を見たりする人も増えるという理想的なメディアミックスが成立しているといえる。ツアーは十二月三十一日まで継続する予定だ。
ダ・ヴィンチ・コード関連では、出版社がさまざまな関連本を出版したり、旅行会社が作品に登場するパリとロンドンを巡るツアーを企画したりしている。なかにはアパレルのワールドが「ザ ショップTKタケオキクチ」ブランドで、「モナ・リザ」などをプリントしたTシャツを販売するといった動きも。
「ダ・ヴィンチ・コード」は経済にさまざまな効果をもたらしている。