2011年01月22日

「はやぶさ」吉田武 幻冬舎

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【途中】



何を今更の話で恐縮なのですが、去年はこれしかないってくらいの話題になった小惑星探査機「はやぶさ」に関する本です。

私は、当初ニュースで聞いていた時は、単純に凄いなあ~ということしかイメージに無かったので思いっきり時代に乗り遅れてました。その後、年末の友人との飲みで改めて話を聞き、ニコ動とかで動画をみていきなり号泣!

すっかり、にわかファンになり、別な知り合いからの話を聞いたり、地球に帰還時のラストショット見て今、片っ端から本を読んでいるところです。

今週仕事関係のテストがあって、ブログの更新も後回しで「ヨスガノソラ」をやっている暇もありませんでしたが、今、ようやく「はやぶさ」君の本とかを読んでいるところ。

この本は年末読んだんだけどすっごく感動してしまいました。
なお、本書は2006年11月30日の発行の為、無事に日本に帰りつき、貴重なサンプルを持ち帰ったまさに奇蹟のオンパレードである点までは触れていません。当時、まだまだどうなるか分からなかったので当然と言えば、当然。

その代わり、今回のミッションを成立させた組織である「宇宙研」の歴史的経緯について、大変よくまとめてあると思う。

個別具体的な一例であるかもしれませんが、それ以上に広く『組織』や『プロジェクト』といういささか陳腐かもしれないが、わたしにとっては身近なテーマに実に重なるものが多かったです。

申し訳ないが、もっともらしい体裁だけで組織を生み出し、成果を挙げたこともない自称「経営の専門家」が書かれたビジネス本なんかよりも、はるかに具体的で有用な付加価値を有する本だと思う。

日本の宇宙開発が、一人の情熱をきっかけに、それを囲み、支える多数の人の情熱をも巻き込みながら、ナイナイ尽くしの中でもがき苦しみながらも、独創的な創意工夫を生み出し、進められていくその様は、涙無しには読めません(号泣)。

逆に浅はかな私などは、経済でも、技術でも、日本がもう失ってしまい、現在の日本にはないのではないかといささか悲観的に感じていたのですが、それが間違った認識であることを知りました。

物事に対する熱い『情熱』は、今も連綿と受け継がれているのですね!
昨年の「はやぶさの成功」に対するたくさんの日本人の感動は、まさに失いつつある日本人のアイデンティティの再認識、そんな感じがしてなりません。

やりたいことがある時に、金がない、技術がない、場所がない・・・等々、できない理由を挙げるだけでは、仕方ありません。制約がないことなど、現実社会でありえませんからね!

本当にやりたいなら、一つ一つの問題を自らの創意工夫で解決していくしか道は開けません! 何よりも考えつつ、行動していくしか道は開けませんから。

と同時に、社会というのは良くしたもので、誰かの行動は別の誰かが必ず見ています。他人からの援助をあてにしているような底の浅い情熱では、誰も相手にもされませんが、本物の情熱は、周りの人に影響を及ぼします。周囲の人に情熱というのは、伝播するものです。

本書でいうなら、糸川教授の情熱を中心にして、志を同じくする人が周囲に集まり、一つずつ丹念に技術的な問題にいうに及ばず、ありとあらゆる理不尽な制約をも、克服していく姿が描かれています。

これは普通にお仕事している人なら、誰でも職場で為しうることなのではないでしょうか?

実際に出来る人がいるかどうかは、別にしてですけどね。
ベンチャーの起業なんて、たいていそういうものですから、経営者はこの手の資質を共通して有していると思います。

また、それ無しに何事も成し遂げられませんからネ。





【目次】
プロローグ 挑戦

第1部 大地の詩
逆転の糸川英夫
遺産から財産へ
栄光、落胆、そして試練

第2部 天空の詩
虹の彼方へ、星の世界へ
「はやぶさ」への道
旅のはじまり
遂に来た、イトカワ!

第3部 人間の詩
旅路の果てに

エピローグ 復活
はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語 (幻冬舎新書)(amazonリンク)
posted by alice-room at 08:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
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