本当はこれからの季節、夜中にこっそり読むのが雰囲気があっていいのだが、せちがらい車内での読書。イマイチ興が乗ってこなかったのは残念。
いわゆるアンソロジーというものだが、まあいんじゃないかな。全体的にそこそこという感じだが、ゾクゾクとくるほどの怖さは無かった。読み通した感じからすると、あともうちょっと・・・という感じが多かった気がします。
今回読んだ中では、一番最初の「怪異石仏供養」がなんとなくだけど、一番心に残るものがありました。まさにそのなんとなくの感じがなかなか素晴らしい作品です。
他のも、いい感じまでいくんですが、常識の範囲内を飛び越えて異界にまで連れていってくれるほどではありませんでした。そういうの読みたいな。妖しの世界に惹きこまれるような本に出会いたいものです。
【目次】
怪異石仏供養(石川淳)
月の夜がたり(岡本綺堂)
幽明鏡草紙(潮山長三)
濡事式三番(潮山長三)
首斬り浅右衛門(柴田錬三郎)
妖魔の辻占(泉鏡花)
能面師の執念(佐野孝)
惨虐絵に心血を注ぐ勝川春章(神保朋世)
池畔に立つ影(江藤伸吉)
悲願千人斬り(橘千秋)
悪鬼になったピリト(岡田耕平)
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