2006年06月01日

「ジャンヌ・ダルク」村松 剛 中央公論新社

ジャンヌ・ダルクについて書かれた本は、日本語に限っても思ったより多い。その中で本書はどんな位置を占めるだろうか・・・?

先日、ジャンヌ・ダルクのDNAを復元するというニュースで関心を持ったが、断片的な知識しかないことに気付きとりあえず読んでみた。というのが実情であったりする。

これ以上ないっていうくらい教科書的な書き方。歴史の順を追ってただひたすら、記述している。それ以上でも以下でもない。

あまりにも淡々とした記述に、正直何について書かれているのか分からなくなることも多々あるのだが・・・まあ、それは良くとれば、思い込みや偏向が少なく、客観性がありそうな記述ともいえよう。

但し、読んでて面白い話はない。また、可能な限り客観的な事実を中心に記述しているのはいいが、それぞれの事実や行動の動機ともいうべき背景の説明があまりにも無さ過ぎるがイタイ!

歴史は偶然の要素もあるが、より大きな時代や世相といった視点からみると、単なる偶然の積み重ねだけでなく、それなりの必然性が浮かび上がることもあるのだが、そういって高次元の視野からの解釈はほとんどない。

また、いささか怪しげなエピソードなどであらぬ妄想や陰謀論を楽しませることも本書は許してくれないのである・・・ああ、無情ってレミゼじゃないんだけれど。

他のジャンヌ・ダルクの本を読んでいくうえでの基礎知識を得るには、いいかも?ただ、それ以上の価値はないと思う。

ジャンヌがいかにして、当時の社会で受け入れられ、英雄となり、また最終的に見放されてしまうのか・・・。あまりにも通り一遍の説明で、私には納得がいかない。時代を通して本質的な側面にまで迫ることを新書の形態で求めるのも筋違いかもしれないが、その片鱗さえも見えない。

まあ、安っぽい新聞記事程度か、イエロ-ペーパーでないのが唯一の救いだが、往々にして読んでいて面白いのはイエローペーパーであったりするのがこれまた辛いところだったりする。

結論、あえて読む価値を見出せない。実は、他にもジャンヌの裁判記録を翻訳した本を持っているので、これを読みたくて下準備としてこちらを読んでいました。さあ~、メンンを本を楽しく読みたいものです(ウキウキ)。

でも、その前に今読んでる「テンプル騎士団とフーメーソン」を読了しないと! もう半分以上読んだけど、厚くてなかなか終わらないなあ~。面白いんだけど・・・ね。

ジャンヌ・ダルク―愛国心と信仰(amazonリンク)

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ジャンヌ・ダルクの遺骨がテストされる
posted by alice-room at 00:50| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 歴史A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジャンヌ・ダルクって、灰は川に流されたと読みましたけどね
遺骨なんか残っているのはおかしな話ですね
彼女については色々読みました
なんか、惹かれるんですよ
Posted by 蛤御門 at 2006年06月01日 21:26
蛤御門さん、こんばんは。ほんとどうなんですかね、ジャンヌの遺骨そのものの説明も欲しいところですね。

個人的にはジャンヌ・ダルクよりその側近にいたジル・ド・レエ侯の方がより興味あったりして・・・。青髭伝説のモデルの方です。あとジャンヌが所持していたいう噂のマンドラゴラ(=マンドレーク)も面白そう・・・。
Posted by alice-room at 2006年06月01日 23:00
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